A.Banana.S

古代ローマ、NACSさん、ドートマンダー・・・好きなことをぽつぽつと。

思いがけない2月。

連ドラ主演連ドラ主演連ドラ主演しかもTBS日曜夜TBS日曜夜TBS日曜夜……。

平日はなつぞらなつぞらなつぞらなつぞらなつぞら……。

 

ジャンボリーがなくとも、今年の夏は大変な盛り上がりが待っておりますな。どうしよう……!

 

◆◆◆

 

さて、このごろは古い書き殴り記事を中心に、どこに需要があるかもわからずに投稿しておりました。

おつき合いくださった読者様、ありがとうございます! 反応までいただけて喜んでおります。

このごろ仕事終わりになにかしないではいられない気持ちだったのですが、だいぶ気が済みました。

 

まだ終わっていないですが、本当に楽しい2月でした。

 

書き溜めていたノートを見返してつくづく思うのですが、昔の自分のほうがいつもエラいな、と。なんなら文章もずっとマシだ、と。

自分が最悪だと思っていた頃の自分が、実は案外よくやっていたとは、少なくとも私に関してはぽつぽつ見られることでした。もちろん、ずっと後になってから気づくのですけど。

 

たとえば中学時代、初めて1年近くがっつり不登校をしまして、どこにいても針のむしろのような気持ちでおりました。これから何度も経験する挫折の最初の段階だったというだけなんですが、あの当時はとことん嫌いでした。自分も周りも。

 

でも思い返せば、あの当時でも漢字や英単語の練習は欠かさずやっていました。基本的に言葉を学ぶのが好きだったんでしょう。ミステリーから海外のマイナーものまで好きなように本を読んでいました。つたない創作もしていました。

 

半ば復帰した中2か中3時代、授業かなにかでアーサー王物語(トマス・マロリー著)をプレゼンした覚えがあります。……だれがわかるんや。

 

ともあれ、あの当時漢字や英単語を自習していなければ、今こういった趣味を楽しむこともなく、もっと言えば今の仕事ももらえていなかったわけです。

 

よくさぼらなかったな、おい……。

 

いや、さぼるとかではなく、自分にとって単にそういう作業がたまたま苦痛でなかったというだけだったんですがね。苦痛だったらやりません。そもそもできません。全力で逃げます。

 

先日、この年になって父親に言われましたが、好きなことだけは集中してできる人間、と。

 

私より好きなことを徹底して極める方々はたくさんいらっしゃるわけですが、父にしてみれば私のような型は「変わっている」のでしょう。

 

すまないですねぇ、こんな娘で……(苦笑)

 

まあ、ともかくともかく、

 

書き溜めたノートの途中、私はこの大好きな両シリーズも一切読めなくなるほど心身を壊したことがありました。『The Road To Ruin』を読んでいた途中あたりから、一年ほど空白期間があります。英文はもちろん、日本語の文章も読めず、映画もアニメも、いかなるエンタメも無理というどん底でした。

 

今は、しんどすぎてもはや覚えていないということにしておりますが。

 

しかしまあ、治ればまた何事もなかったかのように、好き放題書いておるわおるわ……。どっからそんなパワーがわいてきたのやら……。(※治るんですよ! ここ重要!)

 

書いておいてよかったと思います。今ならまず書けませんわ。

 

ぎりぎり表に出せそうなものをアップしましたが(本当にそうか…?)、自己満足の文ばかりでした。それでもおかげさまで、部屋の引き出しや頭の中にしまい込んでおくよりはずっとマシだったと思っております。

 

いい年してなにやってるんだろうと、これでもたびたび思います。まあ、でもしょうがないか。いい年になるまでやってきたことなんだから。

 

ずっと空想の中で生き続ける人生なのですかねぇ…。

 

まだ諸々あることはあるのですが、今後は通常モードに戻していきます。

 

そしてちょっと、書いてみますわ。

 

 

十年後くらいの自分は、この頃の自分をどう思うのか。

 

案外よくやっていたと思うんだろうか。それとも、いい加減あのときしっかりしておけば今はもっとマシな人生を送っていたはずなのに、とか後悔するんだろうか……。

 

しかし「しっかりしておけば」とはなんだろう……?

