A.Banana.S

古代ローマ、NACSさん、ドートマンダーにパーカー、西武ライオンズ、FEプレイ日記(似非)・・・好きなことをぽつぽつと。

あるかわいそうな読者の話。(後編)


続き。悪党パーカーシリーズについた書き殴った昔のノートより。(未翻訳作中心、くれぐれもネタバレ注意!)《Breakout (2001)、Nobody Runs Forever (2004)、Ask The Parrot (2006)、Dirty Money(2008)》(※や、下線部は、現在の足し)

 

 

 2007/02/XX

 ニューヨーク旅行決行(人生初の海外旅行)。

帰りの飛行機で、『Breakout』読了。エド・マッキー大活躍回。

Lemons~』もこのとき現地購入。木村氏がドートマンダーシリーズの解説で書かれていた、パートナーズ&クライムで。

 『Breakout』について、ルーズリーフ8ページ分もぎっしり書いていますが、ここでは割愛します。

 

 

2007/04/30

 パーカーの次回作はまだ発表されていないが、ウエストレイク氏のインタビューに気になる言葉を発見! 狂喜! 記録は2006年12月、つまり『Ask The Parrot』発売後の語りである。氏曰く、

「パーカーは2作前に、盗んだ金を残してきた。彼はそれを取りにいくつもりだ」

 2作前=『Nobody~』だ。パーカーが金を取りにいくつもりということは、つまりニックが司法取引で金のありかを話していないということになり、パーカーと三人目ネルスには想定外のことである。話していない、もしくは話したけれどあるはずのところになかった……? トラブルの臭いがものすごくするのは気のせいか!? 期待(でいいのか?)のしすぎか!? 頭に『殺人遊園地』→ あいだに1作 →『殺戮の月』の図が浮かんでしまうのは、どうかしているのか!?

 やっぱりやっちゃうんですか、Butcher’s Moon Ⅱ!!??

 

とりあえず、期待しすぎてしまうのは、

1、ニックをBreakoutさせてくれ、パーカー!

2、身辺に気をつけろ、ネルス!

3、グロ・モア、プリーズ!

4、エド&ブレンダの無事確認

5、やっぱりオールキャスト見たい…。

 

…とにかく「1」、祈るよ。

 

 

2007/11/15

 パーカーシリーズ新作、翌年発売決定。

 この日は、延々とドートマンダーもの『What’s So Funny』の感想を書いて終わる。

 

 

2007/11/30

 来年4月、パーカーシリーズの新作『Dirty Money』が発売される。……興奮を抑えつつ、決定事項を一つ言うと、「パーカーは『Nobody~』で隠したあの金を取りにいく」

 ギャーーーーッッ! やっぱり行くのかっ! やるのかぁっ! アマゾンで見るカバーには、あの教会らしき建物(ニックのご自慢)と札束が描かれている。細かい情報はまだ載っていないが、エディター・レビューを読んで、いくつかわかったことがある。

 今回はその情報と、前作、前々作を元に、『Dirty Money』の展開を、なるべく客観的に分析・予想してみる(※そんなことは無理でした)。果たしてパーカーは無事あの金を手にすることができるのか!? …ちなみに私の展開予想は当たったためしがない。

 

 まず第一に考えることは、「パーカーはなぜあの金を取りに行かねばならないか」である。『Ask~』で説明されていたように、ニックが警察に捕まった時点で、あの金は法の手によって取り戻されたも同然のはずである。ニックが警察にあの金のありかを話し、司法取引をする……それがプロとしてパーカーとネルスの共通の認識である。二人ともあの金をあきらめていた。だからこそパーカーは、トム・リンダルと組んだ。

 警察の手に渡った金を取り返しにいくとは考えにくい。しくじった仕事、それで終わるはずだった。それをなぜもう一度取りにいかねばならないのか? しかもあれは「ダーティ・マネー」(番号を控えられた金)だ。わざわざ危険を冒してまで行くのか?

 考えられる理由は、なんらかの原因で、警察が未だ正確な金のありかをつかめていない、ということではないか。警察が一度回収したものをだれかに横取りされた、ということもあるが、これはちょっと強引でややこしい気がする。

 やはりこれは、警察に押さえられたニックになにかあったと見るべきかと思う。まず<①ニックが黙秘を続けている> 考えられなくもないが、パーカーもネルスも司法取引が行われて当然と見なしているのだから、プロの思考として、可能性は低いかと思う。<②ニックが保釈されてパーカーたちと合流をはかる> 以前『電子の要塞』で、保釈された元相棒が、ウィスとエルキンズに仕事を強要したことがあった。しかし今回は保釈の可能性は極めて低い。いくらなんでも金のありかを言わないうちには。そもそもニックは家に電話もない人なのに(※違います)、どこから保釈金を用意するんだ…。ともかくニックは保釈絡みでパーカーたちを頼るタイプとは思えないし、万一頼ったとしても、パーカーは無視or殺す(おい)のどっちかだろう。(※おい、ではなかったことが後に――以下略)

 となると、残る可能性は<③なんらかの原因で、ニックが警察に金のありかを話せない><④話したが、あるべき場所になかった>のどっちかだと考える。

 ④の場合は、ただちに付近住民は避難すべきである。『殺戮の月Ⅱ』が始まるぞ!

