A.Banana.S

古代ローマ、NACSさん、ドートマンダーにパーカー、西武ライオンズ、FEプレイ日記(似非)・・・好きなことをぽつぽつと。

リーフ王子のグランベル778/第7話(後編の小説版・冒頭部)

次の記事は、古代ローマ三作目の打ち上げとする予定ですが、

その前にこっちを始めておかないと色々マズい気がするので、やってしまいます。

 

上げたからには、最後までだ。ははは……。

 

なんにせよ、これでケリがつきました。四部構成。

第一部「リーフ王子のグランベル778・再開」編

第二部「バーバラ王都地下探訪」編

第三部「魔の島、クロスオーバー」編

第四部「リーフ軍、最後の戦い」編

 

以下、第一部本編の1ページのみ。続きは、最後かプロフページにあるpixiv様アカウントで連載。

 

……たぶん、これ以上ここでは宣伝しない(…?)

 

 

ではでは、止まっていた時計が17年ぶりに動き出します。

 

前話(ここまでは実質17年前)

anridd-abananas.hateblo.jp

 

※※※※※

第一部
~リーフ王子のグランベル778・再開編~

 

 

「おい、クソッタ──いや、パーンさん、いつまで遊んでんですか? 連中がもうそこまで来てますよ!」
 リフィスが──見張りに立たせていたのだが──そう知らせてきたので、パーンは『聖戦闘技場体験』を切り上げることにした。とりあえずがっぽりと稼いだトルードとシヴァを連れて、シアルフィ城の外へ出る。
 いくら稼いだところで、あの世まで金は持っていけない。そんな事態にならなきゃいいのだが。
 リフィスの言ったとおり、アリオーン率いるトラキア竜騎士団が、もうはっきりと確認できるところまで迫り来ていた。
「さて、どうすっかな……?」
 頭をかいてつぶやくのだが、パーンはすでに最善と思う指示は出していた。アリオーン隊はこちらの倍はいる戦力だ。一方、このダンディライオンとリフィス団連合は、現在総勢七人。東へ出て、アリオーン隊を迎え撃つのは、パーンとトルードとシヴァ。城を出て西へ下がり、援護を担当するのはセイラム、ティナ、そしてラーラ。リフィスには城の守りを任せることにしたが、いよいよヤバいとなったらあいつは逃げるのだろう。そのくらいの信用度だったが、それとも腐ってもあいつも盗賊であるから、手ぶらでは逃走しないだろうか。サフィが戻ってくるのを待とうとするだろうか。
 正直に言えば、パーンもサフィには一刻も早く戻ってきてほしかった。はるか彼方まで進軍したであろうリーフ軍本隊に、この事態を知らせに飛んでいったきりだ。リワープで。
 リーフはアリオーンになんらかの対策を講じるはずだ。問題はそれが間に合うかだ。間に合わないのならば、ここにいる面子でなんとかしのぐしかない。
 パーンには、しのぎきる自信があった。アリオーンさえいなければ。
 竜騎士団自体はたいした敵ではない。パーンと横の凄腕ソードマスター二人で片づけられるだろう。パーンは王者の剣、トルードは銀の剣、そしてシヴァはキルソードを所持する。え? 『聖戦』にない武器? そんなことを言っている場合か。もう偽物であることはバレただろうから、格好つける必要はない。
 セイラムとティナには、離れたところからリブローなりシーフなり、なんならフェンリルなりで援護してもらう。なにも知らず本城に置いてきたリフィスを囮にでもすれば、いずれ勝てるはずだ。
 実のところもっと早く打って出ることもできたのだが、そんなことをしたところで、機動力で優る竜騎士どもに囲まれるだけだ。パーンたち三人はそれでもなんとかなっただろうが、セイラムたちはさすがに分が悪い。挙句、さっさと本城を取られてしまっただろう。
 だから、問題はアリオーンただ一人なのだ。天槍グングニルの継承者で、「見切り」に「祈り」スキルまで備え、でたらめに強い。
 それでもなんとかできなくはないと、少し前に大将リーフ御自らが証明していた。南トラキアでの戦いで、嘘かホントか知らないが、セティにもサラにも頼らず、自分でトルネードを打ちまくり、アリオーンを圧倒してみせたという。
 あの王子はいつの間にそんな上級魔法を使えるようになったんだ? それともただどいつもこいつも話を誇張しているだけなのか?
 いや、それはともかく、リーフ曰く、対アリオーンは魔法に限る。直接攻撃では絶対に挑んじゃだめ、とのことだった。
 実際、「見切り」がある以上、こちらの必殺は期待できない。パーンとシヴァではほとんどアリオーンにダメージを与えられず、返り討ちにされるだろう。トルードなら同じ「見切り」で勝負になるかもしれないが、槍と剣という、武器相性で考えても不利だ。
 魔法ならば、後ろにいた。セイラムとティナだ。ヨツムンガンドとライトニングがある。ラーラに応援させれば、再攻撃もできる。
 しかしパーンは、その策にあまり希望を見いだせなかった。ティナはまず攻撃が本職ではない。セイラムは……闇魔法の威力はあるが、あの薄幸ぶりである。当たらない気がする。そして二回攻撃なんて夢のまた夢だ。仲間として、友人として、このうえもなく信頼はしているが、彼の運と命中率は当てにしてはならないと、パーンはわかっていた。セイラムのためにも。
 ならば魔法剣でタコ殴りにするという策も考えられるが、あいにくと全部前線チームに持たせてしまっていた。なんて献身的なんだ、と我ながらパーンは思う。光と風の剣は、リーフとカリンの手の中。そして今頃マリータとデルムッドが、炎といかずちの剣を振りまわしているのだろう。ちょっとはこうしたバックアップに感謝しろ。
 しかしたとえその策ができたとて、その後どうなる?
 アリオーン一人に集中したところで、結果配下の雑魚どもにしてやられるのがオチだろう。
 結局のところアリオーン対策とは、後ろの二人にスリープを使わせるのが最善であるように思われた。
 だが──と、パーンはつい目玉をぐるりとまわす。外れる気がする。ティナどころかセイラムまで、スリープを外しそうな気がする。そんな事態はないと言いきれるか? 『聖戦』だから? しかし『トラ7』では、「ライブを外す」などという驚天動地の事態が起こり得るのだ。今となっては昔のことだが、初めてナンナがライブを空振りするのを見た時、マンスター城のど真ん中で、さすがのリーフも絶望に打ちのめされたそうだ。「死にたくなった」と、後にあの英雄はこぼした。
 ごく序盤のことだ。
 セイラムはめったに外さない。ティナも、最近は減った。
 が、くり返すが、相手は神器持ちだ。
 パーンがこれまで見てきたかぎり、百発百中の杖命中率であるのはサラ、それにリノアンだ。パーンはよく知らないが、あの風の勇者セティもよもや外しはしないだろう。しかしリノアンはいないし、サラは祖父に誘拐されたらしいし、セティは最前線にいるところだ。無理を承知で言うが、セティ一人でいいからこっちに寄越してほしい。
 それを期待できない今、スリープを任せるなら、やはりサフィがもっとも安心だ。ごく序盤、彼女も稀に外したが、それでも百発九十八中くらいではある。しかしそのサフィもまだ戻ってくれない。
 セイラムとティナに任せるしかない。ラーラが踊ってくれるので、三回チャレンジできる。
 それでアリオーンが眠ってくれなければ、この場は詰みだ。
「パーン」
 頭の中でぐしゃぐしゃと考えていると、トルードが声をかけてきた。
「お前も少し下がれ。第一陣は俺が防ぐ」
 心配されているらしかった。長いつき合いである右腕には、見透かされてしまうのだろう。心の内も、現状も。
「三人並んで迎え撃ったほうがいいだろ」
「相手の半分は手槍持ちだ」トルードが教えた。ここでも魔法剣がないのが痛かった。「お前はその剣で支援してくれればいい」
 トルードはパーン愛用の王者の剣のことを言っていた。二回攻撃ができるので、勇者の剣並みに優れた剣だが、「カリスマ」スキルまで追加されるのだ。
 パーンも実のところは、自分がトルードとシヴァ並みには戦えないことをわかっていた。だがそれでは立つ瀬がないではないか。ダンディライオンの首領であり、このバックアップ・チームのリーダーなのだから。
 最悪、アリオーンからグングニルを強奪してやる。無理でもやってやる。俺に盗めないものなんてないんだ。見とけよ。
 一方シヴァも、現状はよくよくわかっているに違いない。黙したまま、覚悟を決めたような顔をして、キルソードを構えて立つ。
 お前はなんのために戦うんだよ、とパーンは胸の内で問いかけた。ほかにやることがないからとバックアップ・チームに入れられた。彼はリフィス団のくくりだ。だがリフィスに義理立てしているわけでは断じてなかろう。
 サフィと、ついでにティナのためか。
 シヴァとパーンは「太陽剣」で、上手くやれば自己回復もできる。トルードは「見切り」持ちで、体力もあるので、そうそうやられはしないだろう。
 同じソードマスターであるのに、シヴァとトルードはまったくタイプが違った。シヴァは身軽で、必殺撃を得意とする。一対一で敵将を撃破するのに向いているが、前線に立たせ続けるといずれ「やっつけ負け」するタイプだ。一方、トルードは「死神」という異名にも関わらず、さほど必殺頼みの戦い方をしない。慎重、着実に敵を削っていくタイプだ。壁役に向いている。
「来るぞ」
 前方を見据えながら、シヴァが警告した。
 パーンは振り返って叫んだ。
「セイラム、頼んだぞ! ティナ、外したらあとで毛虫の刑だからな!」
「いやーーーーっ!」
 ティナが律義に抗議してくるが、毛虫の刑よりずっと可愛げのない事態が迫っているのを、わかっていないのだろうか。
「パーン!」
 ラーラはすでに悲鳴じみた声で、今にもこちらへ駆け寄ってきそうだ。
 彼女には言ってあった。いよいよマズいとなったら、三人で避難するように。あの二人を応援して再行動させる。本城に入るなり、リワープで遠くへ行くなりできるはずだ。残るラーラのことは、パーンがかついででも守ると決めていた。
 起こり得る最悪の事態の話は以上だ。
 アリオーン隊の先頭が目前に迫った。トルードとシヴァが迎撃態勢をとるその一歩後ろで、パーンも王者の剣を構える。
 ひとまずセイラムとティナを信じ、アリオーン以外を全滅させることだけを考える。
 これでいいのかどうかわからないが──。
 そのとき突然、待っていたものが現れた。パーンたちと竜騎士団のあいだに、白い光が割って入った。ほっとため息をこぼすところだったのに、パーンはまずあっけに取られた。
 おいおい、なにも最前線に飛んで来なくていいのに──。
 だが現れたのは、サフィではなかった。王女アルテナだ。リーフの姉だという。
 リーフは姉一人ワープさせるだけで、この事態を収拾するつもりでいるらしい。いや、もしかして王女自らが志願したのか……。
「兄上、いい加減にして! どうして私たちの気持ちがわからないのです!」
 説教──いや、説得が始まった。
 聞いたところ、アルテナは素性を知らされずトラキア王家で育てられ、つい最近までアリオーンとは実の兄妹であることを疑ってもいなかったそうだ。地槍ゲイボルグを所持しておいて、それはないだろうと思うが、まぁ、いいか。
 パーンは王者の剣を下げた。トルードとシヴァも同じようにした。アリオーン隊の面々も王子を見つめたまま、もはや戦意もないようだ。
「アルテナ、お前のために戦おう」
 アリオーンはそう言った。
「よかったですわ」
 振り返れば、いつの間にやらそこにサフィがいた。リワープで戻ってきたのだろう。
「これでアリオーン様と戦わずに済みます。リノアン様も喜ばれるに違いありません」
 忘れがちだが、サフィの主君とはターラの市長リノアン(※注 十代)であるのだ。
「実のところどうなんだろうな?」パーンは苦笑するしかない。「リノアンさんとあの王子はまだ婚約してるんだろ」
 仲間であるという以外、さほど縁のない傍目にもわかるのだが、リノアンの気持ちは明らかに別の男へ注がれていた。しかも相思相愛だ。20%の支援効果とは、あのグレイド&セルフィナ夫婦並みだ。
「あの二人が──」
 前方の空を指して言いかけ、さすがにパーンはそこで言葉を切った。野暮だし酷だろう、今は。
「ふふ」
 サフィもまた意味深な微笑みだけを返して寄こした。面白がっているのではないか。
「サッフィーーーー!」
 リフィスが、本城の守備を放棄して飛び出してきた。サフィに飛びつく間際、シヴァのキルソードの切っ先によって、あっけなく貫かれる。
「お前が無事に戻ってよかった」
 リフィスの服を刺して吊るし上げながら、シヴァがサフィに言う。白目を剥いたリフィスをどっかそのへんに捨てる。
「リーフ王子たちの様子はどうだった? 激しい戦闘の只中か?」
「激しいバトルの只中でした。占い屋さんで」
「なに……?」
「パーン!」
 シヴァと並んで怪訝な顔をしたところで、気づいた。セイラムとティナとラーラが駆け寄ってきた。
 ティナは姉サフィと無事を喜び合った。セイラムはトルードも含めてだれも怪我をしていないのを確認してから、パーンのところへ来た。
 パーンはラーラに熱烈に抱きつかれているところだった。
「何事もなくてよかった」セイラムが安堵の息をこぼして言った。
 パーンもうなずいた。「ああ、ちょっと拍子抜けするくらいにな」
「ところで、パーン」セイラムは、今や同盟軍となったらしいアリオーン隊を指した。「私は特別目が良いわけではないが、ちょっとおかしなものがアリオーン隊の中にいないか?」
「ああ、気づいてたよ。どう見ても仲間外れだもんな」

 

 

 

→続きはこちらから。

TODO-A - pixiv

一作目後日談であり、三作目前日談。あとこぼれ話。(いずれも再掲)

三年くらい前にブログに上げたものですが、ここに再掲します。

あとおまけのこぼれ話も。

 

一作目『ティベリウス・ネロの虜囚』

→三作目(準備中新作、時系列的続編)『世界の果てで、永遠の友に』(仮題)

 

 

 

【短編】(『ティベリウス・ネロの虜囚』第4章終了後の、後日談)

 

 

