A.Banana.S

古代ローマ、NACSさん、ドートマンダーにパーカー、西武ライオンズ、FEプレイ日記(似非)・・・好きなことをぽつぽつと。

【検証4・結論】悪党パーカーへの告発

 

さて、やはりもう絶望しかないような「ニック生存説」ですが、彼が言っていたように、絶望と思ったらいつでも希望の光があります。なので、私なども走り続けなければいけません。

 

究極の問い:「ニック・ダリーシアは本当に死んだのか?」

 

を考えながら、『Dirty Money』の4つの謎を検証していきます。

【検証1】より続けて、

①教会に残された箱の数と位置

②身分証代20万ドルの出所

③パーカーが運んだ謎のa Hefty bag

④10月から11月に飛ぶ問題

 

④に関しては、今のところ解ける気がしません。というのも【検証1】で時系列を書き出せたように、『Nobody~』から『Dirty~』に至るマサチューセッツ三部作は、ほとんど隙なしのタイト・スケジュールで話が展開しています。次のチャプターにはほぼ必ず「月曜日」「火曜日の午後」「二週間前」「9日前」等々、続く日時を現わす言葉が入っているのです。そのため、2週間飛んだ隙が見つけられない。

 

③のa Hefty bagの場面だけで、「州北部の金の半分以上」、この「ヘフティ・バッグ」、「11月に飛ぶ」と、三つもの謎が現れます。

しかしながら、a Hefty bagの謎──この中身は【検証1】で推測したように、「ロフトに残した4箱のうちの、消えた1箱、すなわちダーティー・マネー」であると思われます。リビングではなくぞんざいな感じでガレージに運んだことが根拠です。おそらくは後で本体のダーティー・マネーに混ぜて処分するつもりだった、と。

 

これを元に、残り①②を検証します。

まず書いてあるとおりに。

10月11日土曜日、パーカーはニックを教会の地下で始末し、何食わぬ顔で、ネルソンとサンドラとともに、金を警戒区域外へ運び出す。この際、彼は聖歌隊用ロフトに、現金入り4箱、その上にカモフラージュの讃美歌集の箱を複数個(※複数は確定だが個数不明。おそらく2~4個)】を乗せます。そしてニックを殺し、パトロールの警官二人に応対し、サンドラの車で運転して立ち去るまで、箱を動かす隙はありません。実際、警官二人が立ち去った後、ネルソンが「もうカモフラージュの箱を下ろして、積みきれなかった現金の箱を積み直そう」と言い出すのですが、サンドラとパーカーに反対されます。パーカーは指摘します。「警官二人が今空き家に入っていくところだ。ガラスが割れて、新しい血がついている空き家だ」…というわけで、3人は大急ぎでその場から去ります。ネルソンが現金積載のトラックを運転、サンドラの車にパーカーが同乗。

そして9日後、10月20日、同じ警官二人が、教会の中へ入ります。以前はパーカーの「中はすっかり片づいていて、なにもなかった」という言葉を真に受け、教会内を調べなかったのです。そしてその時、入ってすぐの床(フロア)に箱を見つけます。3箱。4箱ではなく、3箱。ロフトではなく床。ドアから入ってすぐの床。ロフトに上がった描写はありません。

二人は3箱のうち1箱を開けて、現金がぎっしり詰まっているのに仰天します。そしてなんの金なのか気づき、地下に下りていって、そこでにおいに気づく……という。

 

この同日、警察署内で刑事レヴァーサとその上司が、この気まずそうな警官二人を同席させて、話します。警官二人が開けたのは3箱のうち1箱でしたが、3箱とも現金だったらしいことが書かれます(we opened them, it was all money.)。どっちにしろ、箱の数が足りません。カモフラージュの讃美歌集の箱はどこへ行ったのでしょうか? 持ち出されたのか? それともまだロフトにあったのか? 後者の点が言及されていません。

ちなみにこの場面の終わりに、レヴァーサが「9日前はすべてがそこにあったのに」と言っているので、ニックの死体発見とレヴァーサの嘆きは本当に同日の出来事でしょう。つまり、ニックの亡骸の身元確認は、同日中になされた。