 

よくやらない後悔よりやって後悔と言いますが、

 

なにをやるかがきっと大事なんでしょうね。それを誤ると結局「やらない後悔」になってしまう。

 

今までよく二番目か三番目くらいにやりたいこと、ないし、やるべきことをやって、自分でも気づかないうちに一番やりたいことは後まわしにしているということがありました。

 

一面では恐ろしいものです。やりたいことをやるというのは。腰が重くなる。一切動けなくなることもままある。

 

けれども、私にだってもうそんなに時間はないはず。

 

本当にやりたいことはやっておこう。やりたいことがあるだけ幸せなんだから。やる時間がいくらかでもあるなんて、さらに幸せなんだから。

 

お付き合い、感謝。

 

アラン・グロフィールドの魅力。

エンターテインメント性という観点で見れば、パーカーとグロフィールドは間違いなく最高のコンビでしょう。世の中に名コンビやバディものの名作は多々ありますが、この二人ならそれらに比肩しうる。その魅力が確かにある。

 

片や冷酷非情のタフな犯罪者。

片や陽気でアドリブ力抜群の俳優強盗。

 

アクション性高し。

展開の不確実性と意外性高し。

やり取り面白し。

 

はじめから終わりまで読者を楽しませてくれること請け合いの二人。

 

ただ、問題が2点。

 

その1、二人とも悪党であること。……それを言ってはおしまいなんだけれども。

戦闘力は二人とも高く、だからというわけではないだろうが、人殺しも躊躇わない。パーカーはともかくとしても(おい)、グロフィールドの思いきりの良さには時々びっくりさせられる。

 

その2、キャラクター性が強すぎる。

 パーカーというより、むしろグロフィールドのキャラが強力で、下手をするとパーカーを「ずっこけワールド」に引き込みかねない。その兆候はすでに⑤『襲撃』からあり、どう見てもボケツッコミコンビにしか見えないという危険性。

 もしもパーカーがそれでも良いとしたなら、パーカーシリーズはまったく別の様相を呈していたのではないかと思う。

 ハードボイルドの世界は厳しい。ちょっと女性に入れ込んだだけで、「いつからそんなにヤワになった」「そんなの〇〇じゃない」と、ファンに非難されることが少なくない。男同士だって馴れ合い厳禁。主人公と仲良さげな人物が退場すると「足手まといがいなくなって良かったね」と言われる世界だから。

 ハードボイルド路線を捨てたなら、もしかしたらパーカーとグロフィールドのコンビは人気バディもののシリーズとして、じゃんじゃんドラマ化、映画化されていた未来もあったかもしれない。それくらい好対照で好相性。

 しかし冷酷なるプロフェッショナル・パーカーを変えるわけにはいかない。そこでグロフィールドは「独立」することになる。まさかの「俳優強盗」シリーズで、そのチャーミングな立ち回り……ずっこけぶりをだれにも遠慮することなく発揮できる場を得る。

 ところが彼はそれだけでは済まない。ドートマンダーシリーズという平行世界にまで姿を現す。ずっこけでなんぼの世界だから……。

 まったくグロちゃん、本当に強い……。

 

 

 こんなキャラいます? ハンサムでセクシーで器用でアドリブ力あって、強いけどもだいぶドジの救われ体質で、読者に「…この人一人で大丈夫ですかね?」と思わせつつも、最終的には「グロちゃん、カッコイイ!!」としびれさせてくれる、とんでもなくチャーミングな俳優兼強盗。

 

 

 話を戻しますが、パーカーとグロフィールド、どちらの魅力もどっぷり堪能できるのは、なんといっても⑧『カジノ島壊滅作戦』だと思います。必見でございます。

……私はこれ、いちばん読むのに苦労したけれど。結局一回しか読めていないけれど。

それでも至高の思い出として胸に輝いています。

 

 当時はそう、とある都立図書館に乗り込んでその場で読破するしかありませんでした。我がパーカー&グロフィールド両シリーズ読書体験も終盤に差しかかっていたので、そうなるとだいたい各巻末解説等で、だれがなにをして結果どうなったか、というおおまかな流れは知っていました。いわゆるネタバレ済み状態でした。

 

 それでもものすごく面白かったとしか言えない。やはりシリーズ屈指の作品だと思います。

 

 三分の一ほどが、グロフィールド視点で語られます。

 

 以下、ざっくりの内容。

 

 パーカーは以前、アウトフィットの後釜に座るのを助ける取引をした人物から、孤島で好き放題にカジノを経営している男から金を奪い、島ごと焼き払ってほしいという仕事をもちかけられる。パーカーはグロフィールドとサルサ(というなぜか仲間の中でも色男な二人)を呼び、さらにもう一人加えようとする。ところが最初に来た男は、とても仕事を任せられる男ではなかった。丁重に追い返したあと、新たにまともな仲間を入れ、綿密な下見の末に仕事決行。しかし、先に追い返した男が、あろうことか腹いせにカジノのオーナーにパーカーたちの計画をすべてばらしていた……。

 

 この話で登場するサルサ(ソルサ)も、パーカーとの仕事歴長い相棒。「とてもハンサムだがタフ」とパーカーの評価も高く、それはこんな流浪の人生を歩んだら超タフになりますよね、という彼の経歴が③『犯罪組織』で詳しく書かれている。それが初出で、⑤『襲撃』でも活躍。ワイツアーと並ぶ頼もしさ。そのときグロフィールドにひと足早い結婚祝いを渡している。グロフィールドとはなんとなく仲良さげな一方、女性を見れば競い合うように口説きにかかるライバルみたいなところもある。