サルディニア島に行くぞ!」
「ぐえっ」
 ルキリウスはうめいた。振り向かなくてもわかったが、自分が待っていたはずの一人に背中からのしかかられていた。ぼんやりしていた自分が悪いのだが、突進してきたうえで重みのすべてを委ねてくるとは、八歳であろうと、公の場でなんらかの非難を受けるべきだと思った。肺をつぶされ、腰を折られ、膝頭を肩にめりこませてから額を地面にこすりつけそうになった、そんなルキリウス・ロングスにはなんの罪もない。
 しかしドルーススはそんな被害者に頓着していなかった。彼はさらにルキリウスの背中でばたばた動いたのだ。
カエサルから手紙が来たぞ! ぼくらはそこで冬を越すんだぞ!」
「……へぇ……」
 ルキリウスはなんとか相槌を打った。今は九月の初め。少し前に、この世界の中心であるらしきローマには、とある知らせがもたらされていた。
 ローマ軍、エジプトのアレクサンドリアを完全制圧。将軍マルクス・アントニウス自害。
 不思議な話だと思った。敵将もまたローマ人で、彼と共に戦った仲間たちの多くもローマ人だったに違いないのに。
 とにかく、ルキリウスはドルーススの話を懸命に理解しようとした。
「……ひょっとして、君はサモス島のことを言っているのかな?」
「かもしれない」
 ドルーススは無邪気に認めた。ルキリウスは彼を肩越しに見やった。
「以前にも君は間違えた。それでぼくは君の兄上にたわ言だらけの手紙を送らなきゃいけなくなった」
「あにうえもいるぞ!」苦情を無視し、ドルーススは飛び跳ねた。「もうすぐ会えるぞ!」
 そうらしかった。もう一年半ほどカエサルオクタヴィアヌスの軍についていったきり帰ってこないドルーススの兄――ティベリウスクラウディウス・ネロもサモス島の冬営地に戻るだろう。
「よかったね」ルキリウスは言った。本当にそう思ったのだ。
「明日、出発する!」輝く顔で、ドルーススは教えた。「あにうえの誕生日に間に合うように!」
 当然のように、ルキリウスは知っていた。ティベリウスの十二回目の誕生日とは、十一月十六日だ。まだ二ヶ月と少しあるが、それでもサモス島ははるか東の彼方だ。おそらく旅はカエサルの妻リヴィアが取り仕切り、そこへカエサルの姉オクタヴィアも同行するだろう。そうなるとリヴィアの次男であるドルーススばかりでなく、オクタヴィアの大勢の子どもたちも従うはずだ。
 ユルス・アントニウスも行くのだろうか、とルキリウスは考えた。マルクス・アントニウスの次男だ。こういう結末をずっとずっと予期していながら、オクタヴィアの保護下で暮らしてきた少年だ。今日も、ルキリウスが名目上待っていたのはドルーススであるが、実際に待っていたのはユルスのほうだった。まだ家から出てくる気配はない。
いずれそういうことになるなら、ぼくはとうとうお役御免というわけだ。ルキリウスはそう思った。二年前の年の暮れに引き受けることになった、ティベリウスとの約束だった。
 だが、ドルーススが言った。「お前も行くぞ!」
「……なんだって?」ルキリウスは思わずぽかんとした顔を向けた。
「お前もサモス島に行くんだぞ!」ドルーススはくり返した。
 ルキリウスは信じられなかった。「ぼくは君らの家族じゃないよ。素性不明の、『へんなやつ』だよ」
 ドルーススと話すようになって一年近くなるが、ルキリウスはまだまともに自分の名前さえ伝えていなかった。貴顕中の貴顕であるクラウディウス・ネロ家のお坊ちゃんにしてみれば、自分など取るに足りない庶民にすぎないと知っていた。
 『へんなやつ』とは、兄の物まねをするルキリウスをドルーススが呼ぶ名で、不幸にも、この一年半でティベリウスから彼に届けられた唯一の手紙にも、同じ宛名が記されていた。皮肉以外のなんでもなく、ルキリウスはティベリウスが帰ってきた場合の身の行く末を色々と考えてしまった。ぼこぼこかな。八つ裂きかな……。
「メッサラ家のマルクスも行くぞ」ドルーススは知らせた。
「彼は父親に会いに行くんだろう?」ルキリウスは指摘した。マルクスの父親メッサラ・コルヴィヌスが、将軍の一人としてカエサル軍に参加しているのだ。「ぼくは行かないよ。行く名目がない」
「船があるんだろ!」ドルーススが思い出させた。ロングス家の稼業のことを言っているのだとわかった。いつ話したっけか……。「ぼくが乗ってあげてもいいぞ!」
 ルキリウスは思わず微笑んだ。「光栄だけどね、ドルースス。君みたいな良き家柄の子どもを乗せて浮いていられる船じゃないよ」
 第一、ドルーススの母親が許すはずがなかった。ルキリウスはドルーススへ首を向け、あらためて言った。
「ぼくは行かない。ここで待ってる。君の兄上にはよろしく伝えておくれ」
 すると、ドルーススは見る見るしょんぼりと眉毛を下げ、背中の上でぶーっと頬をふくらませた。なんだよ、もう……とルキリウスは苦笑する。ようやっとあにうえに会えるんじゃないか。君がどれだけ恋しがっていたか、ぼくは知っているぞ。それなのにその顔はなんなんだよ。
 ぼくは君の友だちじゃない。君の兄上に頼まれたから、そばをうろうろしていただけだ。それも頼まれた対象は、君じゃなくてユルス・アントニウスのほうだ。君に絡まれる羽目になったのは、ぼくのドジだったんだ。
 君のためじゃないんだよ、ドルースス。ティベリウスのため……いや、ティベリウスに頼まれたぼくのためなんだ。
 だから、そんな顔をするなよ。
「言っておくけど、無事に帰るまでが遠征だからね」腰をひねり、ドルーススの頭をとらえて撫でまわしながら、ルキリウスはさも気楽に言った。「君も気をつけるんだよ、ドルースス。アントニアたちとはしゃぎすぎて、迷子にならないように。海に落っこちたりしないように」
「お前はあにうえか」ドルーススが言った。それからルキリウスの腹に頭を埋めてきた。「一緒に行こう」
「行かないよ」
「お前をあにうえに会わせたい」くぐもった声が言った。
 ルキリウスは苦笑を引っ込めることができずにいた。「君は可愛いな、ドルースス」
 こんな子どもと一緒にいると、つい素直な言葉が口をついて出る。なるほど確かに、あのティベリウスがだれより愛してやまない弟だ。もう胸が苦しくなるくらい、よくわかっていた。
 それでも、とルキリウスは言い張るのだ。「ぼくは命が惜しい」
「食べられちゃえよ。お前なんか、あにうえの顎で噛み砕かれちゃえよ」
 それが、弟が決めた物まね師に対する処刑法らしかった。ルキリウスは身震いしてみせた。それから言った。
「とにかく、無事で帰ってこいよ」
 すると、ドルーススは拳を突き上げてきた。危うく顎に一撃くらうところだったが、見ていると、小さな拳がゆっくりと開かれていった。中からは小さな銀色の光がこぼれ出た。
「お前に」ドルーススが言った。
「ぼくに?」ルキリウスは目元をしかめた。
「あにうえからだ。手紙の中に入ってた」
 それは、銀貨のようだった。ただし鋳型が使われたにしては、独特の模様をしていた。片面になにかの鳥の図柄、もう片面には文字が刻まれていた。ルキリウスはドルーススのしめった指からそれを受け取って、適切な距離から読んでみた。
『ルキリウス、ぼくはこれから帰る』
 それだけだった。
 君はぼくの夫か……とは、真っ先に思い浮かんでしまった指摘だった。けれどもかろうじてそれを呑み込み、つくづくと眺める。思いめぐらす。
 ルキリウス、と名前だけで呼ばれたのはたぶん初めてだ。必要なときはいつも「ルキリウス・ロングス」と、罪人に刑を宣告する冥王のような口調で呼ばれたものだ。
 これはいったいなんだい、我が愛しき友?
 ルキリウスはその銀貨へ問いかけた。澄み渡る青空へかざしてみながら、不気味と言っていい胸騒ぎを覚えずにはいられなかった。
 それでも、君がようやく帰るというのなら、ぼくは待つ。いつまでも待つ。それが、君とぼくとの約束だ。
 ルキリウスはただ一つの銀貨を握りしめた。

 飛んでいけ――。

 

 

 

 

【こぼれ話】

 

ティベリウス・ネロの虜囚』「第二章 家族」より。(ー3の後に入る予定でした)

 

 

 テレンティアの狂乱にもめげず、会談は夕刻が近づいても終わらなかった。詩人たちは、そろそろ遊び疲れただろうと、子ども三人を室内に入れた。そしてもったいぶりつつも楽しげにはじめたのは、怪談だった。
「暑い夏は怖い話でひんやりするにかぎるからねぇ」
 ホラティウスが雰囲気たっぷりににたりと笑った。
「なんだい。どんなのがきたって、ぼくはちっとも怖くないんだぞ」
 ドルーススは勇ましく両腕を振った。ホラティウスはこのちび助がお気に入りだった。今日もはじめる前から期待通りの反応をくれる。可愛いったらない。
 マルケルスはティベリウスを見た。ティベリウスは小さく肩をすくめた。礼儀は尽くそうと言ったつもりだった。
 ホラティウスが主筋を語り、他の詩人たちがそれに思い思いのつけ足しをして盛り上げた。
 カニディアという魔女がいる。彼女は夜な夜なローマの墓地に出没し、仲間二人とともにおぞましい儀式を行っている。
 まずは幼い少年をさらってくる。服を剥ぎ取り、ブッラを引きちぎり、裸にしたところで首から下を地中に埋める。そうしておいて毎晩、少年の前に供え物を置く。泣いて哀願する少年の声に応える者はいない。魔女は小蛇を絡ませた髪をうじゃうじゃと逆立て、無慈悲に見下ろすばかりだ。
 そうして少年が死ぬと、魔女たちはその肝臓を取り出す。身の毛もよだつ行いを繰り返したおかげで、それは干からびている。魔女はその肝臓に、ヒキガエルの血を塗った卵、フクロウの羽、飢えた犬から奪った骨、さらに種々の毒草を混ぜて、恐ろしい薬を作る。それを一口飲んだ者はたちまち正気を失い、永久に魔女のしもべとなる。
 そんな話だった。
「君たちはみんな良い子だが、もしいたずらが過ぎたり大人の言うことを聞かなかったりすれば、魔女にさらわれるかもしれないぞ」
 そう言うと詩人たちは、それぞれ恐怖をあおるような表情を作って、子どもたちの反応をうかがった。
「へへんっ、へへんっ」
 ドルーススは右拳を何度も突き出した。
「そんな魔女なんか、これっぽっちも怖くないぞ。ぼくがみんなやっつけてやるんだぞ!」
 もちろん詩人たちは、兄の服の裾をつかむ左手を見逃していなかった。全員必死で笑いをこらえていた。
 マルケルスは青い顔をしていた。こちらも申し分ない聞き手だった。このような素直で純真な子どもこそ大人の理想である。大切に保護し、あたたかく成長を見守ってあげたくなる。
 聞き手がティベリウス一人だったら、詩人たちはさぞがっかりしたことだろう。まずもって全然可愛いところがない。終始無表情で、いかにも礼儀でつき合っていると言わんばかりの態度。醒めた目は、魔女の話が万が一本当ならば、ただちに造営官にでも連絡して対策を講じてもらわなければと考えているように見えた。実際に、ティベリウスはそのようなことを考えていた。
 ティベリウスは間違っていない。だが、もう少し子どもらしいところがあってもいいのではないか。
 それでも詩人たちは、ほか二人のすばらしい聞き手に満足し、一人の興ざめな聞き手の存在にはそれほどへこたれなかった。
 最後にホラティウスは、あたかも黒く長い爪が生えているかのように十指をわななかせ、かっと目を剥き、耳まで口を裂き、夜闇を貫く魔女の笑い声を実演して見せた。ドルーススもマルケルスもすくみあがった。
 演技は真に迫っていた。もしかしたら、ホラティウスは魔女と知り合いなのかもしれない。
 そこへ、テレンティアを連れたマエケナスが現れた。
「おいおい、君までぼくを不眠症にする気かい。キーキーわめくのは妻一人で十分なんだが」

 

 

 カエサル家に帰るころには、雨がぱらついていた。珍しく夏の嵐が近づいているようだった。
 夜、中庭に吹きつける風が、さながら魔女の吐息のような音を立てていた。儀式には絶好の日和だろう。
 寝室づきの奴隷が、外から扉を開けた。
 ティベリウスが顔を上げると、枕を抱えたマルケルスが立っていた。気恥ずかしげな笑みを浮かべながら、少し震えていた。
「今日はこっちで寝てもいいかな?」
 上掛けからドルーススが顔を出した。
「なんだよ、マルケルスは怖がりだな」
「お前は人のことを言えるのか」
 ティベリウスは胸元のドルーススの頭に言ってやった。ドルーススは首を反らし、へへっと兄に笑いかけた。
 そういうわけでマルケルスは、空いているドルーススの寝台に入った。
「いいなぁ、ドルースス」
 マルケルスはうらやましそうな目を向けてきた。ドルーススは兄の腕と上掛けにくるまって安心しきっていた。彼は勝ち誇った笑みを返した。
「うらやましいか、マルケルス? やらないぞ。あにうえはぼくのあにうえなんだからな」
「お前はもういい加減に寝ろ」
 ティベリウスはドルーススを上掛けに押し込んだ。
 奴隷は扉を閉めた。このような日でも、彼は外の回廊で眠るのだ。
 部屋は再び真っ暗になった。不気味な風音が続いていた。
 ドルーススはしばらくもぞもぞしていたが、やがて背中を兄に預けて落ち着いた。しだいに一定の拍子をとる弟の呼吸を聞きながら、ティベリウスもまどろみはじめた。
 そこで雷が鳴った。
 ドルーススがびくりと動いたので、ティベリウスも目が覚めた。
 雨音が急に強くなった。立て続けに雷鳴が轟き、ドルーススが胸にしがみついてくる。
ユピテルが怒ってるよ」
「大丈夫だよ、お前に怒ってるんじゃないから」
 とは言え、ティベリウスも雷は好きではない。ちょっと待っているよう弟に言って、寝台から出た。
 もともと夜目が効く体質なので、手間取らずに進めた。部屋を横切り、花瓶から月桂樹の枝を抜く。布で水気を取ると、また寝台に戻る。その影をマルケルスの視線がずっと追っていた。
 寝台の上ではドルーススが待ちかねていた。ティベリウスは月桂樹から小枝をちぎり、ドルーススの髪に刺してやった。
「雷が落ちないお守りだよ。母上がおっしゃってた。雷火でも燃えないんだよ」
 それからティベリウスはマルケルスに振り返った。マルケルスはじっとティベリウスを見つめたまま、無言で小枝を受け取った。
 また雷鳴がした。かなり近づいてきていた。
「あにうえ、早く!」
 ドルーススにせかされ、ティベリウスは上掛けの中に戻った。ドルーススが兄の頭に小枝を刺す。暗いなかでも、神妙な顔つきがよくわかった。
「きっとユピテルは悪い魔女をやっつけてるんだな」
 ドルーススはつぶやいた。たしかにこのような天候になっては魔女も災難だろう。
 次に轟いた雷鳴はひときわ大きかった。屋敷が震えた。
 兄の胸にひしとうずまり、ドルーススはぐすぐす言い出した。
「大丈夫、大丈夫」ティベリウスは背中をさすってやった。
「ぼくはなんも悪いことなんかしてないんだぞ。計算の勉強もちゃんとやったし、アントニアもいじめてないぞ。あにうえを池に落としたけど、そのあとおしりをつねられておしおきされたぞ」
「わかってるよ」
 山を引き裂くような雷鳴が響き、大地をゆらがした。
 どこかに落ちたのではないかと、ティベリウスは心配になってきた。
 ふと、背中が圧迫される感覚がした。
「…マルケルス?」
「ごめん!」
 謝りながらマルケルスは、夢中で背中にしがみついてきた。うなじに押しつけてくる額が汗ばんでいた。
「あにうえ!」
 前からはドルーススがこれでもかと埋まってくる。
 ティベリウスは目をぱちくりさせた。まったく身動きがとれなくなっていた。
 嵐の夜だろうと、季節はまだ夏だった。眠るには薄い上掛け一枚で十分だ。今や暑いうえに逃げ場がなくなっていた。おまけに前からも後ろからもしめつけられて苦しい。とどめに、寝返りもできずに体が痛くなってくる。
 だが挟む二人は必死だった。おびえきっていた。
 やがて嵐も雷鳴も、少しずつ遠ざかっていった。二人の呼吸が静かで規則正しくなっていく。けれどもティベリウスは、途方に暮れてなにもない部屋の角を眺めるばかりだった。

 

 