ただ、まず、ここで重要な問題は、なぜロフトにあったはずの箱が、下の床に下りているのか、です。しかも現金入り3箱が。4箱だったはずの3箱が。

 

この日、パーカーは、逃走中はサンドラと、そして夕食をとるまではネルソンとも一緒にいます。夜、サンドラは私物がまだあるからと宿に引き返しました。パーカーとネルソンは、警戒区域外のモーテルに泊り、そこに付属のバーと食堂を利用します。

 

しかし、消えた1箱を使ったのは、パーカーしか考えられません。

 

まったく無関係の他人が、たまたま見つけたのならば、現金入りの残る3箱を置き去りにするはずがありません。ニュースでダーティー・マネー(使えない金)だと知っていたなら、現金入り1箱だって持ち出す理由はないし、持ち出したとしても「3箱をフロアに下ろして放置した」理由に説明がつきません。ロフトに置いたまま、欲しい箱だけ持ち出せばいいのです。

 

なぜ、下のフロアに下ろしたのか? 現金入り3箱を。

 

色々考えたのですが、これ以外考えられません。

 

見つけやすくするためだった。盗まれた現金を。そしてニックの死体を。

 

なんのために?

 

 

さて、②身分証代20万ドル

 

バカな私が修正したように、20万ドル全額ではなく、半分の10万ドルの前払いでした。ロビンズは「約」20万ドルとも言っています。パーカーはこの前払い「約」10万ドルを即時支払するため、クレアの待つ車から「ダッフル・バッグ」を持ち出します。これは『Ask The Parrot』にて、トム・リンダルが袋詰めしてくれたままのダッフル・バッグの一方です。その際、バッグは満杯だったとも書いてありました。この中身は、警察関係者から語られますが、約10万ドル。多少の過不足ありで、各10万ドル。リンダルもパーカーもこの金を厳密に数えていません。ただあっただけの現金を、適当に半分に袋詰めしただけ。

 

ダッフル・バッグの約10万ドル。

 

場面はこの金を、パーカーとロビンズが数えているところで終わり、2チャプター後、パーカーは地の文で言います。「州北部で得た金の半分以上を使った」

 

……やはり、おかしくないか?

 

前金約10万ドルに対し、ダッフル・バッグの約10万ドルの半分以上を使ったと言っている。

足りないじゃないか……!

「半分以上(more than half)」ではなく「ほとんど全部(almost allとかmost of)」ならまだわかる。が、半分以上(過半数)とは、約10万ドルの内、いったいどこまでの額を言っているのか。

 

仮にロビンスが約20万ドルを18万ドルにしてくれたとしましょう。

そしてパーカーのダッフル・バッグには約10万ドル予定のところ、幸運にも12万ドルも入っていたとしましょう。

9万ドル、ロビンズに前払い。後払い分が9万。

半分以上は半分以上です。(16万ドルで、前8万後8万も考えました)

ただ、どっちにしろ、この場合、パーカーは赤字か、良くてトントンになります。

9万ドル前払いで、ダッフル・バッグの残り3万ドル。これに資金洗浄取引後の現金輸送車の分け前を足して、後払い分とする。

 

本筋、現金輸送車の分け前ですが、実は『Nobody~』でも『Dirty~』でもはっきりと配分は書かれていないのです。

ただ手掛かりはあります。『Nobody~』の最後、パーカーはメッチェン医師のインタビューが映るニュースを見ます。ジェイク・ベッカムのアリバイ作りに協力したメッチェン医師。パーカーが述べるに、その分け前は、全部が「当初の予定どおりに進んだ場合」「ジェイクの3分の1」で、それは「20万ドル未満で、ブリッグスの分け前より少ない」と。そして強奪の収穫は、220万ドルとニュースでは言っているが、保険会社は損害を誇張するものだし、小銭は置いてきたから、実際は「150万ドルに近いのではないか」と推測しています。

あいだを取って、200万ドルとしましょう。「当初の予定どおり」であれば、まだネルソンがいなかったので、パーカー、ニック、ジェイクの3等分になります。

パーカー 5.5万(55万)

