無論、全巻ではないけれども、絶版パーカーシリーズどころかグロちゃんシリーズまで所蔵されていましたわ! なんてこと! お前は今までいったいなにを検索してきたの!?
2ヶ月前の、11年間気づかなかった事件も大概だけど、その次くらいにまたやらかしたな、おいっ!
……まあ、良い方向で考えるならば、人間、気づくべきタイミングで気づくんでしょうね…。
というわけでっ! 地元にいながらにして再読できましたぜ! 『悪党パーカー/標的はイーグル』(木村二郎訳)
以下、『標的はイーグル』の話。…というか、やっぱりそれ以外の作品の話もするので、例によって全般ネタバレ注意。
スタン・ディヴァーズくん初登場作!
紹介文にも書かれています。
二十四歳、金髪イケメンの新入り、パーカーとの初仕事!
次の登場作『掠奪軍団』では、すでに(…エドより有能では?)という成長ぶりを見せ(※エド・マッキーはここが初登場なんですよねぇ)、『殺戮の月』では「どうだい、ダン?」(はぁと)(←違う)という、少なくともパーカーの次くらいに見た目が怖そうなワイツアーに絡み、敵も仕留める活躍も見せる。
『殺戮~』の、フロリオさんVSワイツアーに口を出さずにいられないディヴァーズくん、その二人にけちょんけちょんにやっつけられるディヴァーズくん、もうひたすらだんまりを決める賢明なマイク・カーロウ、実は見ていたトム・ハーリー、というちょっとしたシーンが大好きなんですが、私。
それはさておき、パーカー、すでにこの『標的はイーグル』から、ディヴァーズくんを裏稼業に引き込む気満々に見える。この前が『裏切りのコイン』で、ビリーに対する超辛辣な描写とは、まさに対照的。
展開的には、『裏切りのコイン』と似たところがあります。…もうムショ帰りにパーカーへ仕事持ち込むのやめましょう、皆さん。
というか、あれだ。素人よりもプロのほうが、パーカーを仕事に誘っちゃだめだ。パーカーが誘ってくれるならまだしも、自分からパーカーを誘っちゃだめだ。
ねえ、某運転手?(ニッコリ)
例によってパーカー、散々難癖をつけた末に、結局仕事に乗る。…基本、断らないですよね、パーカー…。いや、断ったら、話が進まないんだけれども。
フスコへのプレッシャーのかけ方を見ると、某運転手の話に、ほとんど批評もなくすんなり乗ったパーカーが意外に見えてきましたわ。
それにしてもクレア! 泣いてるんやないですか!? 『裏切り~』のすぐあとだからしかたないにせよ、パーカー、電話一本くらい入れてあげて!
『裏切り~』を最初に読んだときは、クレア、だいぶひどい女だなぁと思ったんですが(ただ、同じ女としてか、それとも人間としてか、ああいう残酷な気持ちはわからないでもない、そういう一面が自分にもある、と思ってしまうのが、スターク氏の描写)(ほかの色々な人物を見るときもだけど、自分の嫌な心の一面をくすぐられている気になる)、
そして『Dirty Money』のときも、もうこの人にもバズーカぶっぱなしていいよ、某運転手!…とさえ思ったんですが、今はまたクレアが好きになっています。
そして、今ならさらにわかる。だれがなんと言おうと、パーカーがどれだけ彼女にベタ惚れしているか…!
ともかく、ともかく、
ディヴァーズくんのデビューも見どころではありますが、PART2に入るや否やの早々の崩壊ぶりには、もう笑うしかない。スターク氏の皮肉。これはもちろん狙っている。
思えば、この作品でも、パーカーがだれも殺していないように見えるんですが、にもかかわらずかなりの惨事になるので、その点に注目がいかない。
いや、『裏切り~』のあれはしかたないとしても、『標的~』はこれ、防げたのでは!? あの人の様子が変なの、わかってたでしょ! ぬわぁぜに放置!? 横取り上等!? むしろお楽しみステージ!? ……いや、あんな事態になったのに、それはない。
後に『掠奪軍団』で、「女に仕事をぶちこわしにされた」と記憶を振り返りつつ、ブレンダやノエルの良さを思うパーカーですが、いや、あっちにしてみれば怖い悪党どもに何日も自宅に通われ、ご飯も作ってあげていて、まして素人なのですから、愚かな振る舞いに出てぶちこわしにするのはある意味当たり前で、あれは「オーガナイザー」であるパーカーが防がなあかんですよ…!と、今になって思ってしまった。
…無論、エンタメとして、その悲惨さがまた面白さでもあるわけですが。……こう書くのもまたぞくりとしますな。
パーカー一味は6人だから、多いほう。
その中でも際立つ、フィリー・ウエッブという有能オブ有能。
なんですか、あの方!? 全体の半分を過ぎてからの登場で、しかも視点変更で自分パートを用意されていないのに、あの非の打ちどころ皆無どころか満点越え120点の動きをするプロ運転手!