 翌日の昼、嵐は嘘のように去っていた。日差しに目を細めながら、オクタヴィアヌスが家に戻ってきた。元老院会議を終えたあとだった。
 いつものごとく、ドルーススは歓声を上げてまっしぐら、継父に体当たりした。
「おかえりなさい、カエサル!」
「ただいま、ドルースス。お前に会いたかったよ」
 オクタヴィアヌスもまたいつものごとく、相好を崩して継子を抱きとめた。
 ティベリウスは中庭で書物を読んでいた。ドルーススと接吻を交わし合ったオクタヴィアヌスが近づいてきた。それで、書物を掲げた体勢のまま立ち上がった。
「おかえりなさい」
 それからまた階段に腰を下ろし、読書に戻った。
「ただいま、ティベリウス
 オクタヴィアヌスは言った。
 ティベリウスはひそかに唇を噛んだ。礼儀を尽くしていないのはわかっていた。
 だがそこで、ドルーススがにやにやしながら周りをぐるぐる歩きはじめた。ティベリウスは相手にせず、読書に没頭しようとした。オクタヴィアヌスで頭がいっぱいだったので、ドルーススが書物を取り上げるとまでは思い至らなかった。
 ふいに手から書物が消えると、くっきり赤いあざがついた左頬が露わになった。
 息を呑んだティベリウスは慌てて手で覆ったが、すでに遅かった。
「どうしたんだ、その顔は?」
 オクタヴィアヌスが目を丸くした。
 かっと顔が火照った。あざが見えなくなるほど赤面していたかもしれない。ティベリウスは口をぱくぱく動かした。だが結局なにも言えず、がっくりうなだれた。
「あにうえね、テオドルス先生に怒られたんだよ」
 代わりにドルーススがすべてばらした。
「授業中に居眠りして、ぱしいって叩かれたんだよ」
 オクタヴィアヌスはますます目を見開いた。
「お前が居眠り?」
 ティベリウスは歯噛みをした。こんなに弟を恨めしく思ったことはなかった。
 ドルーススがこんなに喜んでいるのは、兄が叱られることなどめったにないからだ。ローマの教師は体罰を当たり前に行うが、ティベリウスはその理由など与えない優等生だった。鞭も平手打ちもまず縁がなかった。
 今日がその例外だが、ティベリウスはなにも言えなかった。居眠りをしたのは事実だし、テオドルス先生は当然の罰を与えたと思っている。だが、もっと目立たないところを打ってくれてもよかったではないか。恥ずかしい思いに耐えなければならないうえに、一番見られたくない人に見られてしまった。高名な先生の授業をなまけるような不誠実な子どもと、オクタヴィアヌスに思われてしまう。それがなにより辛かった。今日以外の毎日、精魂傾けて勉学に励んできたのに。
 だが言い訳はできなかった。
 ティベリウスはすっかり気落ちして、階段にうずくまった。
 ドルーススはしばらくはしゃぎまわっていたが、やがてオクタヴィアヌスが庭の木からシトロンをもぎ取り、これを厨房係にしぼってもらうように言いつけた。ドルーススはたっぷりの蜂蜜投入を期待しながら、走り去っていった。
 オクタヴィアヌスは沈み込むティベリウスを見下ろしていた。なにも言う気がないティベリウスは、早くこのいたたまれない時間が終わることだけを願っていた。
「泣いているのか?」
 ティベリウスはぎょっとして顔を上げた。さらに傷ついていた。
 カエサルはぼくが教師にはたかれたくらいでめそめそ泣くような男だと思っているのか。
 オクタヴィアヌスはにやにや笑っていた。その意味をティベリウスがはかりかねていると、彼はかがんで目線を合わせてきた。
「私は弟だが、どうも兄というのは辛い役まわりらしいな」
 オクタヴィアヌスの手が、ティベリウスの赤い左頬に触れた。
「どうして言わない? 昨夜はマルケルスとドルーススに挟まれたせいで眠れなかったと」
 ティベリウスは目をまんまるにした。口をぽかんと開けた。
「…どうして知っているのですか?」
「私もあまり眠れなくてね」
 オクタヴィアヌスが一晩に三度も四度も目を覚ます体質であるのは、家のだれもが知っていた。
「あんな夜だったし、子どもたちがどうしているかと気になって覗いてみたら、お前があの二人に押しつぶされて苦しそうにしていた」
 オクタヴィアヌスはくすくす笑い声をもらした。継父の訪問にティベリウスはまったく気づかなかったから、一睡もしていないわけではなかった。それでも朝からぼうっとして、テオドルスが手を振り下ろすまで開こうとしないまぶたと戦いながら、半ば夢を見ていた。体はまだぐったりしているが、それは寝不足のせいばかりではなかった。今このとき、全身から力が抜けていく感覚がした。
「体がしびれて大変だっただろう?」
 オクタヴィアヌスティベリウスの頬をゆらした。それから手を頭に動かした。
「お前は強い子だ。泣き言一つ言わずに、弟とマルケルスを守った。私はお前を、とても頼もしく思っているのだよ」
 なでる手が、とても柔らかかった。
「大変だろうが、これからも守ってくれるね? ドルーススはもちろん、私の甥のマルケルスも。あの子はお前にだけは甘える。お前を一番頼りにしているからだ。マルケルスを頼んだよ」

 

 

 午後、ティベリウスたちが肉体鍛錬に出かけると、家の男児はドルースス一人になる。退屈にはなるが、なにかと厳しい兄に叱られる心配なく、のびのび羽を伸ばせる。
 近所の友人と遊んでもいいのだが、最近のドルーススは妹のアントニアを相手にすることが多かった。なんとかこの生意気な妹分に兄の威厳を見せつけてやりたいと思っていた。ところがこのアントニアは少しばかり変わった性向の持ち主だった。普通の女の子が嫌がる生き物の類を可愛いと言う。愛らしい子猫より、うようようねるウナギに興味津々。あるときなどはヒトデを頭じゅうに張りつけておしゃれし、母オクタヴィアを気絶させた。ドルーススのペットの蛙とも、今では飼い主より仲良しだった。
 アントニアはなにも怖がらないように見える。こんな娘をぎゃふんと言わせるためにはどうしたらいいのだろう。
 ドルーススは考えた。
 結果、兄のスゴさを思い知らせてやるためには、アントニアが感心せざるをえないような大物を目の前で捕まえてやるのが良いと考え至った。怖がらせるのではなく、喜ばせて尊敬させるのだ。
 そこでドルーススはアントニアを連れて、近所の公園に向かった。そこにはさながら主のような巨大なトカゲがいると、子どもたちのあいだで評判だった。アントニア好みの獲物だ。
 二人は公園じゅうを探しまわった。そのあいだドルーススは、巨大トカゲを捕まえたらお前にあげてもいいぞと言って、アントニアを期待させようとした。ところがアントニアは、アントニアのほうが先に捕まえるのよと言って、またドルーススの威厳を奪おうとした。
 なんてやつだ。負けてたまるか。
 ついに目当てのものに違いない大きなトカゲを見つけると、二人は肩をぶつけ合って追いかけた。
 トカゲは木の幹を伝い上がって逃げた。ドルーススはすぐさまよじ登ってあとを追った。
「あぶないわよ」
 アントニアが言った。
「ドルーススはおちちゃうわよ」
「平気だよ」
 ドルーススは言った。太い幹をすいすい登る姿を見せつけてやった。
「お前とちがって、ぼくは高いところでも怖くないんだぞ。お前より先にあいつを捕まえてやるから、そこで大人しく待ってるんだぞ」
 ドルーススは枝先にトカゲを追いつめた。勝利を確信し、満面の笑みを浮かべる。
「見てろよ、アントニア!」
 そして両手で獲物に跳びかかった。
 ところが、トカゲは枝の裏側をさっさと伝って走り去った。
「わっわっ…」
 枝が激しくゆれた。しまいにドルーススの重みに耐えきれず、大きくしなって下に折れた。大声を上げながら、ドルーススはくるりと一回転して落下した。
 幸い、下は浅い池だった。前日の雨で泥沼と化していたが、おかげで怪我をせずに済んだ。
「ぷはっ」
 ドルーススは泥沼の中で座り込んだ。驚きが去るまで、少しかかった。それから気持ちをくさらせた。
 またアントニアにカッコイイところを見せられなかった。それどころか、また笑いものになった。
 ドルーススはむくれた泥まみれの顔をアントニアに向けた。
 アントニアは黙って立ちつくしていた。飛び出さんばかりの目玉で、ドルーススを見つめていた。
 それから火のついたように泣き出した。
「ア、アントニア?」
 慌てたドルーススは大急ぎで池から上がった。パラティーノの丘じゅうに響くような泣き声だった。
「お、おい、なんで泣くんだよ?」
 困惑してその涙まみれの頬に触れ、泥だらけにしてしまった。ドルーススはますますあわてた。
「な、な、なんだよ」ドルーススは自分の全身を見まわした。
「ぼくはドルーススだぞ。泥んこオバケじゃないぞ!」
「ど、ドルーススが…」アントニアはしゃくりあげた。「ドルーススがおちちゃったの」
「悪かったな、トカゲが獲れなくて」
 ドルーススは怒って見せたが、アントニアはさらにひどく泣きわめいた。
「ドルーススがおちちゃったの。あぶないことしたから、おおけがしちゃったの。おっきなおとがして、いなくなっちゃったの、いっぱいいっぱいいたかったの。こわかったの……」
 ドルーススはあんぐり口を開けた。
 頭をなでてやったら、アントニアはまた泥だらけになった。
 夕方、手をつないで家に帰るや、母リヴィアに大目玉をくらった。そのうえちょうど兄たちが帰ってきた。
 一部始終を聞いた兄はいつにもまして怖い顔で近づいてきたが、今日ばかりはドルーススも気にしなかった。
「ぼくはもう、ぜったいアントニアを泣かさないぞ」
 そう言って黙々と泥をぬぐう弟を、ティベリウスは目をしばたたいて眺めた。

 

 

 

 

※※※

以上です。よろしければ近々連載する新作、読んでいただけましたら幸いです。

 

……例によって長いですので、無理なさらないくらいで(^-^;

 

 

新作(2種)、打ち上げ用意……(&つぶやきについて)

ははは……そろそろカウントダウンといきますぜ! 結局やっぱり見切り発車ですけどもな! 地図なんて少しもできてないですけどもな!

でもそれ以外はほぼほぼ整いましたので(いや、嘘。整ってないよ)、三作目、もうじき打ち上げ開始。

次記事あたりから、関連物からまず上げていきます。本編も今月中に、連載開始。

 

ははは……それに加えてなんと、例のリーフ王子のグランベル778』、続きを21万字小説化という激闘の末に完結しましたぜ!

 

……いったいなにやってんの、お前!?

 

い、いや、これは違う。ただ約十七年前の隠された文書をまたまた発見しただけ……(すっとぼけ)

 

というわけでこの不肖わたくし、

古代ローマ・オリジナル小説 約58万字

似非プレイ日記小説 約21万字

 

計79万字のストックを抱え、近日大放出という暴挙に出ます。たぶん……。

 

前者「小説家になろう」様

後者「pixiv」様のファンフィクション・アカウントにて、予定。

どちらも連載開始次第、冒頭部をこのブログにも載せると思います。

 

 

 

(以下、無駄に長い別の本心)

 

 

それで、ははは……某Twitterアカは本物です。そのうちアップする三作目が証拠ということで……。どうしよう。使い方がマジでわからないアラフォー。

 

いや、それもそれですがね……。

 

早々にこんなんで恐縮ですが、向いてないんじゃないかな。馬鹿みたいな話かもしれませんが、自分が公開している小説さえ、読んでもらいたい気持ちと同じくらい読まれたくないという気持ちが強い。正確には、読まれた場合の恐怖が強いってことなのでしょうが。なにしろ十七年も前にだれにも公開しない創作物を書いて、平然としておった人間ですからな……。「創作物は見られたり読まれたりしてこそ完成」という話ももっともですが、この一ヘボ創作者、読者様さえ想像&妄想で生み出して満足していたとしか思えない。脳内読者様で自分の顕示欲的なものを満たせていたとしたら、私はとても幸福であり孤独でもあったということでしょう。

ところがですね、私、脳内読者様で満足していた時期から、少しずつ踏み出しまして今に至るわけですが、その結果今まで報われなかったことがないんですよ。

だってそうでしょう? このブログしかり、古代ローマ小説しかり、あのファンフィクションしかり、その他ここでは公開していないものや閉鎖したケータイ用HPなんかも昔はあったのですが──

私は、必ず読者様に恵まれてきたのですよ。

現実に。

必ずだれかが読んでくださった。

そして圧倒的な数ではないかもしれませんが、質的な意味では間違いなく。

えっ、こんなのを読んでくださるの? そんなところまで気づいてくださるの? こんなマイナーネタなのに、つき合ってくださるの? わーっ、そこまで理解してくださるの?──と。

奇跡しか体感してないと言っていい。

 

そりゃあ……今まで創作して一銭もお金になったことはないですけれども、この点がある意味とても愚かなんでしょうけども……だからこそ、ある意味好き勝手、様々に書いてこられた。

 

感謝しかない。

 

それでも今、こうして次作を公開するのが怖い。それを今や当たり前のツールであるTwitterを使って告知・宣伝するのもとても怖いとは、いったいどういうわけか。

 

いつか好き勝手できなくなる日が来ることを恐れているんだろうか……? 

 

自分が超がつく臆病者であることは、よくわかっております。

 

いや、それにしても、自分のつぶやきとかフォロワー様や他所様にもれるって、申し訳なくないですか?

えっ、じゃあオマエは他人様のつぶやきが流れてくるのを迷惑だと思っているの?

いや、とんでもない! 私はいつだって大歓迎だ。未知の話題だろうがなんだろうが、好きな人たちが元気にしていることを少しでも垣間見られるなら幸せだ。

だったらオマエだってつぶやいていいじゃん。

い、いや、それとこれとは話が別だろう……

──と、考えてしまう。

いっそ、フォローもフォロワー様もゼロのまま、だれにも知られないまま延々つぶやいていたい。

だれにも気づかれないでいたい……

 

どっかでそう思っている。強烈に。

 

創作物を上げている以上、私にも自己顕示欲的なものはもちろんあるし、たぶん強いほうだとも思うんですが、それ以上に強烈なのが恐怖心というか、外へ出たくないという引きこもり精神なんでしょうな。

 

で、なにが言いたいかって、

そういう相反する気持ちを抱えたまま、これからあれこれ放出するし、少しつぶやきます、ということです。

 

でもきっと、だれだって多かれ少なかれこういう気持ちを抱えていらっしゃるんじゃないかな、と思います。

 

だったらオマエは別にやめとけばいいじゃん、って話なのですが、

まぁ、なんでって、自分に足りないのはこういう「とりあえずやってみる精神」だと思うからです。実際、たまに指摘される。いつだって恐怖心に負けて、安全地帯に留まっている。それがアラフォーになってもこの私。

 

だから、たまにはちょっと冒険してみたっていいんじゃないかと。

 

昔は海外一人旅だってできたやつが、こんなに臆病だなんて信じられないでしょう。

あれだって超絶一大決心の結果だから。

 

消えたときは、ああ、こいつ逃げたな……と思ってください。逃げただけ死んではいないだろうから、そこは大丈夫。

 

 

さぁて、ぼちぼち行きますか。大放出祭り!

 

そもそもだ! そうたいしたもんでもないから心配するな! 自意識過剰なんだ、うん!

 

 

……思いがけずなにかご迷惑をおかけすることになったなら、すみません。

スルーしてくださるか、こっそり教えていただければ幸いです。

 

 

そして……オイオイ、以下の書き上がり記事から四ヶ月も経ってるの? 