ニック 5.5

ジェイク5.5 →メッチェン1.8

ブリックス 3.5

これで200万(→20万)で、筋は通ります。ブリッグスの分け前は全体の2割未満。

 

実際は、これにネルソンを加えたため、配分が変わります。これも推測ですが、

パーカー 4.5

ニック 4.5  →内サンドラ2.25

ネルソン 4.5

ジェイク 4.5 →内メッチェン1.5

ブリッグス 2

 

またはジェイクが4で、ブリッグスが2.5かもしれません。そうすればブリッグスが当初の配分に近くなる。

 

いずれ、つまり、パーカーの予想配分は4.5万ドル。これにサンドラが半分持っていったニックの分け前2.25万を、ネルソンと折半せずに独り占めしたとしても、6.75。7万ドル未満。(折半したなら6万ドル未満)

 

戻りまして、

身分証代20万ドル→18万ドル

ダッフル・バック10万ドル→12万ドル

と良く見積もったうえで、

前払い9万ドル、後払い3万+6万で、18万。

これでギリギリで、赤字回避できるかどうかです。しかし、甘い見積もりであることは、見てのとおりです。まずもって、ダッフル・バッグに12万も入っていたか。ロビンスは2万ドルもサービスしてくれたか。

 

では、「約」を取り払って考えます。

身分証代20万ドル。

前払い10万ドル。ダッフル・バッグ10万ドル

輸送車強奪のアガリは、多めに6万ドル。

 

ダッフル・バッグのほとんどすべてを使ったとして、後払いの10万ドルを、パーカーはどうするのでしょうか。輸送車のアガリを入れても、赤字確定です。

 

赤字でもまぁ、しょうがないだろ、そういうこともある。それに、パーカーだって貯金はないわけじゃない。むしろ常に金はたっぷりあると『エンジェル』にも書いてある……と思われますが、『Nobody~』の前半、【検証1】で書いたように、パーカーはクレアに言われて、他人の家貯金から2万ドル引き出しています。このうえで赤字はさすがに痛いのではないでしょうか。しかも例の「州北部の金」と「a Hefty bag」と「11月」問題と同じ場面、パーカーは考えています。「2つの問題──金と身分証が片づいたら、クレアとどこか南のほうへ行く時だろう」

いいや、バカンスなんて考えている場合ではありません! このままでは万単位の赤字確定なんです!

すでに2万ドル貯金を崩したうえ、身分証代で万単位の赤字見込み、それなのにバカンス?

 

赤字を防ぐため、聖歌隊用ロフトから1箱持ち出してはいないでしょうか?

 

これはダーティー・マネーですから、普通には使えません。ですが、某あとがきにも書きましたが、偽造屋ロビンスの支払いには、一部ならば使えるのではないでしょうか。たとえば身分証作りなら、海外への経費にダーティー・マネー15万、ロビンスの純利益にクリーン・マネー5万。

 

そしてダッフル・バッグに入っていたのは、12万というラッキーではなく、実際は10万ドル未満、たとえば9万8千ドルだったとしたらどうでしょう?

パーカーは身分証代の前金に、ここから5万払った。「州北部で得た金の半分以上」になります。

そして残り15万を、ロフトにあった1箱で支払った。

これで赤字回避できるうえ、パーカーの手元には4万8千+現金輸送車のアガリが入ります。

計算も、無理なく合います。

 

だから、ロフトから現金入り1箱を持ち出したのは、ほかでもない、パーカーなのです。

 

 

では、いつ、どうやって?

 

実は、例の教会から逃走した土曜日、クレアの手が空いています。この日のおそらく午前、クレアは宿を一人でチェックアウトして、車があります。さらに、この少し前に明かされるのですが、彼女は携帯電話を持っています。

モーテルで夕食をとった後のパーカーと、連絡を取り合えるわけです。

 

しかし、クレア一人で、土曜日に教会から1箱持ち出せたとは思えません。まず、箱が重い。サンドラでさえ、力仕事を男ども(パーカーとネルソン)にやるよう言って、自分は車で見張り役をしていました。それでも1箱くらいは持てたでしょうが、まずもう夜です。最低限、運び役と懐中電灯係の二人が要ります。

