また日が空いてしまいました、1カ月も……! お久しゅうございます。
色々やってみつつも、やっぱり案の定相変わらずの日々を過ごしております。
結局、来月舞台を観に行く予定も払い戻しからのキャンセルのままとして、県内に引きこもっております。
まあ、しゃーなし。家計が苦しい中、家族みんな働いているので、感染休業(最悪失業)となるわけにはいかぬ……。非正規だからな、なんせ。
舞台等で感染するとは思っていないんですが、我らいずれの職場も、結局「県外に出たら二週間出勤停止」みたいな通知が来ているのでね......はぁ。
いやー、しかし野球も観に行きたかった……! なにかのミラクルで10月あたりに収まったりしないだろうか……。
自粛しているわりに、ここになかなか書けずにいました。そろそろちょっとネタができそうなので、ちょろちょろ更新していきたいと思います。
写真は母君のバラ。久しぶりに咲いたそうで、撮っておくれと頼まれました。
さて、なんの話から。
ちょっと前に、悪党パーカーシリーズの『怒りの追跡』を購入し、再読しましたので(初読みは十数年前の図書館)、その話をば、ではでは。
あ、ああ、もちろん、ネタバレありますので、ご注意を。
というか、話のつながりがある15作目『掠奪軍団』が先に翻訳されていた関係で、帯から裏表紙からあとがきから、すでに相当ネタバレしておられる12作目の本でございました。
奇しくも12作目とは、シリーズ全24作のまさに中間点。もうグロフィールドも大暴れ済み。この⑫でもちょっと名前が出るので、ニヤリとできる。クレアともお付き合い済み。家を買うのは次の13作目だったかな。
ところでモーテルのマッジお婆ちゃん、これが最後の登場? パーカーなにげにマッジ好きですよね! しかたなくおしゃべりに付き合っている感出しておいて!
「あんたの欠点なのよ、パーカー。話が長いんだから」
…えっ(笑)
※※※
~1、人違い疑惑~
さて、シリーズの流れとしては、
⑫『怒りの追跡』
“宿敵”ジョージ・アールとの因縁のはじまり。
→⑮『掠奪軍団』
アールとの再戦。
→⑳『電子の要塞』(カムバック後)
別の因縁がまだ終わっていなかった件。
となりますので、上記3作を、合わせて語らねばなりますまい。
『掠奪軍団』も今年再読しまして、記事はこちら。
https://anridd-abananas.hateblo.jp/entry/2020/04/15/020033
さーて、ネタバレしますよ、しますよ! くれぐれもお気をつけくださいね!!
……まずわたくし、十数年前に書き留めていたノートにすでに書いているんですが、⑮で出てきたジョージ・アールは「本当にジョージ・アールだったのか?」疑惑があります。
ええ、私は「アンディー・ケルプが実はパーカーだ」とか、
「あのバズーカ運転手11年もだましやがって(以下略)」とか、
色々極論暴論をぶち上げておりますが、
https://anridd-abananas.hateblo.jp/entry/2016/06/11/022449
https://anridd-abananas.hateblo.jp/entry/2019/12/27/004646
だってだって、いやすでに、すでにアールとの決着が⑫ではつかないことは、帯やらなにやらで明々白々であるものの、⑮ではパーカーとアール、話もしていない。なんなら面と向かってすらいない。⑫ではあった、アール視点のPART3チャプターもない。
フレッド・デュカッセが名前を聞き間違えた説(⑮の冒頭1ページ目で、アールを玄関でお出迎えしたところ、「えっ、パーカーいんの!?」となって、頭をぶん殴られる不運)、ボブ・ビーグラー(⑮の仕事の発案者)が終始人違いしていたか、いっそもうアールってことでいいやと思った説、などがあり(※ないです)、疑惑は深まるばかり。
なにより私がおかしいと思ったのは、⑮のアール、ぴんぴんしているんですよね。なんなら逃げ足早すぎでビビる。…うん、まあ確かに、⑫でもめっちゃすばしっこかったけれども。だからパーカーが「怒りの追跡」することになったわけだけれども(でもたぶんそんな怒ってない)。
⑫でパーカー、アールを殺さなかった……というか、『殺せなかった』んですが、それでも「仕事に復帰できるような状態にしたくなかった」と言って、サラッとポキッと3本ほどやっちゃうわけですが――それやるくらいなら始末しちゃえば…と思わないでもない――なぜか⑮でアールは、バリバリの仕事復帰からの逃げ足レベルMAX状態、怒りの追跡アゲインとなるわけですよ。
え、まって、あれ、ほんとにアール?…と思ってしまう。