仕事の前、最中、後、どこでも冷静沈着。無口なところが「好き」とパーカーに気に入られ、言われなくともさっさと動いて敵を制圧し、強運あり、タフさあり、無口とはいえ陽気さあり(たぶん、それに救われたディヴァーズくん)、危うく寝過ごす寸前だったパーカーより早起きして変事を知らせる(二晩連続ディヴァーズくんとの飲み比べ対決に完勝後)。
なに、これ!!?? なんなの、この第一級の有能!!??
この方、『殺戮~』の全員集合シーンで、マジで一人だけなにもしゃべらなかった方ですよね!? マイク・カーロウですら話したのに!
ねえ、「エースが5枚」と、あと帰るシーン以外、この方しゃべりました??
その『殺戮~』の登場シーンだけ、ようやく自分視点パートがありましたが、この方がカムバックしていないって、本当なんですか!?
…有能すぎて使いどころが難しい例かもしれませんな。
初登場作から、もう話さなくていいレベルで、パーカーと息が合ってますもん。
パーカーシリーズの運転手は、基本的に有能なんですよね。…有能でない方は、冒頭で文字どおり事故られておられますけれどね(グロフィールドさん巻き添え)(パーカーさん、二回くらい運転手による事故からノーダメージ脱出)。
それでいて、無口。マイク・カーロウとフィリー・ウエッブはとりわけ無口キャラ。でも後者の方は、たぶんプライベートでは陽性気質だと思う。
……まずいですぜ。
いつぞやの「鍵師コンペ」に続き、「運転屋コンペ」妄想も試みているのですが、
ドートマンダーシリーズ
スタン・マーチ、マーチのおふくろ、フレッド&セルマ・ラーツ
パーカーシリーズ
マイク・カーロウ、フィリー・ウエッブ、某運転手
コンペ開始以前に、ああ、もう、上の二人がいれば、そりゃパーカーもためらいもなく切ってしまいますわな、某運転手を!とか、ひどいこと考えてしまった。
(まだ許していないので、名前は書かない)(←オマエがいちばんひどい)
(ネタにするに至った経緯は、諸々の過去記事等…)
どうする、どうする、某運転手!?
マイク:プロレーサー、無口キャラでいながら演技上手、パーカーとはお互いに信頼ぶ厚い。カムバック済み。
フィリー:出番のわりに期待越えの働き。パーカー「無口なところが好き」 プロ一筋腕利きドライバー。趣味車いじり、身元不明の車を作る。
ライバル強すぎじゃないですかね!?