実は『Nobody~』にて、あの教会の、少なくとも地下室は電気がつくことが、強盗犯3人によって確かめられています。いますが、夜に明かりをつけることは、窓が多すぎて危険と、パーカーは懐中電灯を使うことにさえ慎重でいました。

だから、あの当日夜に、現金1箱を持ち出したとは考えにくい。

やったとしたら、翌日曜日でしょう。この日は動向不明の日です。パーカーはこの日にフランク・ミーニーに電話すると言っていましたが、日曜日ですからね。ビジネスマンのミーニーは出社していない可能性が高い。

あるいは日曜日ではなく、もっと後でもできなくはない。が、いつ、また教会が調べられるとも限らないので、早いに越したことはない。

ただ、この月曜日から金曜日まで、パーカーはわりと忙しい。月曜日はミーニーに連絡をつけ、早くも同日午後2時には直接会っています。火曜日から木曜日はエド・マッキーからの電話を自宅近所の公衆電話で待たねばならず、金曜日はもう身分証作りにロビンズのところへ出かけています。

だから、やったとしたら、土曜日夜~日曜日まで。空白の日曜日が有力。

 

ところでですが、この1箱持ち出しは、パーカーによる仕事内の不正ではないのでしょうか? ネルソンはこれを知らないでしょうし、わざわざ知らせる理由もありません。ですのでこれは、パーカーによるちょろまかし以外のなんでもない。たとえほかに使い道のないダーティー・マネーだったとしても、相棒に無断でちょろまかしたことになります。

パーカーが自分一人のために。

 

ただ、なぜパーカーは、あえて危険を冒して教会まで戻って、1箱を手に入れたのでしょうか? その気になれば土曜日夜、モーテルにて、ネルソンが寝ている隙にでもレディーマー・トラックからちょろまかせばよかったのでは? 尾行に気づかなすぎるネルソン相手です。おそらく気づかれません。

なぜ、教会まで戻ったのか?

精巧な似顔絵が出回っているのに。

ただ、土曜日の時点で検問が解除されたことを知り、サンドラと一緒ならば車を止められもしなかった。ネルソンのほうは止められ、警官たちに意地悪をされましたが、カモフラージュのおかげでセーフ、となったのに。

だから、クレア、あるいはサンドラと一緒で、しかも日中を避けたなら、危険ではありますが、教会まで戻って戻れなくはなかったのです。

女性と一緒、というのがポイントです。

だから、現金入り1箱を回収するために、クレアかサンドラの運転する車で向かったとしか思えません。ちなみにどちらの女性もケータイを持っています。

土曜日に、サンドラと? の可能性も考えましたが、私は否定的になりました。1箱のちょろまかしはパーカーだけの利益であって、サンドラにとっての得はなにもないからです。レディーマー・トラックさえ無事なら、サンドラとしてはオーケー。

だから、パーカーと利益を共にするクレアの協力が最有力です。実際、パーカーの身分証がレヴァーサ刑事によってダメにされたため、運転やらなにやら『Dirty~』でのクレアの活躍は、異例なほど大きいです。最初の四者会談に同席することを選んだときは、パーカー自身も驚いたとの描写があります。

ネルソンの救援要請に間に合ったのも、クレアがロングアイランドまで長距離ドライブしてくれたおかげ。

しかし彼女一人ではさすがに厳しい。が、彼女の協力はあった可能性が高い。

 

ところで、ここで最大の謎が生じます。

 

箱が1つ減った理由は、推測できました。問題は、なぜ残る3箱が、ロフトではなく下のフロアにあったのか、ということです。

 

クレア一人にしろ、パーカーと二人にしろ、あの箱複数をわざわざフロアに下ろす理由がありません。必要な1箱だけ持って、あとはそのままロフトに置いておけばいいのです。

 

なぜ現金3箱が、下のフロアの、目立つところに置かれていたのか。

 

これが『Dirty Money』最大の謎です。

 

さて、大いに戻りまして、あの③a Hefty bagです。10月20日(月曜日)、私はあれを、ダーティー・マネーの残りだと推測しました。ロビンズに支払った残りのダーティー・マネーを、資金洗浄取引の前に、ネルソン保管の「本体」と混ぜるつもりだったと。余ったのならば、持っていても仕方がない。あとでミーニーに「数えたら、200万どころかほぼ150万だったんだが!?」と文句を言われないともかぎりませんし。