⑮での決着のつけ方も、アールの同一性の証明に至らないと思う…。
というわけで、⑮を全編人違い説で読み直してみると、これまた別の面白さを味わえるやもですよ…!(おい)
いやまあ、それで、⑫を読み直してまたすっかり忘れていた事実を思い出したんですが、アールって、運転屋だったんですね。半ば素人の運転屋かと思いきや、5、6回はすでに仕事をしているらしく、一応プロ。パーカーもアールの神経質さや臆病さを指摘はしても、アマチュアとは評していません。
あのぉ…パーカー、1作目といい、この中間作といい、最終作といい、「元相棒・運転屋」って、どないなっとるんですか!?(この件はあとでもっと書きます)
えー、アールが運転屋でなんの問題があるという話ですが、⑮の仕事の発案者ボブ・ビーグラーも運転屋なんですよ。しかも読むに、アールよりも生粋の運転屋です。
ビーグラーはなんで自分が運転屋なのに、運転屋の相棒をもう一人呼んだの? 運転屋が二人も必要な仕事だったっけ?(アールが冒頭でぶちこわしにしたので、詳細不明)
こうなると、ますます⑮のアールは本当にアールだったのか疑惑が深まります。
※※※
~2.殺さない、殺せないパーカー~
それともやはり、パーカーは⑫でアールを殺せなかったばかりか、決着にあたって手加減までしてしまったのだろうか? ポキッとやったつもりが実は全然だった、とか?
仲間二人を殺して、金を全部持ち逃げした男を……?
⑨の『裏切りのコイン』では、パーカーとクレアの出会いが描かれるのですが、この時パーカーはきっぱりと裏切り者に手を下しています。
しかし⑫では、パーカーは“宿敵”アールにも、暴漢マットとその相棒ポールにも、とどめをさしていません。うっかり確認ミスとかではなく、死んでいないのをわかっていて、手を下さなかった。
そのせいで前者⑮、後者⑳と決着が持ち越されます。
そういえば、⑩『標的はイーグル』でも、パーカーがだれも殺さなかったので、私などは少なからず驚きました。(パーカーをなんだと思っているのか、このファンは…)
十数年前のネットサーフィンの時点で、見つけた記憶があります。「パーカーはクレアと出会ってヤワになった」との意見、ないし批判。
そういうことなのでしょうか。
……いや、いいんだ。いいんです。私はアールにとどめをさせなかったパーカーも好きだ。クレアにベタ惚れなパーカーも好きだ。⑮や⑳の決着も面白いし、好きだ。とくに⑳の『電子の要塞』では、本筋を忘れてしまうくらい読ませるものなぁ、マットやポールとの決着。
……あれ、パーカーってば結局あれから何年経ってもまたとどめを――(以下略)
……パーカーシリーズで最も驚愕で理解不能……でもたぶん賢かった行動を取った人物、それはパム・ソガーティーでしょう。
……いや、百歩譲って金銭援助は慰謝料&賠償金として当然でも、同居&介護は無理無理無理ィ!が過ぎませんか!!?? しかもがっつり事件の当事者になったお子さんが3人もおったでしょうが。
彼女のポールへの、たぶん愛情に似た思いがなんだか胸にしみます。彼女を動かしたポールのマットへの愛情も。
マットはね、いやあ、あれは最低最悪のクズ野郎ですが、ですが…⑫で描かれた彼は、確かに凶暴さの一方で知的な面もあり、果断で、魅力がないかというとそんなことはない。これが怖いところですが、傍目に見ているだけなら惚れてしまうポールの気持ちもわからんではない…と思ってしまう。まして心深くの孤独で惹かれ合ったこともわかるように描かれている。
でも、パーカーによる因果応報というか、残酷なその後が待っていたわけですね、⑳で。それでもマットを見捨てなかったポールですよ。
……なんならやっぱり、パーカーを恨んでいたのは、⑫でも⑳でも、マットよりポールだったんでしょう。ポールのほうを殺しておけば、⑳での再戦はなかったでしょう。
いやもう、⑫『怒りの追跡』では、このマットと、それからジョージ・アールの”疫病神”ぶりがすごい。アールがまず直接の相棒殺しに始まって、これまでに関わってきた友人知人ついにはガール・フレンドに至るまで、直接的にも間接的にもことごとく不幸な目に遭わせていく。マットもマットで、行く先々で暴行強姦殺人と、擁護のしようもない。
一方、パーカーはこの憎むべきアールとマットを殺せない。そればかりかやはり、それ以外の人物に対しても、なんだかおおむね優しい感が否めない(※当社?比)。
1作目でたまたま侵入した先にいた無関係の女性をうっかり手にかけてしまったり、4作目で囚われのハンディのためとはいえ女性を死なせたほうが幸せレベルで拷問したりした、あの頃の彼比では、明らかに。
やっぱりクレアとの出会いが彼に変化をもたらしたのか……?