…いや、たぶん某運転手も、上二人に負けず劣らずの有能。
某運転手:自分の仕事をパーカーに持ち込める(だから今思えば、もうこの時点で超危険信号)、自分で仕事のプランを立てられる(たぶんパーカーと半々くらいでやっていた)、車はなんでも調達してくる(で、自分のためだけの車が調達できなかったという…)、バズーカ撃てる(だから違う)。
ライバル二人は、基本パーカーに呼ばれたから来るという姿勢で一貫していますが、
自分で仕事を見つけて、自分である程度計画し、自分でお膳立ても済ませる、という、ライバル二人が披露したことのない、積極性がある。
そう、そんなものがなければ――(以下略)
ただわたくし、どこかの長いあとがきで、『Dirty Money』のあの役まわり、やるなら彼かウエッブだと、書いた気がするのですが、
『標的~』読み直してみて、ウエッブでは想像しがたいと痛感したのでした。
実のところ、あの役まわりは、某運転手でなければ、それこそディヴァーズくんだと効果的になるのではないかと考えていたんですが、
それでは、さすがに痛ましすぎるでしょうな…。
しかし、ううむ…、思い返せば、あの一連の出来事には、ウエッブやカーロウにはない、某運転手の「若さ」が表れていたなぁと。(実際の年齢不明)
自分視点パートまで考慮すると、たぶんマイクがいちばん雄弁。表のレーサー稼業、そこに至るまでの若い頃のエピソード、信念、パーカーへの好感と信頼、メインザーと決闘する意欲、船も運転できるし、趣味は釣り(だれかと同じ)、女性の好みまで描かれる。
有能キャラの中には、仕事ぶりどころか、生い立ちから始まる波乱の人生を丹念に描かれた末に非業の最期を遂げる方もいるので、だからといって少しも安心はできないのが、パーカー世界の非情なところ。でもマイクは人物背景がしっかり描かれ、出番も安定。相棒特有の災難も経験済み。
それに比べて、フィリーは謎が多い。出番がまず少ないので、パーカーとディヴァーズくんへの話しぶりで推し量るしかない。にもかかわらず、絶対に切りたくないレベルの有能であることがわかるように描かれる。
さらに某運転手、出番は、一連の出来事の「おかげ」でフィリーより多いのに、もしやマイクよりも多くなったかもしれないのに、謎が多い。最初の自分視点パートでも、自分についてほとんどなにも語らない。パーカーについても「だれか今すぐ来れそうな仲間知ってるかな…?」くらいしか考えていない。…この人、仕事のことしか考えていない。
わりと色々考えているカーロウとは、なかなかの対照。
仕事中、退屈なので、次に作りたいレーシングカーのことを考えていたら、拳銃を持った人に近づかれたカーロウと、
下見中、新しい仲間のことを考えていたら、拳銃を持った人に車に居座られていた某運転手、
あれ……?
なんかだんだん書くことが散漫になってきましたが、結局は、そう、妄想したい、「運転屋コンペ」
でもやっぱりスタン・マーチが有利かなぁ。ドートマンダーシリーズのレギュラーだし、超速ドライブに船にヘリコプターに銀行と、運転してきたもののバラエティがまず圧倒的。
運転したもので言えば、なにげにすごいのが、『人狩り』のマル。タクシー運転手でありつつ、飛行機を運転するという、高スキル。
パーカーシリーズ準レギュラー三人も、やってと言ったらやりそうですけどね。
もういっそワイルドスピードみたいな運転屋バトルを見たい。
今挙げたメンバーで、筋肉ムキムキタイプの人物は……しいて言えばフィリーだけですが…。
マイク:小柄、細身、「レーサーにぴったりの体格」と。
フィリー:小柄、ずんぐり小太り、重量挙げ選手並みの胸と腕で、猿に似て見える。運転している姿が自然で、歩いている姿がややぎこちない、と。
某運転手:痩せている、が、体格不明。(つまり、上の二人より背丈はあるんでしょう)
スタン:がっしり、ずんぐり。…たぶん身長はドートマンダー未満(6フィート)、ケルプ以上。
果たして、ナンバーワン・ドライバーはだれ!? …なんて、ね。
(......マルを運転手と見なして考えると、パーカーシリーズとは、始まりと終わりがーー)
◆◆◆
ところでですが、ちょっと前に上げた「妄想集」、ありがたくも、このあいだ当ブログ内の注目記事にランクされているのに気づきまして…(あれ、どういう基準で決まるんだろう…?)
その…四本目のやつが。
ですが、申し訳ないことに、リンク先のアクセス数は変わらずで。
いや、アクセス自体は多くなくていいんですが(だってあのマイナー自己満しかも未翻訳作の話ばかり、ですぜ)、ブログ上で注目していただけているわりに本体のアクセスが変わらないということが、申し訳なく。
掲載先のハードルが高いということか…。検索避けがすばらしく頑丈なんですが、鍵までつけましたし。
それで、四本目だけでももっと見やすい場所にまた載せ直してみようかと考えております。そんなことしていいものかどうか、やるにしてもどの場所ですべきか、まだ決めかねておりますが。
うーん、それとも『長いあとがき』だけにするべきか。
どうしましょうかね、背後霊さん!?(←だからひどい)
悪党パーカー・標的はイーグル (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)
- 作者: リチャードスターク,木村二郎
- 出版社/メーカー: 早川書房
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