もしもあの1箱に20万ドル入っていたら、身分証作りのあとに5万余ります。15万がダーティー、5万が州北部からのクリーン。

余りのダーティー5万──それがヘフティ・バッグの中身だったのでは。

 

つまり、金曜日にロビンズと会ったパーカーは、空白の土日を挟んで、月曜日に、あのダッフル・バッグを、他人の家に預け直したのではなく、a Hefty bagに入れたダーティー・マネーを持って出てきた。

 

待て。ちょっと待て。

 

なぜその他人の家にダーティー・マネーがあるのか? その家から出てきたパーカーが、新たにa Hefty bagを運んでいるのか?(carriedと表記されている。だからたぶんそんなに小さいものではない)。

 

自分で持っているなら、まだわかる。ダッフル・バッグと一緒にロビンスのところに持っていって、余りを処分するまで手元においておけばいいのです。ダッフル・バック以外を持ち込んだ描写はないですが。

だから「他人の家」から出てきたパーカーが、a Hefty bagを持っているのは、どうしたっておかしい。筋が通らない。

そもそも後払いの10万+余り5万を一緒に車に積んでいた? でもミーニーの会社からの帰り道だぞ? 

だから「後払い分&余り」はあらかじめその他人の家に置いてあったのでは。土・日のうちに。

 

ここで残る謎をもう一度整理します。

①なぜ教会の3箱がフロアに移動したのか?

②なぜ他人の家から出てきたパーカーが、a Hefty bagを持っていたのか?

③11月問題(※これはもう投げます)

 

①、前に書いたように、3箱を下に移動する理由は、見つけやすくするため以外に考え難い。強奪した金を。ニックの死体を。

 

ニックの死体が見つかって、得をするのはだれか?

 

パーカーには好都合でも不都合でもなかった。現に火曜日、資金洗浄取引の直前に、ニックの死体発見のニュースが広まっても、パーカーはせいぜいレディーマー・トラックを塗り直すよう、ネルソンに言っただけだった。

むしろ好都合か? 警官殺しのニックが死んだなら、事件の終わりといえば終わりです。

 

ほかに、ニックの死体が見つかって、好都合なのはだれか?

 

警察関係者、付近住民……etc.

ネルソンとサンドラも、ニックが死体で見つかったほうが好都合でしょう。ネルソンは警察に売られる心配も、脱出したニックに押しかけられる心配もなくなる。サンドラも、分け前を半分奪った件で追い回されることがない。ちなみに生きて逃げ続けるのなら、そのうち賞金がかけられるだろうから、それぞ彼女の本職=もうけにもできる。(※実際、序盤ではその可能性も口にしている。マイク・ハービンも州の警官を殺したために、賞金首になっていたと『Nobody~』にあるし……なんというフラグだ

 

しかし、それはそうと、

 

もう一人、ニックの死体発見が好都合である人物がいやしないか。

 

言っておきますが、このままでは、パーカーが裏切り者です。

文字どおり身分証代20万ドルに、教会から1箱ちょろまかしたダーティー・マネーを使ったのならば、不正です。ネルソン、サンドラに対してだけではない。

読者への不正であり、裏切りです。

 

らしくもない。パーカーらしくもないが、ヘフティ・バッグの中身は、まず間違いなくダーティー・マネーです。

 

この件への弁明が許されるとしたら、もう一事しかないでしょう。

 

 

(※以下、やはり妄想じみた話になるのは否めないので、ご容赦ください。ここまでお付き合いいただいたのに、恐縮ですが)

 

 

やはり身分証代は、1人10万で、2人分だったのではないか。『地獄の分け前』で、ジュリアス・ノルティに頼んだ時は、1万ドルだった。それよりもっとずっと頑丈なものを、パーカーが求めていたのは明らかだが、それにしたって20万ドルは法外ではないのか。家が建つ。マンションが買える。