いやむしろ、そうだとしたら、本来の彼に戻ったというべきなのか。クレアと出会うまでは、元妻リンを引きずっていたことを自分で認めていたパーカーだから。やはり彼には、「妻」というか「家」が必要だったということなのか。仕事モードをオフにできる「帰る場所」をずっと求めていたのか。
そうだとしたら、⑲『地獄の分け前』でのレスリーに対するあのノロケ台詞も、実は一貫して変わらないパーカーの求めるものなのかもしれない。おそらく言葉にして聞かせたのが初めてだったというばかりの。
…いや、でも、リンを失う前の①『人狩り』の仕事も、シリーズ史上最恐レベルのことをしておりますけれども。相手が相手とはいえ、計画の当初から皆殺し前提。
人殺しはなるべく避けるという、以降の前提はドコ…?となる。
なんか、その、「家」でなければ①の後の「整形」が、彼の罪をいったんリセットして、別人にした気がしなくもない。パーカーはやっぱり『人狩り』で一度死んだのかもしれない。
殺さなかった相手のカムバックというのは、このようにシリーズ中でも何度か起こるのですが、⑱『ターゲット』で、パーカーは「生かしておいたのは間違いだった」とついに反省(?)します。
…にもかかわらず、⑳『電子の要塞』での決着は、まったく思いもかけず――
でもこれも、⑫でのアールの件も、パーカーの基準はまず同じ。パーカーは変わっていない。
そして、パーカーがこういう選択ができる時点で、まだまだ“宿敵”にはなりきれないのかもしれません。アールもマットも。
じゃあ、パーカーのいちばんの宿敵ってだれぞ?
それについてはまたいつか考察(というか勝手な独り駄弁り)をするかもしれません、が、
というか、『掠奪軍団』のときの記事で少しばかり書いておりました、が、
が、
あれら⑫の最悪災厄疫病神ーズを殺さないでおいて、
殺さないでおいて、
最終作のあれはやっぱりあんまりじゃねーのか、パーカー!?(某T・Hの憑依)
次回に続きます。
※おまけ
~⑫のニヤリなシーン~
・某俳優強盗の「若くてチャーミングな」点には関心のないパーカー。
・「パーカーは、忍耐強い性質だが、これほど辛い待機はいままで――」
某長年の相棒H・M:「俺の相棒はほんとに気が短い男なんだ」
某俳優強盗A・G:「俺の友だちは気が短いんですよ」
・「パーカーはすこしクッキーを食べた。なかなかいい味がした」←薬入り
「コーヒーをすこし飲んだ。これまたいい味がした」←薬入り
シリーズ中、あまり食事の味にあれこれ言わず、こだわり薄そうなパーカーが、お気に召したものに限ってこう……。しかもクッキーは、ポール曰く「自家製」らしい。だれの? もしやアナタの??
・「自分に使用されたものと同じであるとは言いきれなかった」とか言いながら、人ん家から持ち出した自白剤らしきものを、他人に注射するパーカー。やってることが某名探偵マンガの黒づくめのジ〇兄貴と同じ。…いや、自分ですでに人体実験済みとおっしゃるかもしれませんが…。
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