待っていてくださる読者様がいるかもしれないのに? さあ、急げ!

 

 

だからとっくに年は明けている。(雑記・エンタメ・ゲーム話諸々)

 

ご無沙汰しておりました。皆々様、あけおめでございます。……いや、もう寒中お見舞い申し上げます。

 

……現在地元、もう雪いらない、ヤ・メ・テ(はぁと)(あおすじ)

 

来月あたりには色々打ち上げたいと思っておりますが、どうなることやらのこのごろです。

 

以下、どーでも近況。

 

・アラフォー、年末年始でイラレレベル1になる。(※ illustratorを勉強したの意)……これで小説の地図を(あんな見るにたえない手書きから)もっとまともにできる……!という目論見のもと。

現在、作業がめんどくさくて頓挫。(えっ)

本の表紙とかもデザインできるかな?と思いきや、自分にデザインセンスが絶望的にないことを実感する。ちょっとばかしイラレ使えてもアイディアが出ないとこうなりますわな……。

 

・転居、転職活動を続行中。まだ実感がわかないものの、ちょっと見通しがついてきたかも。

 

・一方で現本業も繁忙期。なのにうっかりあの似非『グランベル778』の続きを小説形式で書いて、あっという間に7万字☆ 

……オマエは良い年してなにをやっとるんや……(あ然)

あ、DS復活させましたわ。久しぶりにFEプレイしたら5回くらい死んだ☆彡

……だからなにをやっとるんや。

もう2/3くらいで完結の構想中☆

書いたものの、公開するんか、コレ……(汗)

 

(上の事実を見ると、多忙だ暇だに関わらず、自分がなにをめんどくさがり、なにをすいすい進めるか、残酷なまでによくわかるな……)

 

・あ、肝心の三作目中身は、もう最終推敲をはじめていいかというところまで来ました。中身だけならば、来月中には公開可能状態にできそう。中身だけなら。

……推敲の結果、やっぱり文字数増えたけどな!

…………ダメパターンすぎる。最終推敲でなんとか今度こそ削りたい。

 

 

《以下、諸々エンタメ事情》

 

・昨年の『吸血鬼すぐ死ぬ』アニメ、最高でしたな! わたくしめの好きな下半身透明くんとあっちゃんが出てこなかった以外、どこをどう観ても最高!(第2期に持ち越しというわけですよね?)(でもあのお話のキッスさん出オチがすばらしすぎるんだけどなぁ……)

うん、しかし毎話声優陣が豪華すぎて話が頭に入ってこないことがたびたびあったので、うんうん、もう一回観よう! 何度でも観よう!

 

ところで、わたくしの人生四半世紀間の声優さんの根幹である、箱田先生の『ファイアーエムブレム』ドラマCDの話をしていいっすか? マジもう四半世紀くらい前のなんですけど……

 

オグマ→キンデメさん

ナバール→ヨモツザカさん

アベル→ナギリさん

カイン(2作目)→シーニャさん

カミュ→Y談おじさん

ミシェイル→ドラウス父さん

 

……世の中、狂ってなぁい?(はぁと) 

声優陣様、昔から豪華すぎなぁい?

私はもう四半世紀も天国で生きているのね。

 

(箱田先生FEのドラマCD……つくづくおっそろしいって。今なお主役級の著名な方々ばかりだからね、まさに)

(私、カインのファンでございまして、高木さんverも小野坂さんverも最高。どっちも豪華すぎやろ)

(したがって私が後にボーボボのアニメを観た際の衝撃を、お察しください。いや、めちゃくちゃ楽しんだんですけども)

(あとナギリ回の途中CMで『最遊記』の三蔵様をぶっこんできたときは盛大に吹きました)(私の中にはいつまでもアベルがいるよ……。毎月Gファンの名シーン読者投票で1位だったアベルを忘れていないよ……)

(こういう経験を思うと、気楽な身の上のままアラフォーになるってのも悪いことばっかりじゃないね、ホント……)(時間っていうのは、ある日エンタメの感動を最上級に高めてくれますよ)

(そして長く続けられている方々の偉大さに思いを馳せる……)

 

 

・『相棒』シーズン20視聴しておりますよ。

先日(19日)放送のは、開始1分足らずで狂気を感じましたが、案の定ぶっとんでましたな。笑いました。いや、事件そのものはシリアスなんですけど。

例のここ掘れワンワンもですが、一目見て悪人とわかる部屋のデザインセンスとか感嘆するしかないですZE……

 

冠城くんさぁ、あんな右京さん放置して卒業とか、マジなん? なんの嫌がらせ?? ひどくない? だれが今後あれと上手くお付き合いできるというの? 次の相棒がどこのどなたにせよ、気の毒で仕方ないんですが。たとえすでに出演していらっしゃるだれかだとしても、まったく新しい人だとしても、同情しか覚えませんよ、もう。こんなんこれまでの相棒交代では覚えなかった感情。ただただ後任気の毒!

(いや、個人的に……たぶん大多数の視聴者の方々と同様に、冠城君に卒業してほしいなんて1ミリも考えていない人間なんですが。もうずっと冠城君しかいないと思ってたし)

二代目あたりがもしや万一戻ってこられたとしても、本気で同情しますわ、これ。ごめんなさい、すべては冠城亘とシーズン最長お付き合いをしていたせいなんです、右京さんがこんなにパワーアップ(色々な意味で)したのは。

……で、どう卒業なさるんです? 正月スペシャルで言及されていたカズヤくんとかいうお友だちが無事闇落ちし、最恐テロリストと化して襲来するとかですか? 初代の卒業も旧友の意志を継ぐ形でしたよね(闇落ちじゃなかったけど)。

以前に観たドラマ『天国と地獄』で、一生さんと迫田さんが演じた二人を勝手に思い起こしているところであります。

それともあれか、獄中の例の悪女が、また遠距離攻撃を仕掛けてくるわけですか?

 

……もう、わかりましたよ。覚悟はできましたよ。

 

私は某ボーンズの『甘い人』を経験した人間ですから。もうなにが来ても死なないからいいよ、たぶん……(ほぼ自棄)

 

でも個人的には、右京さんが定年退職して紅茶屋兼探偵事務所を開き、特命係は冠城くんと青木くんあたりに譲る形がいちばん良いのになぁ……と妄想してましたわ。

 

ぶっちゃけ思うに、シーズン20も続いた名作長寿ドラマに、新しい相棒を入れる「体力」があるんでしょうか? あってはいけない気もするんですが……

(せめてもう出演済みのだれかならばまだしも──)

 

 

・昨日SONGSを、大泉さんの紅白舞台裏特集ということしか知らないで、仕事終わりに間に合って視聴しましたら、まさかのシゲさん登場でひっくり返りましたわ。

いやぁ、視聴しはじめ、「なぁに、シゲさん、今日はナレーションやらないんですかぁ~?」なんて言ってたそばから、本人出て来たもん。そりゃ夕食むせもするよ。ありがとうございます、国営放送。

なんかもう途中、ジャンボリーの総合P再来を見ている気持ちになりましたよ。

 

 

以上、新春の結論:世の中ちょっと狂ってなぁい?

 

 

 

 

ティベリウス・クラウディウス・トラシュルスの華麗なる経歴

仕事納めてきました。年の瀬、ご機嫌うるわしゅうございます。

 

さて、表題の方ですが、ティベリウス帝の友人であり側近であったとして、史書に名前が残っている人物です。天文学者。古代は天文学者占星術師(占い師)を区別していなかったらしいのですが、ちょっと信憑性の怪しい占いエピソードも残っております。タキトゥス、スエトニウス、ディオといった歴史家全員に言及されているので、実在していたのは確かでしょう。

 

不肖わたくし、古代ローマ小説の一作目、二作目とも登場させている人物です。

 

年内最後は、この人の、ちょっと泡を吹いて倒れるレベルの華麗なる経歴について書かせていただければ、と。

 

不肖わたくしの小説はさておき、

 

出身はエジプトのアレクサンドリア、あるいは同じナイルデルタ内にあった都市メンデスと言われています。歴史上は「メンデスのトラシュルス」と書かれることも。

生年不明。ただ没年はわかっています。ティベリウス帝死去の前年です。(帝よりは長生きしてほしかったですわ……)

帝は77年の生涯と、当時としては長命も長命でしたので、その前年まで生きていたというトラシュルスは、たぶん帝より年下だった可能性が高いと思われます。確実ではないですが。

 

帝と知り合い、友人になったと思われる時期は、おそらく前6年~後2年のあいだ、すなわち当時、ティベリウスロードス島家出……いや引退していた時期です。

 

その後、ティベリウスは後2年にローマへ帰国しますが、トラシュルスも友人に同行したようです。時々もしかしたら里帰りしたかもしれませんが、アウグストゥス帝死去の年にもローマにいますし、ティベリウスが皇帝になってからもカプリ引きこもりまで付き合っていたようです。

 

ここでまずスゴいのが、彼の名前。

ティベリウスクラウディウス・トラシュルス」とは、ティベリウスによってクラウディウス一門の名前をもらい、パトローネス=クリエンテス関係を結んだということ。そしてローマ市民権を得たということ。

 

ティベリウスが、アウグストゥスと仲直りをする前に……いや養子になる前に。

後4年以降であれば、彼の名前は「ティベリウス・ユリウス・トラシュルス」になっていたはず。

トラシュルスは天文学のほかにも文法等の専門分野があったらしく、おそらく教師としてローマ市民権をゲットしたのでしょう。アウグストゥスは市民権を容易くは与えなかったとされる人ですが、先代カエサルに倣って医者と教師になら市民権を与えることにしていたはず。

と、いうことは後2年~後4年2月頃までのあいだに、首都ローマにて、トラシュルスはローマ市民権をゲットしたということか。

ロードス島にいたうちにゲットした可能性もなくはないですが。

どっちにしろ、ティベリウスアウグストゥスがまだ喧嘩しているうちに、よくゲットできたな……とは思います。天文学者といったって、場合によっては「インチキ占い師」と紙一重だったでしょう。ティベリウスなど皇帝になってから、占い師全員首都追放令とか出していますからね。疑いの目で見られてもおかしくはない。

 

ただ問題は、このトラシュルス氏が、クラウディウス一門家父長から上手いことローマ市民権をゲットしたことではありません。

 

問題は、後3年時点で、彼が二児の父親だったということ。

 

 

 

しかも奥方はコマゲネの王女。

 

 

 

え……?

 

 

ええ……??(ドン引き)

 

 

(※以下、私もいくらかは資料を持っておりますが、多くが英語版Wikipedia様からの情報。私の読み違いもあるかもしれません。ご注意を)

 

 

……なぜ後3年で二児の父であることがわかっているかというと、この時生まれた男児が、「ティベリウスクラウディウス・バルビルス」という超大人物であるがため。詳しくは後で書きますが、クラウディウス、ネロ、ヴェスパシアヌスの三皇帝に仕えて、無事大往生を遂げたらしい、大河ドラマの主役にできそうな人(後3年~79年)

 

息子出世しすぎぃ! トラシュルス!

 

このバルビルスの孫が、ユリア・バルビッラという、こちらもハドリアヌス帝とその妃の友人として有名な女性になる。

……トラシュルスについて史家が触れているのは、たぶんこのように子孫繁栄にもほどがある人だったからでしょう。バルビルスとユリアを遡れば、先祖である彼に触れないわけにいかない、と。

なにしろ首都ローマに一族で初めて来た人なんだから。

 

そして息子バルビルスには姉がいたようなんですが、この方(名前は不明)、エンニウスという人と結婚して、エンナ・トラシュラという娘を産みます。この孫エンナも有名で、ティベリウスの近衛隊長マクロの妻であり、カリグラ帝の愛人だったとされる女性です。そのせいだったのか、気の毒に、まだ若いのに非業の最期を迎えます。

 

 

ところで、え……? 孫って……?

 

 

仮に母親が後1年生まれだとして、エンナは後17年くらいに生まれ、ティベリウスが死去した年は二十歳くらいで、その翌年にはもう……──となるわけですが、

(ちなみに夫マクロが生年前21(※いくら当時では珍しくもないとはいえ、若い妻をもらいすぎだろ)、カリグラが後12)

 

つまり……どういうことか。

 

ティベリウスロードス島にいた時点で、第一子が生まれていないとおかしい、少なくとも妊娠していないとおかしい、ということ。

 

不肖わたくしの二作目の小説の時点で、もうトラシュルスは父親であった可能性が高いということ。

 

しかも相手はコマゲネ王女!

 

 

待てや、ゴルァ!

 

いったい全体なにコネクションで、小国とはいえ王女様と結婚しとるんや、トラーーーーッシュ!!??(アバンストラッシュでも見舞いたい…)

 

ま、まずコマゲネとは、ですが、当時カッパドキアアルメニア、そして属州シリアに挟まれて存在した国です。(当時の地図でも無視されるくらい小国…)王国になって160年くらいだったらしく、比較的若い。セレウコス朝シリアから独立したそう。

 

とはいえ、トラシュルスがめとったのは、この国の第7王女とか第8王女ではありません。

 

第1王女をゲットしたらしいよ!

 

 

ウソだろ……??(ここで泡を吹く)

 

 

奥方であるAKA王女(アーカ王女? それとも英語でalso known asとかいう用語?)は、四人兄妹の二番目で長女。ティベリウスロードス島に引っ込んだ時点で、父王はすでに亡く、実の兄が国王。

 

どうかしてるぜ、兄王! 妹で第1王女を、よくわからないエジプトの学者にほいほいと嫁に出すなんて……!

 

い、いや、トラシュルスが良い家柄であったのかもしれませんが、この人、父親の名前は残っていないんですよ。ギリシア系の名前なので、○○のトラシュルスと紹介される際、ここに出身都市でなく父親の名前がきてもよさそうであるのに。

 

したがって、父親は無名であったとするしかない。

 

父親無名のメンデス市とかいうナイルデルタのどっか出身の一介の天文学者に、王女を嫁にやるですと……!?

 

信じ難いことですが、現代の研究者の方々も同じであるらしく、「どうやってアーカ王女と縁ができたのか不明」と書いています。

 

マジでどーやったんですか、トラシュルス!?

 

……いちばん考えられるのが、ティベリウス・コネクションですが、ティベリウスも別段コマゲネ王家と親しかったような話はありません。王族がローマに留学していた可能性はありますが。

ティベリウスロードス島滞在中に、コマゲネ王一家が親善訪問した。そこでなぜか王女とトラシュルスが恋仲になった。

そういうことなの?

 

……恋仲、と言いましたが、そう言うしかない。ここに政略の類が見いだせないのがまず奇妙なんですよ。コマゲネ王、ティベリウスのファンだったのかもしれませんが、当時ならアウグストゥスの孫ガイウス・カエサル派の人とでも縁組みさせるほうが、まだ自然では?

なぜティベリウスの友人? しかもたぶん友人歴そんなに長くない。(不肖私の小説はさておき)せいぜい5年くらいでしょ、わかっているかぎりは。

 

なんでこういうことになった!?

 

当時のティベリウスの心境こそまさに上記だったかもしれません。え? そこくっつくの? そして、いいの?

 

いいよって言っちゃうコマゲネ王、大丈夫? 

 

くり返しますが、わかっているかぎり、トラシュルスは庶民。一介の天文学者

 

それとも違うの? クレオパトラ女王の親戚かなにかだったの?

 

こうして考えてみると、ティベリウスと知り合う前に、王女と結婚していた可能性さえなくはないのですよね。王女コネクションからティベリウスと友人になったというパターンもあり得る。

いずれ、トラシュルスって何者!? どうやって王女を落としたの? もしかしてとてつもない美形だったりした??