 二人で代わる代わるパーカーのところへやってきて、「なんの報告だよ」とツッコミたくなるような報告をしてご機嫌(一応とある件の許可を得に来たつもり)。パーカーは認めないだろうけれど、グロフィールドとサルサのことは好きなんだろうなとは思う(ペットを見る目に近いかもしれない…)。後の作品で、パーカーの回想にこのときのサルサが登場し、急いで振り払う場面がある。

 

 パーカーからグロフィールドへの結婚祝いなど、小さい見どころも多々あるけれど、なにより面白いのがこの後。グロフィールドの根性と執念、愚痴も言わないタフさ、そして底知れぬ生命力には感服するばかり。

 

 いいですか、もう喉まで出かかっていますけどね、全部書いてしまいたいですけれどもね、私などにその面白さを書けるわけがないですからね。必見! なんとかして必見!としか申せません。

 

 とりあえず、パーカーの肩に持たれて気絶するグロフィールドという歓喜案件があるので、どの方面の読者もこのコンビのファンになること間違いなし!(おい)(パーカーさん、ほうっておいてあげる。それで自分が動くときは相棒を反対側に立てかけてから出ていくんですよ…)

 

 

 グロフィールドのカムバックがなかったのは無念ではあるけれど、ある意味では、③襲撃→⑧『カジノ島~』→俳優強盗シリーズ→⑯『殺戮の月』で、見たいものはすべて見せていただいたという感はある。

 

……あとは映画化、ドラマ化、アニメ化……とにかくそうした異なる形式のエンターテインメントとして再現されたらどれだけすばらしいだろうと思う。

 

 叶わないかなぁ……。③⑧⑯の三部作で映画、とか。もっと欲を言えば、③⑧→A⑭『殺人遊園地』B『黒い国から来た女』→⑯の五部作で。

 

 最高すぎませんか……?

 

 

 最後に、唐突ながら、「俳優強盗アラン・グロフィールド」シリーズの見どころの一部をば。(ネタバレ注意!)

 

1、窓から美女が入ってくる。

2、ついでに乱暴な男三名も入ってくる。

3、美女を守って大活躍(予定)

4、さっそく美女に――(以下略)

5、「あなたが私を助けてくれるっていう噂が広まっているんだけど」

6、グロちゃん、プロへの駆け出しは運転手から。

7、だからといって馬で疾走!? 白馬のナイトに!?

8、エレン・マリーちゃんは中でも素敵なヒロイン。

9、グロフィールドさんは既婚です。

 

1、金に困ってもいないのに、好奇心から未知のジャングルにのこのこ出かける。

2、銃と猛犬と横柄な中年女性によるお出迎え。

3、俳優強盗、追いはぎに遭う。

4、俳優強盗、身一つでジャングルに置き去りにされる。

5、俳優強盗、名探偵に志願。

6、とりあえずだれかを犯人ということにして隙あらば逃げよう、という名探偵にあるまじき気構え。

7、監禁、捕縛、もう慣れたもの。

8、美女登場で「彼女こそ女王」

9、お人好しにもほどがある。全編に響く一読者の心のつぶやき「この人、一人で本当に大丈夫? パーカー、早く助けに来て!」

 

1、裸で美女とご対面。からのまさかの無視で一人就寝。

2、麻酔を打たれて誘拐される。

3、そうして身動き取れないまわりで銃撃戦勃発。

4、「キスしたいくらいだ! なんでも聞いてくれ!」と、ゾルン博士級の表現。

5、部屋に帰ったら死体の先客。案の上濡れ衣を着せられ。

6、後ろに美女を乗せて、スノーモービルで疾走(めちゃくちゃカッコイイ!)。

7、自称「ハンサムな俳優演じる白人男性と、美しいドラマティックな黒人美女」

8、ケネディ空港にあるレストラン「ゴールデンドア」

9、グエネロ?……グエネラ?という、ドートマンダーシリーズでも何度か見かけたことがある気がしないでもない国。両シリーズ、最終決戦の舞台はここですね!(なんの話だ)

 

 

 4作目だけはネタにしにくいのですが、グロフィールドの優しさや、真の意味でのかっこ良さ、人柄の良さ、輝きが垣間見える作品。愛妻一筋べた惚れ(ただし出張中は言わずもがな)、自宅でもある劇場で、絵の具で体を汚しながらせっせと舞台づくりに励む彼の私生活が書かれています。

 

 

 何度でも言いますが、こんなにチャーミングな男はいませんって。

 

 

追記:『カジノ島壊滅作戦』原著……のはず。とりあえず自分がポチってしまった……。ペーパーバック版で。

……えっ、オーディオブックもあるんですか!?(財布壊滅の予感)

 

The Handle: A Parker Novel (Parker Novels Book 8) (English Edition)

The Handle: A Parker Novel (Parker Novels Book 8) (English Edition)

 

 

ラストホープと。

(※『Get Real』の記事、十一度観したら、誤りに気づいたので修正しました。やはり素人がやるものではない。今後は控えます。陳謝。)

 

◆◆◆

 

浅暮三文氏の著書『ラストホープ

 

クライム・コメディー。

 

主人公、東堂満男。

 

もう、無理ですよね! 良い意味で!