1人10万で2人分。

パーカーは自分一人のためだけにちょろまかしたのではない。サンドラに分け前の半分を取られることになった、ニックへの代替案として、箱の中身で取引したのではないか。

やはりパーカーが、ダーティー・マネー5万(後払い)、クリーン5万(前払い)

ニックがダーティー・マネー10万(前払い・後払い込み)

これで身分証代20万。

それでも余ったおよそ5万かいくらかを、a Hefty bagに入れて、パーカーが持って帰った。あの月曜日に。

シーズンオフで、実質空き家である他人の家。そこに隠れていた男が、

「ああ、そうか。明日ミーニーとフェリーで取引が決まったのか。ところで、パーカー、あの箱を数えたら、あと5万ほど余ったんだ。けど俺、もうこんな金持っていたくないからさ、ネルスのとこに行くついでに処分してくれよ」

 

戻って、前週土曜日の深夜、パーカーはクレアの運転で、教会に戻った。あるいはクレアだけが、教会へ行った(!)。そして、ニック・ダリーシアだけ連れ出した。トランクにでも後部座席にでも突っ込んでおけば、もう問題なく脱出できると知っていた。

クレアはパーカーと同じモーテルに部屋を取った。どっちにしろパーカーとニックはここで合流した。クレアはパーカーの部屋で休み、ニックには自分が取った部屋を使わせた。

翌日曜日、クレアが来てくれたから大丈夫と、ネルソンを一人レディーマー・トラックで自宅へ返し、パーカー、クレア、ニックの3人は、ニューヨーク州北部に向かう。警戒区域外とはいえ、ニュースやら何やらでそこらじゅう自分たちの写真と似顔絵であふれているが、マサチューセッツを脱出したなら、もう少しましな変装ができる。クレアは以前パーカーの(実は下手だった)変装を直してあげたことがある(『地獄の分け前』)。

ニューヨーク州北部でなにをするのかを言えば、身代わり遺体の掘り返しである。『Ask The Parrot』にて、強盗一味を捕まえようとはりきりすぎたボランティアが、誤って射殺してしまった遺体である。パーカーならその場所を特定できる。これがだめでももう2人位殺しているので──(略)

日曜の夜、マサチューセッツ州のあの教会に、危険を冒してでも戻る。クレア運転、パーカー助手席、ニックは後部座席に隠れ、トランクにはご遺体を入れて運ぶ。

教会内。パーカーとニックの二人。クレアは車で待機。地下の電気をつけ、入れ替え工作開始。ニックは脱走時に来ていた服をそのご遺体に着せる。指紋は潰す。顔も潰す。お気の毒ながら。そしてシンク下に入れる必要はない。警察官二人が発見したシーンでもそのあとも、パーカーが押し込んだ「シンクの下」から死体が見つかったという話はなかった。地下にさえあればいい。そのほうがにおいもはっきりわかったことだろう。

遺体の処置を終えたあと、ロフトから箱を下ろす。1箱、クレアの車のトランクに積む。(ないし、もう要らないと思うが、カモフラージュ箱も望むならば) 残り現金入り3箱は、ドア付近のフロアに置く。いずれ見つけてもらうために。ニックの遺体もろとも見つけてもらうために。

ニックの身元確認問題ですが、指紋は取られていたにせよ、DNAはもしかしたら採取されていなかったのでは。取り調べ前だったから、警察では。

というのも、ニックがぶち破った空き家の窓ガラス。あれにニックの血痕が残っていたのですが、DNA鑑定して、ニック・ダリーシアのものだとわかったならば、もっと早いうちに教会は再び調べられていたのでは? 9日経って、あの警官二人とも、あの窓ガラスの血痕がだれのものだったとも言っていない。ニックと照合してもみなかったか、ニックのDNAが未採取だったかのどちらかだ。

だったらあの教会の地下に、遺体と、服(血痕つき)と、髪の毛、輸送車の金、あと奪った警官の銃でも置いておけば、もしかしたらあの亡骸をニックと鑑定してもらえるのではないか。

 

甘いだろうか?