 

こうして見事逆玉に乗った挙句、さらに友人ティベリウスアウグストゥスの後継者になり、とうとう帝位にまで就いてしまう。トラシュルスは帝の側近として、死ぬまで一緒に居続ける。孫はその次の皇帝の愛人。息子は次の次の皇帝の側近。以後、ひ孫の代まで歴代皇帝のそばに居続ける。

 

だから子孫繁栄にもほどがあるでしょうが、トラシュルス! 少しその子やひ孫の幸運を、友人ティベリウスの子や孫に分けてあげるべきだ。どんだけ家庭に恵まれたのか、この天文学者兼占い師は。

 

わりとマジで、本物の占い師で、自分の未来を予知できたんじゃないだろうか? しかも予知したうえで運命を操れるという、超能力。そんな疑惑さえ抱いてしまうレベルでしょ、もう。

 

なんならアウグストゥスにも認知されていたみたいで、彼がトラシュルスをからかって笑いこける描写さえ、スエトニウスが残しています。

彼の孫二人の若死にが、もしも万一陰謀によるものだったとしたら、結果だけ見れば、このトラシュルスこそ最も疑惑の人にさえなりやしませんか、これ……。

 

そして彼の優秀すぎる息子バルビルスよ……。どれだけ優秀かというと、カリグラ帝に殺されずに済み、クラウディウス帝とともにブリタニアに行って軍団を指揮し、ネロ帝によって殺されるどころかエジプト総督という騎士階級の出世の頂に立ち、父親の故郷に凱旋し、総督退任後はネロに近づくのが危険だからとそのままアレクサンドリアに居座り、たぶん悠々自適の老後を満喫し、そうしたらネロが死に、三皇帝が入り乱れ、ついにヴェスパシアヌスが皇帝に名乗りを上げ、たぶん少なくともブリタニア遠征の時点で顔見知りではあっただろう彼を支持し、ヴェスパシアヌスが帝位に就くやローマに戻り、専属の天文学者となり、帝の死ぬ年に大往生を遂げる。享年76歳。

幸運すぎる……。

 

この方も実に大人物ですが、なによりまず貴方のお父上は何者ですか、と問い詰めたい。そんな2021年年末。三作目、第二次推敲終わり目前。

 

貴方のお父上、また書かせていただきますよ。

 

王女との結婚の謎は永久に解けそうにないけど。

 

 

※※※

以下、「小説家になろう」様に投稿している拙著。

来春三作目公開予定。

ティベリウス・ネロの虜囚』 (https://ncode.syosetu.com/n6930cz/) 
『ピュートドリスとティベリウス』(https://ncode.syosetu.com/n6661ez/

年末年始へ向けて、変化

いきなりですが、来年早々に実家を出ることになりました。現在恐怖の一人暮らし計画を邁進中でございます。

不動産屋さんに行ってきましたZE⭐️ もうだいたい住むとこも決めた!


デモデモガクブル((((;゚Д゚)))))))


……いや、一応一人暮らしはしたことなくはないんですけどね、学生時代に。

ただあれは中でもイージーモードの一人暮らしだったと当時から思っておりました。


この仕事の繁忙期によりによって……ではありますが、3月になったら引っ越しシーズンが始まりますし、その前にケリをつけねば、と。


まぁ、今いるところからそれほど遠くに行くわけではないのですが、とりあえずは。


現在、いい年をしてだいぶビビっております。新生活にワクワク♪ドキドキ⭐️……なんて気持ちはまず微塵もない。ベリーハードモードが待っているのがわかるだけムダに年を食ってしまったので。


でもまぁ、ずるずるここまで来てしまったし、良い機会かな。


あなたはちゃんと相談できる人だから、大丈夫だって言ってもらえたし。


この一年数ヶ月で、色々ありすぎて金欠ではありますが(先日トドメの一撃を食らってようやっと腹を決めました、苦笑)、無理矢理にでも楽しもうと思います。


他人を変えることはできません。自分でさえ大変なことだとわかりますが、それでもまだ楽でしょう。とりあえず楽観的に、謙虚に、動けばいいんだから。


人様より十何年も遅いですが、ようやく。



ああ、前記事のあとがきにも書きましたが、三作目の小説は、予定どおりの打ち上げをあきらめておりません。それどころか、予定を早めようとさえ目論んでいます。「ネット小説大賞」に応募するために。入選の可能性はどう考えてもゼロですが、自分への区切りと、いくらかでも宣伝になればと(詳しくは長い長い前記事の最下部の「あとがき」で)


ぶっ倒れるなよ、わたくし。


まだ今年最後の記事ではないと思いますが、そうなった時のために。

本年もこちらブログや小説を載せているあちこちのサイト様にアクセスしてくださった皆様、ありがとうこざいます。私のパワーの源です。


来年こそは、公開しますぜ、58万字!!(そんなに要る?……笑)

リーフ王子のグランベル778/第6話 リーフ軍の最後の聖戦(前編?)

ほぼ17年前(今回で確定)、『ファイアーエムブレム 聖戦の系譜』で、一部キャラを『トラキア776』のキャラと思い込んでプレイした記録です。会話メイン。脚色あり、後述。聖戦キャラの人権(キャラ権)がありません)

(登場人物とルールまとめ↓)

  


第6話

~終章 最後の聖戦~

 

 

エリウッド:ここはぼくが一人で戦おう!

 

フィン:だから! あなたがたのゲームじゃないんですってば!

 

エリウッド:くっ……みんな、すまない……!

 

リーフ:いや、わけわかんないし。本当に一人で戦ってくれるとありがたいんだけど。

 

ナンナ:リーフ様、いよいよですね。

 

リーフ:ああ、ナンナ。ぼくらはいよいよここまで来たよ。表向きは追いはぎもせずに、我ながらよくやってきたと思うよ。

 

リフィス:裏ではちゃっかりやってたんだけどな。ほらよ、今回は1人5000G。これ以上売るもんはねぇから、あとは持ち物を処分するとか村人から巻き上げるとかして、自分らで工面しろよ。

 

リーフ:さんきゅー、リッフィー&パーン(はぁと)

 

フィン:巻き上げるはマズいです…(^-^;

 

パーン:へぇ、ここがグランベルかぁ。観光には良い機会だな♪

 

リーフ:…こうなったらトラキアから残ってる仲間をみんな招集して戦おうか? そしたらいくら帝国の精鋭部隊だってあっという間に丸裸にでき……いや、倒せるよ! もう敵には偽物だってバレてるんだし、今さらコソコソしてもしょうがないじゃないか。

 

セティ:だがグランベル市民にはバレていない。まぁ、堂々と戦うのはいいことだが、一応このセリスロボは使うとしよう。

 

シャナム:ホントはただマギ団製作のソレが気に入って使いたいだけだろ、あんた…(^_^;)

 

セティ:それに、今から呼んでももう遅い。外にベルクローゼンとエッダの傭兵団が配置されたぞ。

 

カリン:結構数が多いですよ、リーフ様! どうします?

 

リーフ:……よし。行こうか、みんな!

 

オーシン:おうよ! 今までで最強の敵が来やがる戦いだな! おもしれぇ。こういうのを待ってたんだよ!

 

シャナム:うっ……ほ、本気か、諸君! 帝国の最精鋭部隊だぞ! 恐ろしく強いんだぞ!

 

マリータ:大丈夫ですよ、師匠! 私がついてます! サラを助けるためにも!

 

デルムッド:セリス様たちを助けるためにも、ここで退くわけにはいかない。

 

コープル:ぼくもクラスチェンジしました! これからは攻撃面でも頑張ります!

 

フェルグス:ま、世の中なんとかなるもんだって!

 

ハンニバル:うむ、今こそ我らトラキア人の力を見せつける時ぞ!

 

リーフ:そのとおり! このマスターナイト・スーパーリーフマンはもう帝国なんかに負けるもんか!

 

アルテナ:その意気よ、リーフ! さあ、行きましょう!

 

リーフ:はい、姉上! いざ、トラ7の誇りをかけた最後の聖戦へ! まず手始めは、あそこの山の上のベルクローゼンどもだ。ぼくとハンニバル将軍で間接攻撃を仕掛ける。届かないところは姉上とカリンでよろしく!

 

 

 

 

パーン:行ったな……

 

リフィス:えぇ、えぇ……

 

パーン:一応バックアップの連中を呼んでくるとするか。

 

リフィス:そうっすね……

 

 

 

 

リーフ:トルネード!

 

ハンニバル:勇者の弓! ザシュゥゥッ

 

ロプト兵:ギャーーーーッッ

 

アルテナ:スリープはみんな片づけたわ、リーフ!

 

リーフ:よし、姉上とカリンはシアルフィ北西にいる別のベルばら隊を片づけに行ってください。ケガをしたらコープルにリブローしてもらうこと。

 

カリン:了解です! 行きましょう、アルテナ様!

 

セティ:エッダの傭兵騎士団が来たぞ、リーフ王子。

 

リーフ:みんな、平地だが壁をつくれ! フィン、前線を任せていいね?

 

フィン:はっ! この道はあの日キュアン様、エスリン様と御供に歩いた道……。お二人とも見ていてください。このフィン、命をかけ、最後まで王子をお守りいたします! くらえ、勇者の槍ーーーー!!

 

 

 

ロベルト:うむ…今戦っているのは反逆者セリスの軍だというのに、良い賞金首が見当たらんな。どこだ、どこだ?

 

オーシン:おいコラ、キョロキョロしてんじゃねぇよ! この俺を前にしてずいぶんと余裕じゃねぇか、隊長さんよ!

 

ロベルト:フン、山賊に用はない。どけ!

 

オーシン:だれが山賊だぁ!!(# ゚Д゚)

 

マリータ:そうよ、オーシンはこう見えても普通の村の青年なんだから!

 

シャナム:こう見えても…(^_^;)

 

フェルグス:お前、ロベルトっていうのか? セルフィナ親衛隊のロベルトとは似ても似つかねぇが、当たり前か。

 

ロベルト:なんなんだお前らは? そろいもそろって貧乏くさい、田舎の平民どもばかりではないか!

 

4人:だれがだあああああああっっ!!!!

 

マリータ:失礼ねっ、私たちのどこが貧乏くさいっていうの!?

 

ロベルト:それはもう見た目と、かもし出す雰囲気が、どーしようもなく庶民的だ。

 

フェルグス:おいおい、俺はこう見えてもコノートの……ゲフンゲフン

 

シャナム:おのれおのれ! イザークの王子シャナン様に向かってなんと無礼な発言を!(# ゚Д゚)

 

ロベルト:イザークの王子? 笑わせるな! 俺は世界を旅しているから本物の顔くらい知っている。お前とは似ておらん!

 

シャナム:くっ……ホメロスと同じようなセリフをっ……

 

ロベルト:おおっ、いたいた、あそこに! 高貴な身分の絶好の賞金首が!

 

ナンナ:ああっ、お兄様っ! やっぱり私たちの高貴なる気品は田舎の平民の中にあっても隠しきれないものなんですねっ

 

デルムッド:ナンナ……(・・;)…いや、あのな……

 

ナンナ:でも残念でした。あなたは哀れにも私たちの高貴なるカリスマパワーに触れることもかなわないのです。

 

ロベルト:な、なんだと?

 

フェルグス:まぁ、よーするにカリスマ×2で20%、平民軍団はパワーアップするわけだ。

 

マリータ:バカにしないでね! 平民の力を見せてあげるわ! 流星必殺剣ーーーー!!

 

ロベルト:ぐわーーーーーっ!!……ってこれはイザーク王家の……ぐふ。

 

リーフ:よし、まずは第一陣を突破だ! 全軍、エッダ城に向かって進軍だ!

 

 

 

 

リーフ:なんだよあれわっっ! ええっっ!!?

 

シャナム:うわぁ……見渡すかぎりのスリープと遠距離魔法……(~_~;)

 

リーフ:くっ、なんということだ……。こんな、こんなことってっ……

 

ナンナ:リーフ様っ

 

リーフ:いったいいくら金使ってんだ? エッダってあんなに金持ちなの? ああ、もったいない。あんなに資産があるなら少しはこっちにくれればいいのにっ。てゆーかあいつら全部とっ捕まえて身ぐるみはいじゃえばいくらになるかなっ? なっ? あーもう、うらやましったらありゃしない!

 

セティ:…まぁ、思ったより余裕じゃないか、リーフ王子。

 

リーフ:教団ってあんなに儲かるんですね。初めて知った……。はっ、待てよ? バルキリーの杖があるってことは、コープルはエッダ家の直系で、つまりあれは本来全部コープルのもの──(キラーン☆)

 

セティ:(新しい金ヅルを見つけた顔だ……(^_^;))

 

フィン:…とりあえず中央のボイス傭兵団をおびきだして、先に片づけてしまいましょう。

 

 

 

 

シャナム&ボイス:フッ、今宵の必殺剣はよく斬れる──……!!??

 

シャナム:チッ、貴様、俺のカッチョ良いセリフを真似するな!

 

ボイス:それはこっちのセリフだ。まぁいい、どっちの必殺剣がよく斬れるか、試してみようではないか。

 

シャナム:え゛?

 

ボイス:我が秘剣、とくと受けるがいい。

 

シャナム:おっ、その台詞もいいな♪ もらっとこう…

 

ボイス:必殺太陽剣!!

 

シャナム:ぐはあっっ……う……ぐ……

 

マリータ:きゃああああっ、師匠! シャナム師匠! しっかりしてください!!

 

シャナム:で、弟子よ……私はもうダメだ……。どうか……私の教えを…後世に……──

 

マリータ:いやぁっ、死なないで! 師匠ーーーーっ!!

 

リーフ:リカバー!

 

一同:!!!???

 

シャナム:…………????……へ?……へ?……へ?……あれ??

 

フェルグス:……気のせいか? 今何かとてつもなく非現実的な光景を見たような……(・_・;)

 

オーシン:……うん、さすがだな。見事な杖さばきだぜ、コープルっ

 

リーフ:コープルじゃないって。ぼくがやったの! しかも全快させたの!

 

オーシン:うそだぁっ! そんなのリーフじゃねぇっっ! 杖を振るリーフなんて、なんか違う! おかしいっっ!!

 

フェルグス:トルネードまでならすげーで済むんだが、さすがにコレはちょっと……(^_^;)

 

ナンナ:シクシク……(;_:) 私はあっという間に杖レベルまでリーフ様に越されてしまって……! ああっ、もう私なんかいなくたってっ、いなくたってぇっ──

 

リーフ:うわあ、ナンナっ、泣かないでくれ! ぼくは決してそんなつもりで使ったんじゃっ……! ああ、ナンナ、君が泣くくらいなら、もうこんな杖いらないっ!

 

フィン:リ、リーフ様、一応それでシャナムの命が助かったんですから……(^_^;)

 

コープル:バルキリー代の節約と思えば安いもんですよ!

 

セティ:コープル……ちょっとその言い方は……(^_^;)

 

ボイス:お前ら、さっきから私を完全にシカトしておるな(怒)

 

リーフ:ナンナっ、どうしたら泣き止んでくれるんだい?

 

ナンナ:この戦いが終わったら、私と世界リワープ新婚旅行を共にしてください。

 

リーフ:わかった、約束するよ。絶対だ!

 

デルムッド:ナンナ……まさかお前が王子をかついで──*1 お、俺は腰のあたりの頭痛が──

 

ナンナ:大丈夫ですよ、シャナムさん! 私とお兄様が後ろについてカリスマしますから。さぁ、行ってらっしゃい♪

 

シャナム:どわあっ、いやだぁっっ!Σ((゚Д゚;)

 

ブリアン:ゆけ、グラオリッター!!