 …しかし前作、前々作を読むかぎり、どこかの組織のような、あの金を横取りしようと企む人間はいなかったし、パーカー、ニック、ネルスの三人以外、あの金の隠し場所を知っているとも思えないが……。

 ③は、ニックがジョージ・ウォルハイム作戦かなにかで(『Breakout』より)、ブレイクアウトを決行した。…あるいは、パーカーたちがブレイクアウトさせにいく、とか。…いや、パーカーはエド・マッキーと違って、わざわざ警察まで助けになんて行かないだろう。それにエディター・レビューを見る限り、「隠した金を取りにいく」とは書かれているが、「仲間を取り返す」などとは、ほのめかされてもいない。ここは「ニックが独力で逃げた」か、「ニックが警察に話せない状態になった」かのいずれかだろう。整理すると、

 

・あるはずの場所に金がなかった。

・ニックが逃げた。

・ニックが警察と取引できない状況になった。

 

これら3つの可能性が有力と考える。

 ここで、エディター・レビューの少ない情報を、深読みかもしれないが、分析してみる。まず金を取りにいくのが「Parker and his associates」……パーカーと仲間たち、つまり仲間が二人以上いるということに。…やっぱり召集かけて十二、三人!? ……いや、まず落ち着け。見たところ、ページ数は前作、前々作、さらにその前より少なめとの情報が載っているので、少し残念ではあるが、そんなに大勢が登場するとは考えにくい。仲間はまずネルスと考えるのが妥当だろう。そしてもう一人は…やはり逃げてきたのか、ニック!?

 さらに、パーカーたちの金を「both sides」の人間が狙っている、とも書かれている。Both sidesとは法の両側、つまり警察と、やっぱりどこからともなく出てきた横取り悪党班が、あの金を狙っているとほのめかしているのではないか。事態はパーカーチームVS警察VS横取り班の三つ巴の様相を呈するということになる。

 ではこの横取り班(人数不明)はどこから来るのか?

 加えて、パーカーが今回乗る車についての記述がある。パーカーはなんと教会関係者であることを表す車を動かすらしいのだが、エディター曰く「パーカーたちは全然神聖じゃない」…それはともかく、パーカーがあの教会に近づこうと企んでいること、つまり、あの金はまだあるべき場所にあるということを示していないか!? ブックカバーにもあの教会らしきものと金が描かれていたし。

 以上のことから考えて、私が出した展開予想は次のとおり…。

 

 パーカーはクレアの家に帰る。もしくは帰ろうとしている。しかしここで異常事態発生! 何者かが、ニック・ダリーシアを警察署から連れ出した! …おそらく警察内部に通じた横取りを狙う悪党の仕業である。しかもニックが警察に金のありかを話す前に、事件は起こった。パーカーは、警察に押収されたならともかく、どこかの横取り屋に金を奪われるわけには断じていかないということで、危険を承知であの町に取って返す。ニュースを聞いたネルスも急ぎ出発。パーカーとの合流を図るが、そこでハービンの件で彼と会う約束をしていた、キーナンの相棒サンドラさんが「ちょっと、これ以上待てないわよ!」と抗議する。でもそれどころじゃないと先を急ぎたがるネルスに、サンドラは結局同行することに。ここで女狙撃手が仲間入りである。

 ニックから金のありかを聞き出そうとする横取り屋、レヴァーサ刑事をはじめとする警察、そしてパーカー一味三人。果たして真っ先に金のありかにたどり着くのはだれか? 生き残るのはだれか? 最後に勝つのはだれか? スピードがすべての三つ巴対決! 万が一、三者が鉢合わせした場合に備え、付近住民はやっぱり避難しましょう。

 

……というのが、私の客観的分析とは名ばかりの、希望的展開である。……でも、普通に数ヶ月か数年後、ほとぼりが冷めたから金を取りにいく…というだけだったり。あるいはブリッグス再供給の武器を手に、ハンディやらグロフィールドやらエドやらトム・ハーリーやら(!)がみんな集まってきて、大集中砲撃を仕掛け、諸々木端微塵…とか。

 

 

2008/03/04

 事態は最悪の展開へ…………!!??

 

 ウエストレイク氏のHPが久々に更新された。ドートマンダーシリーズの最新作を執筆中らしい。タイトルは『GET REAL』 ドートマンダー一味が、リアリティー・ショーに関わるらしいのだが……。来年あたりには読めるんじゃないかと期待している!