 

DNAがないなら、だれかが死体を見て「間違いありません。ダリーシアです」と言うしかないのだが、ニックに身内がいる形跡がない。生前、ニックは今後の逃走ルートを頭に思い描くのだが、そこにはだれも……だれもいない。家族も恋人も友だちも登場せず、ただ、一人きり、ダーティー・マネーを使いながらカージャックでカナダを逃げまわる自分しかいないのである。

……アンタって人は……。

 

だが、思い出せば、ニックの遺体は発見当日に身元確認されている。半日も経たずに。レヴァーサに一報が入った時には「身元確認中」、レヴァーサと上司と警官二人が話している時に「身元判明」

DNA無しでも、状況だけでニックと見なせそうではありますが……もしもあとひと押し必要ならば……

ところでニックには、仲介人がいます。コネティカット州在住、保険会社のOLグレイスで、ニックのことを「最高の元夫」と呼ぶ。無論、実際に結婚していたわけではなく(それとも、してたの!?)、「顔も合わせず、言い争いもせずに、定期的にお金をくれるから」です。でも彼女、ニックのことをかなりよく知っている。「職業:強盗」であることも。『Nobody~』では「数日前にニックから電話があり」、図書館のヴァン・ダインの本にメッセージを挟んで仲介をしている。グレイスにとって、ニックの仲介は副業なのです。

で、ニックには電話友だちがほとんどいないと書かれています。それでたった2回直電しただけで、クレアの家にFBIが来ることに。

そうなると、ニック脱走の件で、グレイスもまず確実に当局の訪問を受け、しばらく不愉快な思いをしたはず。でもまぁ、ただの仲介人で、なにも知らなかったと言い張れば、逮捕はされないだろうし、パーカーの言い分ですが「警察も、ニックはかくまわれるのに知り合いを頼らない程度には頭が切れる、と考えている」…となると、隣の州のグレイスがニックの居所を知っているとは思わない。

ただこの彼女、ニックと一度もまったく顔を合わせたことがない、なんてことがあり得るだろうか? 少なくとも仲介人に任命された最初の1、2回は直接会っているのではないか。

だから、グレイスならば、本当に嫌だろうが、ひどい状態のご遺体を見て「これがニックです」と、言えるのではないか。いきなり発見されても、同日中に。

箱を運び出し、遺体を運び込んだ、あの日曜日にでも電話1本入れておけばいい。(無論どっかの公衆電話かなにかかから)

「グレイス、悪いが、これが最後の頼みだ。教会から死体が見つかったら、どう見えたとしても俺だと言ってくれ」

「無理でしょ! 写真が出まわってるのよ!」

「顔はよくわからないようにしたから。で、俺たちは、もう寝たということにしよう。いいか? これからあの死体にあったアザやほくろを教えるから──」

 

ニックの死因が結局不明なままなのも、ひっかかります。が、公式発表は「銃殺」でなければいけません。「身代わり遺体」がそうだったから。

だからあの時……ニックが地下に光を差し入れた時、パーカーが銃を取り出したのは、撃つため。ニックではなく壁でも狙って撃ち、ニックに彼を殺す気はないことを示し、一方で銃声が聞こえたならばネルソンとサンドラには、地下にやってくる前に「ニックを片づけた。俺は後始末をしていくから、見張りと積載を続けてろ」とでも言っておけばいい。

結局、警官二人が来たために発砲できなくなったので、後日ニックの死因をニュースで知ったなら、ネルソンとサンドラは首をかしげるかもしれません。「あのときパーカーが殺ったに違いないけど、銃声は聞こえなかったな…」

けどまぁ、それっきりでしょう。

死体発見後のお二人:

サンドラ「パーカー、お願いだから、もう誰も殺さないで」

ネルソン「ニックめ、死んだあとでもどんだけ面倒を起こすんだよ」(←PART4だけで3回救出されたアナタに言われたくない!)

 

 

以上です。

 

以上でなければ、パーカーがほんとにひどいと思うんですが、どうでしょうか……?