 

ドズル軍:うおおおおおおおっっ!!

 

シャナム:ひーーーーっ!((;゚Д゚))) 斧を2回もブンブン振りまわすなぁっ!

 

オーシン:どんどん来やがれ!

 

シャナム:見様見真似流星剣ーーーー!

 

ブリアン:フン、平民の分際で我らグラオリッターにかなうと思っておるのか? まずは前線の一人に集中攻撃をかけ、連中を総崩れにしてやれ!

 

シャナム:おっ、俺はイザークの王子だぞ! バルムンクだぞ!

 

ブリアン:そこの生意気そうな小娘をねらえ!

 

マリータ:むっ……

 

ドズル軍:どりゃあああああああああっっ!!

 

マリータ:我流流星剣! 月光剣! 必殺4連撃! さらに連続! たあーーーーーーっっ!!

 

ズバッグサザシュズカドカッズババッバキズサザシュズバババザングサズバズバッ

 

ブリアン:ぬ……ぬぉぉ……(゚Д゚;)

 

フェルグス:…なんでいちばん強いのにかかってくかな? バカなんじゃねぇ?

 

コープル:しかも相手の攻撃はかすりもしませんよ。ぼくの出番ナシですか?

 

オーシン:俺もだ。つまんねぇなっ

 

シャナム:で、弟子よ……少しはこっちにまわしてもいいんだぞ……

 

マリータ:え?

 

アルテナ:…でももうほとんど壊滅状態よ、グラオリッター。

 

ハンニバル:よし、全軍、一気に敵を全滅じゃ!

 

デルムッド:毎回毎回おたくの軍はなんでこんなに学習能力がないんだ?

 

ブリアン:お、おのれおのれ! こうなればいったん城に引き返し、援軍を連れてくるぞ!

 

デルムッド:やってることもシュミットと同じだな。だが、そうはいくか!

 

ブリアン:このスワンチカで砕かれたくなければそこをどけ、傍系!

 

セティ:フォルセティ──は届かないか…。大丈夫か、デルムッド?

 

デルムッド:ええ、こいつは俺が引き受けます。

 

オーシン:スワンチカってそんなに強力な斧なのか?

 

アルテナ:確か守備+20、魔防+10よ。

 

ブリアン:非力なフォレストナイトにこの最強の斧がやぶれるものか! 実際、キサマの妹のほうが力も守備も──

 

ナンナ:お兄様っ! 一刻も早くそんなヤツやっつけちゃってください! 伝説の武器がなんですか! あんな男に聖戦士を名乗る資格なんてないわ!(※注 フォレストナイトの力・守備の最大値23、パラディンは24、そしてトラ7ナンナの体格は──おっとだれか来たようだ…)

 

デルムッド:……(^_^;)…わかった。いくぞ! ベオの剣!! 連続!

 

ブリアン:フン! 

 

ガキィツ ガチィッ

 

ブリアン:蚊に刺されたようなものだな。くらうがいい、真の聖斧スワンチカの威力!

 

キラーーーン! ズバババババッ

 

デルムッド:ぐあぁっ……

 

フェルグス:デル!

 

ナンナ:お兄様! 負けないで!

 

デルムッド:こ、ここからだ。突撃必殺!!

 

ブリアン:こちらもだぁ!!

 

ズババッ ザシューーーーーーッッ

 

 

ブリアン:………………バ、バカな……スワンチカの斧が……! …本当にこれでよかったのか……

 

デルムッド:ハァ……

 

ナンナ:やったぁ! お兄様! すごいわ、聖戦士の武器をやぶるだなんて!!

 

フェルグス:腕を上げたな、デル! よくやった! あとは俺たちに任せとけ!

 

コープル:リザーブーー!

 

 

 

 

リーフ:この際きっぱり言うけど、あんたたち弱い! 弱すぎる! だからちょこまかと動かず、胸を借りるつもりでどーんとかかってきなさい、正面から。

 

カリン:そうよ! 私たちの魔法剣がもったいないじゃない!

 

フィッシャー:やかましい! 我々も誇り高きグラオリッターの一員なのだぞ!

 

リーフ:その3軍か4軍だろ、きっと。

 

フィッシャー:どやかましいわっ、たわけっっ(# ゚Д゚)

 

リーフ:あれ、図星だったのかな?

 

フィン:王子が出るまでもありません。ここはこのフィンが勇者の槍で! はあっ!!

 

グサッ ズバッ

 

フィッシャー:うぅっ……ブリアンさまぁ……

 

カリン:やっとここも突破ね!

 

リーフ:ああ、ドズル城に急ごう!

 

 

 

ダゴン:おのれ、フェンリルーー!

 

フェルグス:うわっとっと…

 

カリン:フェルグスーー!

 

フェルグス:おう、そっちも片づいたみたいだな。

 

リーフ:うん、そっちもみんな無事かい?

 

フェルグス:ああ、わりとあっさりとな。

 

リーフ:よし、ではいくぞ、フィン、フェルグス! トライアングルアターーック!!!

 

カリン:あーずるいーっ! 私もやりたいーー!

 

リーフ:うん、じゃ、スクエアアターーック!!!!

 

ダゴン無茶苦茶なぁぁぁぁぁっっ

 

 

 

 

セリスロボ:セイアーツ!

 

リーフ:さあ、これでドズルまで来たぞ。ああ、丘の上にはすでに王都バーバラが見える……。でも次は──

 

フィン:次に目指すはフリージです、リーフ様。我らトラ7軍と北トラキアの民を長年にわたって苦しめてきた宿敵…

 

リーフ:そうだ、ついにフリージとの最終決戦というわけだな。積年の恨み……ほとんど生まれつきの逃亡生活……何度も絶望しかけた長い長い戦いの終わりと言っていい。よくもぼくを長いあいだ苦しめてくれたな!

 

フィン:そのとおりです、王子! 私もフリージから王子を何度命からがらお守りしたことか! 今こそ決着のときです!

 

シャナム:……少しは「いっぱい追いはぎしちゃってごめんなさい」とかも言うべきなんじゃ……(^_^;)

 

リーフ:さあっ、さあっ、ゲルプリッタ―なんて怖くない! 進撃開始だ! ──っとその前に、各自武器とか修理しておくように。

 

 


 

ナンナ:リーフ様、この戦いはいつ終わるのでしょうか?

 

リーフ:それはわからない。でも最後のときが近いのは確かだ。この戦いが終わったら、ぼくはみんなと一緒にレンスターに帰る。もちろん君もだ、ナンナ。そのつもりでいてほしい。

 

ナンナ:はい、私はどこまでもリーフ様についていきます。たとえ地の果てまでも──

 

????:本当に地の果てまで行くことになるかもな。

 

リーフ&ナンナ:!!??

 

リーフ:ナンナ、今なんか言った?

 

ナンナ:い、いえ……気のせいだったんでしょうか……?

 

マリータ:この戦いが終わったらか……。まだ気が早い気もするけど……。

 

シャナム:お前は戦後どうするつもりだ、マリータ?

 

マリータ:もちろん、世界各地をまわって武者修行するつもりです。候補としてはアグストリアかウェルダンか……まだ悪人どもがのさばっている辺りに。

 

シャナム:そうか……。まぁ、俺は故郷にでも帰って、ひっそりのんびりと──

 

マリータ:え? 当然師匠も一緒に修行に来てくださるでしょ?

 

シャナム:え゛?

 

マリータ:楽しみですね! 立ちはだかる数々の強者を二人で倒していきましょうね♪

 

シャナム:そ、そんな勝手に……(大汗)…お、おい、コラ、待ちなさい! 弟子よーーーーっ!!

 

 

 

 

カリン:リーフ様! フリージ軍を偵察してきました! 指揮官はヒルダで、ゲルプリッタ―はバロンばかりがたくさん。あと、フリージ城北東の丘の上に、ベルクローゼンがスリープやフェンリルを持って待機しているわ。

 

リーフ:そうか。バロンは大楯が厄介だけど、時間をかければなんとかなるだろう。ベルクローゼンはつくづくトラ7と違ってリワープとか持ってないだけマシだよ。よし、全軍、フリージに向かって前進──

 

アルテナ:リーフ、大変よ! 南の森に弓騎士団の大軍が出現したわ!

 

リーフ:え? 弓騎士団?

 

フィン:ユングウィのバイゲリッターですね。

 

リーフ:ユングウィ? どこそこ?

 

ズコッ

 

フィン:リ…リーフ様……! だから弓使いウルの血を引く公爵家だって、昔教えたじゃないですかぁ!(´Д⊂ヽ 

 

リーフ:あー、そういえばそうだった。トラ7で出てこないからまたすっかりうっかり…

 

フィン:いや…出てきたとは思うんですが……あ、いや、その──

 

セティ:とにかく、軍を二つに分ける必要があるぞ、リーフ王子。

 

リーフ:うーん、北にゲルプリッタ―、南にバイゲリッターの挟み撃ちか。どっちも手ごわいよなぁ。

 

スコピオ:フフフ、愚かな反乱軍め。我らの挟み撃ちに遭って、無様に死ぬがいい!

 

リーフ:うわ、もう来たよ!

 

フィン:リーフ様、ここはなるべく南に間接攻撃のできるメンバーを配置して、早めに片づけるのがよいでしょう。それから食い止めている対フリージ組の救援に向かう、と。

 

リーフ:そうだな。ならばぼくは南側につく。光の剣とトルネードがあるし、弓騎士団を引きつけて数を減らしつつ、各個撃破する。マリータ、デルムッド、君たちも魔法剣で同じことを頼む。

 

マリータ:はい!

 

デルムッド:了解!

 

リーフ:ナンナとセティ王子は援護を、突撃のときはシャナムと姉上も加わってください。フリージ組はフィン、よろしく頼むよ。

 

フィン:はっ!

 

リーフ:ぼくもフリージと戦いたいけど、ここは長く共に戦ってきた古参の精鋭陣に任せるよ。

 

オーシン:おうよ! 救援なんていらねぇ。俺たちだけでフリージをぶっつぶしてやる! そうだな、フェル?

 

フェルグス:ま、がんばるよ。これがフリージとの最後の戦いになるんだからな。

 

カリン:さっそく私、やつらをおびきだしてくるわ!

 

リーフ:ハンニバル将軍とコープルもフリージ組に加わってください。あ、でもなるべくこっちにもリザーブが届く位置にいてくれ、コープル。さあ、決戦だ!!

 

 

 

《南の森》

 

バイゲリッター:勇者の弓ーーーーっ!

 

シャナム:うわぁっ、来たぁ!

 

リーフ:くっ、トラ7には1本しかなかった勇者の弓をあんなに持ってるなんて、ズルすぎるぞ!

 

セティ:マスターボウがある分、ある意味セリス軍より恵まれていた気もするが……

 

リーフ:デルムッド、マリータ、なるべく「連続」を組み合わせて1体ずつ倒していってくれ! ぼくも光の剣必殺ねらいでいく! ナンナ、サポートよろしく!

 

ナンナ:はい!

 

マリータ:母様愛用、炎の剣ーー!

 

デルムッド:フレッドから借りた、いかずちの剣ーー!

 

ドカァン ズカァン

 

スコピオ:ひるむな、我が軍! 森にいる分、こちらが有利なのだ! どんどんいけ!

 

リーフ:なら森の外に誘い出すんだ。必殺光の剣ーー!!

 

ズドオオオオオン

 

セティ:リブロー!

 

ナンナ:リライブ! リーフ様、みんな、ファイトよ!

 

スコピオ:お前がこの軍の指揮官だな?

 

リーフ:お前がスコピオ!?

 

スコピオ:そうだ! 我が必殺のキラーボウを受けてみろ!

 

リーフ:面白い髪型してるね。トルード・カット? トルードのほうがかっこいいけど。

 

スコピオ:だれだそれわっ!? これには我が父の名を取ってアンドレイ・カットというナイスなネーミングがあるのだ! おい、そこの黒髪長髪の二人! 我が軍に入って、このナイスヘアスタイルにイメチェンしないか!?

 

マリータ:イヤーーーーっ! それだけはイヤーーーーっ!!

 

シャナム:俺の食いぶちがなくなるだろうが!

 

デルムッド:詐欺をやめる良いチャンスじゃないのか、シャナム?

 

シャナム:あの髪型はやだ! お前こそ、不良ヤンキーから更生する良いチャンスだぞ。あの頭になって、まっとうな人生を歩め!

 

デルムッド:だれが不良ヤンキーだよっ!? あんたに言われたくない!

 

セティ:(珍しく敵側から勧誘されていることは完全無視だな……(^_^;))

 

スコピオ:むうっ、なぜ不評なのだ? このナイスヘアカッティングが!?

 

リーフ:いや、いいよ、一生わからなくても。さ、勇者の弓は惜しいけど、とっとと片づけるよ。全員突撃!

 

マリータ:イメチェン反対、流星剣!

 

セティ:フォルセティ!

 

アルテナ:ゲイボルグ

 

シャナム:く、くらえ、わ、私の4連続攻撃!

 

デルムッド:今さらながらあんた、シャナムの偽物レベルで戦力になってるよな…(~_~;)

 

ナンナ:リーフ様、私に力をください! 銀の剣、必殺!!

 

vVラブラブアタック発動!!vV

 

ズバババババッ

 

リーフ:いいぞ、ナンナ!

 

スコピオ:チッ…なんということだ……! 私のアンドレイ・カット・チェーン店拡大計画が──

 

リーフ:そんなこと考える前に、剣の1本でも持ってきなさい。くらえ、光の剣!!

 

vVラブラブアタック発動!!vV

 

ズバババッ ザシューーーーッ

 

スコピオ:アンドレイ・カットばんざーーい……ぐふ。

 

リーフ:よし、バイゲリッターはすべて倒した! あとは北のゲルプリッタ―だな!

 

 

 

《北》

 

オーシン:おらぁっ!

 

敵バロン:大楯! 

 

ガキィッ ズシャッ

 

ハンニバル:ふむっ、勇者の弓!

 

敵バロン:大楯! トローン!

 

ガキィッ ズババッ ドオオオン

 

ハンニバル:むうぅっ……

 

コープル:父さん! リザーブ

 

敵バロン:リザーブ

 

オーシン:だああああっ! もうっ、せっかく削ったのにうっとおしい! なかなか前に進めねぇ!

 

ヒルダ:フン、平民ばかりのお前たちに、そうそう何度も我が軍がやられるものかい!

 

フィン:ひるんではいけない! 1体1体に集中して、慎重に進むんです!

 

オーシン:といってもこいつら、トロンばっかり使いやがって……

 

フェルグス:こうなったらやるしかねぇな。いくぞ、カリン!

 

カリン:え? ええ!?

 

vVラブラブアタック発動!!vV

vVラブラブアタック発動!!vV

vVラブラブアタック発動!!vV

 

ズババッ ドカァッ ザシューーッ

 

敵バロン:ぐわあぁーーーーっ

 

敵バロン:おのれーー!

 

フェルグス:ま、まだか!

 

vVラブラブアタック発動!!vV

vVラブラブアタック発動!!vV

 

ハンニバル:おーおー、若いもんは元気でいいのう。

 

コープル:ハートのキラキラが綺麗ですねぇ…

 

オーシン:み、見せつけてくれるじゃねぇか……////

 

カリン:もうっ、手伝ってよ! 恥ずかしいんだからっ//////

 

フィン:まぁ、いいではないですか。強いんだし。

 

ヒルダ:おのれ! イチャイチャバカップルに負けるわけにはいかないよ!