 

 そしてそして、残すところあと1ヶ月半となった、パーカーシリーズ最終作の発売……。

 ウエストレイク氏のコメントと、ファースト・チャプターが公開された。はじめは三部作にするつもりはなかったらしいが、『Nobody Runs Forever』で書き足りなかったことがあると思い直した、らしい。今回の『Dirty Money』で一連のマサチューセッツの事件はきっぱり完結と宣言している。その気になるファースト・チャプターの中身は――、

 

 あぁぁああああっっ、なんてことにーーー!!!

 

 パーカーは久々にクレアと再会する。本当に久しぶりだ、クレア。そこで彼女から衝撃のニュースが!

「ニックが逃げたのよ」

 うわーーーっ!!と、このときは思わず手を叩いて喜んだのだが……恐れてはいたが、考えたくはなかった事態が――。

 ニックの逃亡。しかもクレアによると、地元警察とFBIの縄張り争いかなにかで、まだ取り調べが行われていなかったらしい。つまり当局はまだ金のありかを知らない…! そしてニックは、警官を殺して逃げた、と――。

 うわあああ、やった? やっちまったのか、ニック!? そんな……、

 これを聞いたパーカー、「俺たちはまだ相棒だろうか?」そして、首を振る。警官を殺した時点で、もうアナザー・ゾーンに入ってしまったと。

 そして今後を話し合うためにネルスに連絡を取ろうとする。そこでファースト・チャプターが終わる。

 これは、つまり、どういうことになるかって、まさか――

 

 パーカーVSニック!!??

 

 ダーティー・マネーをめぐって、かつての仲間同士で血みどろの争い!? いや、待て。ちょっと待ってくれ。警官を殺すことの意味がわからないニックだろうか? いや、それ以前に、パーカーを敵にまわすことの意味がわからないニックだろうか? なんたって彼はあの『殺戮の月』参加者である。パーカーの金を奪ったらどんな事態になるか、その目で見て知っているはずだ。

 あるいは、パーカーと敵対関係ではなく、協力路線を持ちかけてくるかもしれない。だが警官を殺した危険な状態の彼と、パーカーが再び組むだろうか…?

 殺したこと自体、信じたくない心境だ……。

 いやあああああっ! ニックうううううううっっ!!!

 

 ……『Dirty Money』で、ニックの生存率はどれくらいだろうか?

 パーカーと両方生き延びて、綺麗に終わる、なんてことがあるだろうか。あぁぁ、恐ろしい、悲しい…。

 敵対するなら、ニックは分が悪すぎる。敵対悪党生存率ほぼゼロ%のパーカーに、ネルスとサンドラさんの登場も確実そうだ。ただしサンドラさんはまだ敵になるか味方になるか不明。こちらも気になる動きをみせそうである。というかネルスが心配になってきた。何事もなきゃいいが…(※当時の自分のお人好しぶりよ…)

 パーカーは二作も仕事を共にした元相棒を殺すのか? 金を隠した三人の強盗の運命は!?

 恐ろしい、悲しい、と言いながらも、やっぱり楽しみにしている。

 

 

 

◆◆◆◆◆

 

この日記が、私の両シリーズ覚え書きの最後のページでした。

同年、ウエストレイク=スターク氏の訃報を受けました。

『Dirty Money』と『GET REAL』入手し、目を通し、読んだ気になりました。

私はペンを置き、ノートを閉じました。

 

 

 

そして11年後、2019年4月

 

 

 

あのバズーカ運転手絶対許さん!!!!!

 

 

 

あはははははははは……(汗か涙か)

 

(※過去記事「11年目の真実」)

 

……復活したわたくしめが、なにを書き殴っているかは、これまでと、そしてこれからを、お許しいただけるならば、ご覧くださいませ……。

 

……まあ、その、つまりは、およそ四年の熟成期間(2004-2008)を経ると「ダリーシア氏が出てた」、「いやあああああっ! ニックうううううううっっ!!!」になる、という壮大な悲劇の記録。

 

……というだけではなく、上記の経緯があってこその、妄想集『哀歌』となりました。よろしければ、どっかのバズーカ運転手とわたくしめの因縁の結末(!?)を、ぜひご覧あれ! 近日にアップします。(長いあとがきのほうは、ブログにも載せるかもしれません)

 

 

いや、このうえもなく幸せな読者ですわ、私は。

 

 

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当方の駄文――ファンフィクションはこちら。
ドートマンダー・シリーズ:
『エメラルド始末記』『ファースト・ネーム』『ココナッツと蜘蛛』『エキストラとスタントマン』
悪党パーカー・シリーズ:
『哀歌』『最終作Dirty Moneyについての考察』『アフターワールド』『ラスト・デイズ』『ダーティー・ゴールド』『ライン』
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