 

とにかく、これが今日2024年5月、新たに愚かな一ファンのわたくしめが出した、「ニック生存説」の結論です。

 

論拠はほとんど「ロフトの箱が下に移動していた」のただ一事につきます。わざわざこのようになっていなければ、パーカーが箱を1つこっそりちょろまかしただけの話で済みます。身分証代も文字通り20万です。

 

「20万ドル=二人分の身分証」と「遺体のすり替え」が、どう考えてもこじつけっぽく、強引なのはわかっています。

 

ただ、私は、ニック生存を信じたいのはもちろんですが、どうにもパーカーが、相棒たちに黙って1箱を我がものにした、とは考え難いのです。冷静になった際のニックとの交渉に使う、かつ自分の損にもならないようにする、が最もスマートに思えるのです。

 

だって、やっぱり、そうでしょう? ネルソンへの裏切りはさておいて、読者への裏切りであり、こそこそと教会に戻った末のケチなちょろまかしになってしまうんですよ?

 

そうでなければ、パーカーのしたこととは、

一度ならずドジを踏んで手を焼かせ、こっそり裏切りまで企んでいたネルソンを生かし、

調査書類一式で、ほとんど脅して横入りしてきたサンドラも生かし、

自分だって看守を殺したしあれこれやっているのに、相棒を見捨て、

今だ一人も手にかけるどころか殴ったことさえない「パーカー軍団」の、敵に殺された以外は全員生存を続けたパーカー軍団の──

その一人を無惨に殺しておいて、しかも無視も同然の扱いで、真剣でもない狙いで殺しておいて、

殺しておいて、

自分は相棒たちにも読者にも内緒で、教会から1箱ちょろまかした……?

そんな「悪のヒーロー」が、許されますか?

 

やっぱり私はトム・ハーリーに憑依して怒りをぶちまけに行くしかない??

 

はい、そうです。これは私の新「生存説」というよりは「告発」です。

 

ですからどなたか、パーカーの弁護をしてください。私も聞きたい。たぶん私はバカだから、どっかでなにかを見落としているんです。でなければ、妄想に取り憑かれ、深みにハマっているんです。

 

もう答えはわかりません。というか、残された作品から考えるしかないのです。ただ、作者スターク氏は『Dirty Money』を最後にするつもりはなかったとは思います。

 

 

さて……某『哀歌』諸々を書き直しましょうか(えっ)。だれにもこれ以上、私の間違いとか、バカさ加減とか、訂正をなされないのならば。

あれらはファンフィクです。結局のところファンフィクであり、妄想の産物にすぎません。それ以上に、想像だけならば自由です。都合の悪いところに目をつむるのも、エンタメであるかぎり自由です。だから、あのまま私の頭の中でだけ、『哀歌』~『ラスト・デイズ』も、『ライン』まで、保管しておいたって、だれにもなにもできません。

TODO-A - pixiv

(↑もうリンクを乗っけるのが恥でしかない状況になりましたね…)

でもですね、そもそもロビンズが「20万ドルの半分前払い」を言い出すとは、パーカーにもわからなかったはずです。全額前払いだったかもしれない。多額なのはロビンズもわかっているので「いつ用意できますか?」と訊く。パーカーが「今、車にある」と言ったので、ロビンズも驚いたわけです。

その後、ロビンズからカナダでの雇用記録等々手続きの流れを聞いて、パーカーは言います。「簡単そうだな」

でも20万ドルもかかるんです。

(......10万がいいとこじゃないですか? 10万と20万ドルは、昨今の円安を無視しても1000万円と2000万円の差ですよ?)

 

そう、別に20万ドル全額前払いの可能性もあった。

だから私の

①『哀歌』〜『ラスト・デイズ』みたいな説(謎のピックアップトラックを利用)→生存説

②パーカーが仲間にも読者にも隠した不正説 →死亡説

③パーカー、ニック、クレアによる工作説 →生存説

以上のどれも、ありえるっちゃありえるんです。

 

......おお、祭りをするはずが、こうしてまたとんでもなく長々しいものになってしまった!

なにをやっているんだろうな、私は。

どうしてこんなにも取り憑かれたのかな。

やはりこのうえもなく幸せな、一ファンであり読者だったということでしょうな。

 

 

さて、新しい検証は、ここまでにします。またなにか見落としに気づかないかぎりは。

 

あとはおまけの話……かな?

 

 

(※以下は、単なるアイキャッチ用画像です)