 

カリン:だ、だれがよっ////

 

フェルグス:バカップルはないだろ(^^;)

 

オーシン:お前がフリージの大ボスか! 長いあいだ、お前の部下どもと戦ってきてやったぜ! これで最後だ! 覚悟しやがれ!

 

ヒルダ:下品な平民め! お前などにこの私が倒せるものか! ボルガノンで焼き尽くしてくれる!

 

オーシン:俺はオーシン! てめぇをぶっ倒す男の名だ! 冥土の土産に覚えとけ! くらえぇぇっっ!!

 

ズババババババッ

 

ヒルダ:おのれ、ボルガノ──

 

オーシン:遅ぇ!

 

ザシューーーーッ

 

ヒルダ:キィーーーーッ、くやしい……! イシュタル……この恨み晴らしておくれ……

 

オーシン:っしゃ!

 

フィン:さすがだ、オーシン! これでゲルプリッタ―は総崩れだ。あとはあせることはない。着実に残った敵を仕留めていこう。

 

敵バロン:ひぃーーっ、ヒルダ様がぁーーーーっ!

 

敵バロン:リザーブ! リザーブ! トローン! トローン!

 

フェルグス:残念、もう遅いって。

 

ズバッ グサッ

 

敵バロン:……ぐふ……い、田舎者どもよ、ひとつ言っておく……。都会人はトロンではなくトローンと発音するのだ……ガクッ

 

オーシン:へっ、そうなのか? まぁ、俺は別にどーでもいいけどよ…

 

カリン:でもオルソンさん(イリオス)はトロンって言ってるわよ。

 

フェルグス:あいつは平民だからな。

 

カリン:えーっと、じゃあ、オルエンさんは?

 

フェルグス:「ダイムサンダが2冊もあるのに、そんなのいらないわ」だったぞ。

 

カリン:そんなの扱い…(^_^;) でもなんとなくトロンのほうがかっこいいかも。

 

フィン:まぁ、それはともかく、どうやらゲルプリッタ―はすべて片づいたようだ。あとは丘の上のロプト兵と城ボスのみ。あれがフリージ城だ。

 

オーシン:ここまで来たな。

 

リーフ:おーーいっ! みんな、無事かーーーー!?

 

フィン:リーフ様!

 

オーシン:リーフ! あったりめぇだろ! 俺たちが負けるかってんだ!

 

コープル:リザーブっと。そちらのみなさんも全員無事のようですね。

 

リーフ:ああ、なんか何年も会ってなかった気がするよ、みんな。すっっっごい久しぶり! 会えてよかった!

 

フィン:まったくでございます! リーフ様ぁ!

 

(※注 どうやらこのあたりで1年くらい、書くのを中断したらしい。証拠にこの後ネタであの作品への言及が現れる。でもこの後もう少しだけ進んで、結局未完。どうしよう…)

 

リーフ:この機会を逃したら、今度はいつ話が進むやらわからない。勢いをつけてさっさと先に進もう! で、さっそくだけどカリン、あの丘の上のベルばらたちを掃除してくれ。スリープばかりでうっとおしいから。ある程度数が減ったら、ぼくや姉上も加勢する。

 

カリン:了解! 行ってきまーす!

 

アルテナ:無理しないでね、カリン。

 

リーフ:うーん、でもどうしても1体は倒せずに残っちゃうなぁ、門が邪魔で。

 

コープル:サイレスかけます?

 

リーフ:いや、そこまでしなくていいよ。たぶんフリージ城を制圧すれば門が開くだろうから、そのときに倒そう。もちろんスリープ範囲からはみんな下がってね。

 

ナンナ:それにしても勇者の弓大量、トロン&リザーブ&スリープも大量……帝国って本当にお金持ちなんですねぇ…

 

リーフ:この戦いが終わったら、それらを全部没収して売っ払って一緒に豊かな国を造ろうね、ナンナvV

 

ナンナ:はい、リーフ様vV

 

シャナム:……完全にトラキアから来た略奪者だな…(^_^;)

 

 

 

フィン:さぁ、これでフリージも終わりです! 城ボス、名前は知りませんが、覚悟ーー!

 

ザシューーッ

 

城ボス:ぐはあ! ちゃんと調べんかーーいっ(# ゚Д゚)……ぐふ。

 

マリータ:リーフ様、フリージ城空きましたよ!

 

リーフ:よし、ちょっと待っててくれ! トルネードォ!! ズカアァン

 

マリータ:いいなぁ…私も戦いたいのに……

 

デルムッド:魔法剣でベルばらは倒しにくいからな。トラ7ならわりとできるんだが……

 

フィン:ここを制圧すれば、すぐにたくさん出番がまわってくるよ。

 

ハンニバル:うむ! 勇者の弓!

 

リーフ:連続トルネードォォ!!

 

ロプト兵:スリープ!

 

リーフ:ぐーーーーーZZZZ

 

セティ:レスト!……杖やらフォルセティやら使いすぎたな……。修理代が足りるだろうか……(^-^;

 

カリン:やあっ! ザシュウッ

……セティ様、シレジアまで貧乏王国になっちゃうんですか?

 

セティ:そうはなりたくないが……もう一度NPCになって無限にフォルセティを使いたいものだな…

 

リーフ:ふわぁ。。。ダメですよ、セティ王子。あんな経験値ドロボー&追いはぎのジャマはもう御免です。体格を上げて地道に稼ぎましょう。

 

セティ:いや、それは私のイメージが崩れる……(^_^;) 体格10以上はちょっと……

 

ナンナ:すでに聖戦とトラ7ではイメージが違ってしまっているんですから、ここは開き直って新しい世界に飛び込みましょう、セティ王子! 目指せ、体格15です!(※書いているやつのナンナ体格最高記録は1yon……おっとだれか来たようだ)

 

セティ:君も変わったな、ナンナ姫……(^_^;)

 

リーフ:みんなもう手遅れですよ、セティ王子。…さ、そろそろいいかな。制圧だ! ゆけ、セリスロボ!

 

セリスロボ:セイアーツ!

 

 

~フリージ城を制圧した!~

 

 

フィン:ついに長年の宿敵フリージに勝利しましたね、リーフ様。おめでとうございます。

 

リーフ:ああ、フィン、本当に長い旅だった。でもまだ終わりじゃない。帝都バーバラを制圧して、グランベルを解放し、セリス様一行とサラを救出しなければ! いよいよ正念場だぞ、みんな!!

 

ナンナ:はいっ、リーフ様!

 

フィン:おそらく次はダークプリンス・ユリウスの側近、イシュタル公女の率いるヴァイスリッターが来ます。急いで迎撃の用意を整えましょう。

 

リーフ:うん。まず武器修理とかしとかなきゃね。フフッ、いよいよ☆がいっぱいついた光の剣♪

 

セティ:……破産する……(-_-;)

 

???:しくしくしくしくしく………

 

シャナム:ん?

 

マリータ:どうしたんですか、おじいさん? 帝国軍にひどい仕打ちをされたんですか?

 

???:ひどい仕打ちをしたんはお前らじゃい!!

 

マリータ:え゛? なんで……

 

占い屋:儂は占い屋じゃ! お前ら本当にセリス軍か!? 聖戦と言えば恋愛! 恋愛と言えば占い屋じゃろう!! なのにトラキアから儂んところの店をことごとく無視しよってからにぃ~~っっ!(# ゚Д゚)

 

デルムッド:そ、そういえばすっかり忘れてたな……(^_^;)

 

占い屋:せっかくタダで占ってやっとるのに、この老人のささやかな楽しみをシカトとは!! グレてやるわい! 呪ってやるわい! お前らの恋愛はすべて破談! 子孫も未来永劫なしじゃーーーーっっ!!!

 

シャナム:お、おい……なんか、コワイぞ…(汗)

 

フェルグス:わかった、わかったよ、じーさん。よしよしヾ(^^)。ほら、怒るのをやめて、いっちょ俺の女運でも占ってくれや。

 

占い屋:よし! そこに座るのじゃ! 

 

カリン:立ち直り早いわね…(^_^;) いいのかしら、こんなとこで遊んでて…

 

占い屋:遊びではないわい(# ゚Д゚)! 聖戦とは恋愛・イズ・オール! 恋愛こそ最大の戦争なのじゃーーーーーー!!

 

デルムッド:いや……子世代でそこまで言わなくても……(^_^;)

 

占い屋:うむ、アレスよ、おぬしは──

 

フェルグス:い、いや、俺、アレスじゃないんだ、実は……(^_^;)

 

占い屋:うむ、フォルデよ、おぬしは──

 

フェルグス:フォルデってだれじゃい!?Σ(゚Д゚)

 

カリン:あっちのほうがハンサムよ!

 

フェルグス:なんだとうっ!?

 

占い屋:フェルグスよ、おぬしはカリンと結ばれておるぞ。

 

フェル&カリン:!!??

 

オーシン:……占いって、断定かよ……(・・;)

 

シャナム:結ばれてるってことは、よーするにもうそーいう関k──

 

フェルグス:おいおいおいおいっ(;゚Д゚) 冗談じゃねぇぞ! そんなわけねぇだろう! 俺はまだなにも──

 

カリン:おじいさんっっ! 誤解を招くようなこと言うとこの細身の槍☆90でお店つぶすわよ!?////

 

フィン:み、みんななにやってるんですか!? やめなさい! 一般市民の老人に暴力なんて──

 

セティ:「聖戦」はきわどいゲームだったんだな……(^_^;)

 

リーフ:フェルグスは恋愛よりこっちの「親のこと」を占ってもらってよ、ぜひ!

 

フェルグス:い、いや、もう勘弁してくれよ……(汗)頼むから……

 

占い屋:オーシン、おぬしはタニアを愛してしまったようじゃ。

 

オーシン:なななななななななななにぬかしてんだっっ、このジジイ!!//////

 

シャナム:なんだ、まだ結ばれてないのか?

 

マリータ:ええ、だってオーシンとタニアですもの。愛し合っているのは確実なのに、どっちもどっちで素直にならないから……

 

オーシン:ばっ、ばっか言えっっ! おい、ジジイ! いいかげんなこと言ってやがるとこの怒りの勇者の斧☆70で──

 

フィン:ああっ、お願いですからやめてーーーーっっ(泣)

 

占い屋:ナンナよ、おぬしはリーフと結ばれておるぞ。

 

ナンナ:リーフ様vV

 

リーフ:ナンナvV

 

サフィ:まあっ、リーフ様とナンナ様がなんてめでたいこと! ティナにはかわいそうですけど、これこそふさわしい形でしょうね。さっそくミランダ王女たちにお伝えしなくては(#^.^#) みんな大喜びしますわ♪

 

リーフ:サ、サフィ!? なんでここに……? うわーーーっ、お願いだからまだミランダには黙っといてーーっ! 殺されるようーーっ!

 

ナンナ:リ、リーフ様……(~_~;)

 

サフィ:私たちバックアップのチームは今シアルフィに待機しているんです。私はそこからリワープでこちらに参りました。

 

リーフ:君はてっきりリノアンと一緒にターラに残っているのかと思ってた…

 

サフィ:そうしようかとも思ったのですが、やはり戦場の白衣の天使の存在でバックアップチームのみなさんに力を与えて差し上げようと、リフィスやシヴァについてまいりました。

 

リーフ:そ、そう……(・・;)

 

サフィ:それよりリーフ様、大変なことが! 先程シアルフィの東に竜騎士団の大軍が出現しました。それも率いていらっしゃるのは、トラキアのアリオーン様のようです。

 

リーフ:なんだって!? アリオーンが!?

 

サフィ:どういたしましょうか? 今リーフ様たち本隊にシアルフィまで戻っていただくわけにはいきませんし、私たちバックアップチームの力で何とかするしか……。でもお相手は聖戦士のアリオーン様。シヴァやリフィスにもしものことがあったら、私は代わりの付き人にだれを選んでいいのやら、悩んでしまいますわ。

 

リーフ:そ、そう……困ったね……(^_^;)

 

フィン:しかし実際、ここまで来て我々がシアルフィまで後退することはできません。戦力を減らすのも危険ですね。

 

アルテナ:リーフ、私が行くわ! 私が兄上を説得します、必ず……!

 

リーフ:姉上……そうですね、アリオーンを止められるのは姉上だけです。どうか我々の愛するトラキアの未来のために、アリオーンを死なせないでください。

 

アルテナ:わかっているわ、リーフ。アリオーンのことはまかせて。……ごめんね、リーフ。これからが大事なときだというのに、そばにいられなくて……

 

リーフ:姉上、ぼくのことならご心配なく。ここまで来て負けるなんてことは絶対にありません。フィンやナンナたちもついています。それよりもご自分の身とアリオーンのことを考えてください。そして、バックアップチームのみんなのこともよろしく!

 

アルテナ:ありがとう、リーフ!

 

サフィ:では、参りましょう、アルテナ様。申し遅れましたが、私はターラのシスター・サフィです。リーフ様には幼い頃、ターラで初めてお会いして以来、お世話になっております。これからリーフ様がいかに女性の心をつかむお方でいらっしゃるか、我が主リノアン様をはじめ、今まで交わされてきたお約束の数々について、お話ししながら行きましょう。

 

アルテナ:え゛……?

 

リーフ:誤解を招くこと言わないでよ、サフィーーーーっっ(ToT)

 

サフィ:ウフvV ワープ! そしてリワープ!

 

リーフ:はぁ……(-_-;)…なんだかトラキアに帰るのが怖くなってきたよ……

 

ハンニバル:リーフ王子、アルテナ王女は本当に大丈夫だろうか? もしアリオーン王子があくまで戦うと言い張れば、王女もシアルフィ城も──

 

リーフ:心配いりませんよ。シアルフィにいるバックアップチームは我が軍選りすぐりの追いはぎの名手ばかりですから、なんとかしてくれるでしょう。

 

ハンニバル:そ、そうなのか……?(・・;)

 

コープル:アルテナ様……どうかご無事で……! でも万が一のときはバルキリーの杖を使ってみたかったり……♪

 

シャナム:本当に世話になりたくなさすぎる伝説の神器だな……(^_^;)

 

 

 

 

《ヴェルトマー》

 

マンフロイ:かわいー孫サラvV 儂の見事な人形たちの出来栄えはどうじゃ?

 

サラ:……べつに。……あれ、死んでるの?

 

マンフロイ:まぁ、死んだも同然じゃが、まだ死んではいない。殺してから人形にすると色々メンドーなんじゃよ。

 

サラ:……よくわかんない。

 

マンフロイ:肉体を保っているのにどえらい魔力を消費するし、能力を保つためにも色々やることがあるのじゃ。Nちゃんはエーギルを使ってまったくゼロか、せいぜい1から人形を作る研究をしとるが、まだ長持ちせんようじゃな。しかも自分の趣味に合った美を追求したり、感情も作り出そうとしとるし、あれでは完成までもう百年はかかるのではなかろうか。

 

サラ:……べつにどうでもいいけど。

 

マンフロイ:Nちゃんの研究はいずれロプト帝国にも取り入れるつもりじゃが、儂としては人形はある程度息のあるやつのほうが面白い。即大量生産できんのが難点じゃが……

 

サラ:悪趣味……

 

マンフロイ:以前のベルトの人形より性能が良いことは保証つきじゃ。なにせ素材がアレじゃからの。

 

サラ:…………

 

マンフロイ:さらに改良を加えるために、数体はすでにNちゃんの研究所に送ってある。それはつまり、もはやロプト帝国の完全勝利を意味するのだ。フリージまで来ていい気になっている哀れな偽物──蛮族リーフ軍ももうじきそのことを身をもって知ることになるぞ! フォッフォッフォッ……!

 

サラ:…………

 

マンフロイ:儂の力、Nちゃんの研究、人形どもの力、そしてユリウス様ことロプトウス様の力がそろった今、もはやユグドラル大陸の愚かな人間どもは滅んだも同然じゃーーっ! フォーーーーッフォッフォッフォッフォッフォッフォッ!! ……さて、サラよvV おじいちゃんと一緒にリーフ軍の無様な最期を見届けよ──あれ? サラ? どこへ行った? おーーい、儂の可愛い孫や。どこじゃーーーーっ!?

 

サラ:…………じゃあね、おじい様……

 

 

 

 

《シアルフィ城》

 

ノーテ:ル、ルーテさんっ! ま、マズいですよ! これでは上手く動けません! というかなぜ私たちはこんなところにいるんでしょうか!? 助けてくださいーーーー!!

 

ノーテ:弱いフリをして私を油断させようとしても、その手には乗りません。優秀な私をおびやかすあなたの致命的弱点を見つけるまで、私はあなたから離れませんよ。さあ、あなたの本気を見せてください。

 

ノーテ:こんな二人羽織り状態じゃ戦えませんよっ! あっ──

 

シヴァ:太陽剣!!

 

ノーテ:ぎゃーーーーーー!!

 

ラーラ:シヴァさん、また勝ち抜いたわね! でもあのノーテって人、なんか変じゃなかった?

 

パーン:そうか? おっ、トルードはいよいよ7人目だぞ。

 

ゼウス:大地の剣&大楯ーーーー!!

 

トルード:悪いな、俺は「見切り」持ちだ。大楯は通じない。勝たせてもらうぞ。

 

ズバババッ ザシューーーッ

 

ゼウス:ぐはあっ……お、おのれ……エンペラーのこの私が……ぐふ。

 

ティナ:うわぁ、エンペラーって「皇帝」でしょ?(゚Д゚) 倒しちゃっていいの?

 

セイラム:まぁ……とりあえずは問題ないんだろう。「聖戦」の闘技場は負けても死なないようだし。……しかしどこの国の皇帝なのやら…(^_^;)

 

パーン:トルード! 賞金はもう十分だから、代わりに大地の剣を取っとけよ! 姫さんが喜ぶぞ!

 

トルード:ここは闘技場だぞ。できるか…(-_-;)

 

パーン:なんなら俺があとで盗みに入ってもいいが♪

 

セイラム:よくない(-_-;)

 

 

 

 

 

(了)

 

 

(あとがき)

なんとここで我がホラー・ノートは途切れております。

調べました。

烈火の剣』2003年4月発売。『聖魔の光石』2004年10月発売。

つまり最後のほうの記述は2004年10月以降に書かれたことが確定。全体として書いた期間もおよそ確定。

(キャアアアアアアッ コワイイイイイイッッ)

(なんとコイツ、フェルグスがフォルデに化けてルネス王宮に潜入する小説まで当時書いてたからな。幸いにして門外不出のまま。いやはや恐ろしい……。いったいなにを考えていたんだ……。もっと恐ろしいのは、17年後の現在も頭の中がさして変わっていないことなのかもしれないが……)

 

と、ともかく……

一応最後までこの思い込みプレーをやりきったことは、今も覚えています。ユリウスを前の『ティルナノグ戦記』と同じ要領で倒してね。オン友Nちゃん(原文にはメル友と書いていた。時代の流れとは恐ろしい…)とは、どう考えてもネルガルのことなので、「お人形」とはつまりそういうことで、たぶん今後どういう展開にするつもりだったのかも察せられますが、とにかくここで『グランベル778』は途絶えております。

 

ど、どうするんだ……。イシュタルをだれで倒したかとか、デルムッドがユリウスに23回攻撃したとかは覚えているんですが、ほかの詳細は思い出せるわけもなく、再プレイも不可である現状です。

烈火の剣』はあるんですが(えっ、なんの関係が!?笑)GBAのボタンがイカれ、DSの充電器のほうをどっかへやってしまいました。

 

まいったなぁ……。

 

あとは全部想像で書くか。心をハタチ頃に戻し、中年が妄想するという痛々しい産物を……?

 

い、いや、続きをどうするかは、まぁ、ともかく……

(良い気晴らしにはなるかもしれないな♪)←

脚色部分について。

 残念ながら、オーシン(ヨハルヴァ)でヒルダを倒したのは、確か嘘。やろうとしたんだけど、命中率が悪すぎてまったく当たらなかった。普通にフェルカリ(アレス×フィー)のラブラブアタックで倒したはず。ミストルティンは前章以降まったく使わずに進めたものの、無念。

 前作『ティルナノグ~』でレスターかスコピオに負けた件といい、もうちょっと真面目にこの時のために強化していればなんとかなったかもしれないと、いまだに後悔がこみ上げる(おいおい…)

(いやだってあれ、オーシンじゃないもん! ヨハルヴァだもん!)

 前話であれだけオーシン(本物)を使わせろと愚痴っていたのは、この件のせいです。

 ブリアンVSデルムッドは普通にいけると思っていました。いや、イシュタルにも10章ユリウスにも勝ってるんですから、もはや当たり前ですよね、と。まぁ恋人ないし妹のおかげではあるんだけど。

 したがってところでお兄ちゃん、もといアレスさん、まさかデルムッドにできてアナタにできないなんてことありませんよね? というわけで──(略)

 

 まぁ、それはさておき、『ティルナノグ戦記』と『グランベル778』を思い返した結果、絶対に必要な神器とはフォルセティとかナーガじゃなくて、ティルフィングかミストルティンのどっちかだということがよくわかりました。ラスボス・ユリウスは百発百中スリープのおかげでどうにかなったが、アルヴィスだけはなんともならんかった! ティルフィングかミストルティンがなければ。さすが父君、そして皇帝。それとも私が知らないだけで、なんとかする裏技があったんだろうか……。

 

 ひとまずですが、ここでホラー企画は打ち止めとなります。このような中途半端な過去の恥をさらしてお恥ずかしいかぎりですが、個人的には童心に返ったと言いますか、書き起こしているうちは案外楽しかったです。実生活の良い気晴らしね。

 

 もしもこの続きを書く痛々しい中年が、わりと遠からず現れたとしても、そっと目を逸らしていただけたなら幸いでございます。

 

 例の推敲はやっております。第二次推敲が見通せるところまで来ました。予定どおりどころか、できれば「小説家になろう」様の、ネット小説大賞への応募にぎりぎり間に合うくらいにはアップしたいなどと目論んでおります。いや、入選するなどとはまったく考えておりませんが(ただでさえ3作目だぞ)、自分への区切りと締め切りとして、最適の目標になるんじゃないかと。もしかしたら宣伝もできるかもしれないし……?

 

……宣伝した結果、この痛々しい一連の記事が目立つ羽目になったらどうするんだか(爆)

 

 

ではでは、また☆

 

お付き合い誠にありがとうございます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1:;゚Д゚)))

 

フェルグス:馬に乗っけてに決まってるだろ! そーゆーことを想像しちゃダメだぞ!

 

セティ:(さりげなく逆プロポーズが成立しているみたいなのはツッコミなしか…?)

 

ボイス:だから私を無視するなと──

 

マリータ:師匠の仇は私が! 月光必殺剣!!

 

ザシューーーーッ

 

ボイス:……あっさり、ぐふ……──

 

コープル:マリータさん、絶好調ですね。

 

オーシン:俺もマリータに負けてらんねぇ。さあ、残るザコどもはかかってきやがれ! 俺が返り討ちにしてやる!

 

傭兵団:うおーーーーーーーっっ!!

 

ズバッグサッザシューッドカァッ

 

傭兵団:ぐわーーーーーーーっっ!!

 

オーシン:へっ、どうした! 情けねぇな。どんどん行ってやるぜ──ぐ~~~~ZZZZ

 

リーフ:あ……

 

セティ:スリープの範囲に入ったようだな。

 

エッダ兵:サンダーストーム

 

エッダ兵:メテオーー!

 

リーフ:うわぁん! あんなにたくさん、どーすんだよぉーーっ!

 

セティ:心配するな、リーフ王子。

 

リーフ:え?

 

セティ:ここは私が突撃する。念のためスリープ対策にバリアリングをつけて……今こそこのフォルセティの力を解放するときだ。

 

リーフ:ほ、ほんとに!? ああっ、もう待ちかねましたよっ!

 

セティ:そうか? ここまでそこそこあっさり来られた気もするが。でもまぁ、ここは私一人に任せてもらえれば十分──

 

カリン:セティ様、私もお供いたします! 私だってスリープはへっちゃらですから!

 

セティ:それは助かるが、カリン、無茶はいけないよ。

 

カリン:平気です。それにセティ様、ただでさえレストとかリブローとか高価な杖の修理代がかさむのに、フォルセティを使いすぎてしまったらお財布の中がどうなってしまいます? まだお妃様候補もいらっしゃらないんだから、節約していただかないと! 貧乏王子はリーフ様だけで十分です!

 

セティ:む……まぁ、確かにな。

 

リーフ:ぼ、ぼくは今はそんなにビンボーじゃないぞ! ナンナとお財布を分かち合ってるんだしっ

 

カリン:さ、さ、行きましょ!

 

コープル:セティ様、ぼくも一緒に行きます!

 

セティ:コープル、危険だぞ?

 

コープル:大丈夫です。魔防なら軍内随一ですから。セティ様を援護します。

 

セティ:ありがとう、コープル。それならばこれを使うといい。私が創った新しい風魔導書、その名もクラブカリパー

 

コープル:く、クラブカリパー!?

 

シャナム:いや、ウインドだろ、それ(-_-;)

 

ナンナ:思い込むことが大事ですよ。

 

コープル:ありがとうございます、セティ様!

 

リーフ:ある程度敵の数が減ったら、我々も後に続きます。よろしく!

 

 

 

 

セティ:フォルセティ!

 

ズギャアアアアアン

 

セティ:フォルセティ! フォルセティ!! フォルセティ!!!

 

ドガアアアアッ ズバババババッ

 

エッダ兵:ぐわーーーーーーっっ

 

セティ:はーーーははははっ、くらえっ、くらうがいいっ、ひれ伏せ! フォルセティイイイイイイッ

 

ズギャアアアアアアアアン!!

 

セティ:ははははははははははははははははははははははははっ──

 

カリン:セ、セティ様……(^_^;) ちょっと解放しすぎです。今まで自分なりに我慢してらしたんですか…

 

コープル:そんなことしなくてよかったのに……(^_^;) さあ、ぼくもいくぞ! ええっと、クラブカリパー

 

ザシューーッ

 

ロダン:なんということだ! 負けるな、者共! リザーブ

 

エッダ兵:メテオーー! サンダーストームーー!

 

コープル:くっ……

 

セティ:ははははははは、そんなもんでこの私が止められるとでも思ったか! 命中率はゼロだゼロ! さあ、どけどけ、フォルセティーーーーー!!!

 

エッダ兵:どわぁーーっ! 怪物だぁーーーっっ!!

 

カリン:ああ……王子様が壊れていく……フォルセティも壊れていく……

 

リーフ:ぼくたちもそろそろ突撃しよう。これ以上セティ王子をほっとくとなんかヤバい……(^_^;)

 

ナンナ:大丈夫、コープル? リライブ!

 

コープル:ありがとう、ナンナ様!

 

フェルグス:よっしゃ、いっちょ行っとくか! スリープに多少かかったってかまわねぇさ。ゆっくり進めばいいんだ。

 

デルムッド:──ってあんたなんで魔防が20もあるんだ!?

 

フィン:シーーーーッ!(^-^; そういう見てはいけないものを見てはいけないっ

 

セティ:フォルセティーーーー!!

 

リーフ:フェルグス、中央突破だ!

 

フェルグス:おう! これでエッダ軍も終わりだな。いくぜ!

 

ズババババババッ

 

ロダンくっ……これも天罰か……

 

リーフ:そして城ボスも! 必殺、スーパーリーフマンの光の剣!

 

ザシューーーーッ

 

ユフィール:お許しをーユリウス様ーー……

 

セティ:フォルセティーーーーーーーーーーーっっっ

 

カリン:セティ様! もう片づきましたよ!

 

セティ:ふう、スッキリした。

 

シャナム:やれやれ……(~_~)

 

リーフ:じゃあ、セリスロボ発進! 制圧と──

 

フィン:その前にリーフ様、この次に待ち受けるはドズルのグラオリッターです。制圧より前に、シアルフィとエッダの両方を守るように部隊を配置しませんと。

 

リーフ:ドズルのグラオリッターか……。ところでなに? ドズルって?

 

ズコッ

 

フィン:リ、リーフ様……斧戦士ネールの血を継ぐ由緒正しい聖戦士の公爵家ですよ! 教えたではありませんか、昔!

 

リーフ:へ、そうだっけ? だってぼく見たことないもん。

 

セティ:トラキアはフリージの勢力下だったから、まぁ無理もないか。ドズルはイザークを占領していたんだったな?

 

デルムッド:……ひょっとしてドズル軍を見たことあるの、俺だけですか?

 

オーシン:斧戦士の家系なんてもんがあったのか……

 

フィン:聖斧スワンチカを使うブリアン公子が率いるのが、斧騎士団の最精鋭グラオリッターです。

 

オーシン:へぇ、そりゃ楽しみだな。さぞかし強ぇ斧使いがそろってんだろうなぁ!

 

デルムッド:……いや、なんかイザークではほとんどフィーひとりでヤツらを壊滅させてわざと増援まで呼ばせたりしてたんだが……

 

セティ&カリン:え゛?

 

リーフ:オーシンっ、ここは斧革命を完成させるチャンスかもよ! なぁに、君とガルザスさんとマチュアあたりでトラ7斧戦士団を結成すれば──

 

フェルグス:せめてマチュアの前にブライトンを入れてやってくれないか? かわいそうだから……(^_^;)

 

セティ:ま、まぁ、それはともかく、当面はどうするんだ、リーフ王子?

 

フィン:おそらくブリアンの本隊はシアルフィへ南下してくるでしょうね。

 

リーフ:ならこっちのエッダには最小限を残して、そっちに大きく戦力を割こう。エッダはぼくとフィンとカリンの3人。あと残りは全部シアルフィに戻ってくれ。指揮はハンニバル将軍に任せて……ところで、将軍は?

 

コープル:もうあっちで待ってますよ。

 

シャナム:てゆーか忘れてたんだろう(^_^;)

 

 

 

ブリアン:フィッシャー、エッダ奪回は任せたぞ! 私はこのまま南下して、シアルフィにいるセリス軍をつぶす!

 

フィッシャー:はっ、お任せを!

 

 

 

オーシン:おう、あれがグラオリッターか!

 

ナンナ:大軍そろって勇者の斧なんてさすが豪華ですね。…リーフ様たちのほうは大丈夫かしら……?

 

オーシン:大将はやっぱ悪人ヅラだな。おおっ、アレが聖斧スワンチカか!? いいなっ、使ってみてぇなっ(*^▽^*)

 

セティ:武器としてはあんまりおすすめしないぞ、アレは。すごく重いから。

 

オーシン:そうかい? フン、まぁいい。さあ、俺様が前に出て相手になってやるぜ!

 

ハンニバル:まぁ待て。相手は同じ斧だ。ここはおぬしは山の上に待機し、平地の前線には剣使いを配置するのが最善だろう。

 

オーシン:ちぇっ……

 

マリータ:なら前線は、私と師匠にお任せください!

 

シャナム:え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛っっ!?

 

ハンニバル:うむ、武器相性も良し。回避値も高い。それに勇者武器には勇者武器を、か。

 

シャナム:待て!(((;゚Д゚