 

相棒、刈部。

 

浅暮先生がおっしゃっているのでそういうことなのですが、ドートマンダーシリーズに影響された小説というか……もう、完全に寄せてきている作品。

 

東堂満男。長身で筋肉質の引き締まった体つき。野球ならピッチャータイプ。まだドートマンダーほど疲れ果てた外見にはなっていない様子だけれど、やはり似ている。そして頭のきれる計画者タイプで、職人気質のかたまりという。

 

となると、東堂の相棒刈部も、ケルプに見えてくる。口調は初期のケルプにまさにそっくりで、乗り気でない相棒を厄介事に引きずり込む手口も、かの人が取り憑いているかのよう。

ただ、刈部の外見だけが、ケルプに寄っていない。小太りで、頭頂のはげた、達磨のような男、とされている。

昔は、どうしてここを寄せないんだろう。そのほうがもっとファンが飛びつくのでは(余計なお世話)と思ったものですが、

今になって、わかりました。自分自身が、ど素人のくせに分不相応な夢を自覚してはじめてわかりました。

やっぱり、あえて、ヴィジュアルを寄せなかったのだ、と。

ここを寄せたり似せたりしたら、それこそ二次創作になってしまう。

浅暮先生が、そうするはずがない。プロフェッショナルです。だからやろうと思えばできたことを、あえてやらなかった。

主人公のヴィジュアル以上に相棒のヴィジュアルが、重要な一線を引いていたのですね。

 

……いや、はい、確かに、考えてみれば、そこを寄せられていたら、良い意味でも悪い意味でも、読んでいてヤバかったかもしれない。とてもではないが、平常心でいられなかったと思う……。

 

そうするとストーリーそのものも、似せてはおられますが、新鮮かつ怒涛の展開が用意されていて、とても楽しめます。

 

東堂と刈部、そしてもう一人の相棒の李は宝石強盗で服役したことがある。現在「ラストホープ」という釣具屋で生計をたてるのは、日本が不況で、宝石を盗んでも故買屋がいないからだとか……。

 

阿二雄留光さん、出番です!(※そんなキャラは出ません)

 

すべては一枚のファックスからはじまった…。このファックスと付属の留守電がまた、ね…。機械が苦手な東堂と、かまわず得意げに活用する刈部なんて、既視感しかないですからね。

 

こうなるとあれにもこれにも過剰に刺激される。知っている人間が読むと、それだけでもう色々ヤバい……(こんな表現で恐縮)。ちょっとした単語だけでも、にやけずにはいられないもののオンパレード。「車泥棒」「僧衣」「墓」(考えすぎか…?)「百科事典の訪問販売」「臭う魚」「孤児院」……。

深くため息をつく東堂。片方の眉を上げる刈部(これ、中・後期に見かけるケルプの表情。日本人に可能なんだろうか…)。……気にしすぎなんだろうか。

 

読んでいると、ヴィジュアルが寄っていないことを忘れてしまいそうになるけれど、刈部さんは、ケルプ氏が一度もやらかしたことのない、ある種のドジをやる(それも二作連続…)。

 

裏稼業では、東堂が計画、刈部が鍵、李が運転という役割だったとのこと。李は、針金のように痩せた(…)学者ふうの男で、中華料理店の店長。女好きで、ウエイトレス・ハーレムづくりのために、昼夜ろくに眠らず仕事に精を出す、ある意味ではものすごい頑張り屋。車を運転し、東京を頭の中に、ルートを検討する場面がある。(…ケルプとスタンとグリーンウッドを足して三で割ると近くなるか…?)

 

ストーリーですが、大きな山女魚がほしいという怪しげなファックスの依頼を受け、重い腰を上げる東堂。しかし、それからがもう……悲惨。殴られるわ焼かれるわだまされるわ顔中つつかれるわ、身体的苦痛という点で、ドートマンダーを余裕で上回るであろう、ひどい目に。

敵が強すぎ。これに尽きる。ドートマンダーたちでさえ相対したことも想像だにしたこともないだろう、最強の敵が現れる。

それにしても東堂さん、ちょっといい人すぎないか。さすがにここまできたら殴り返してやったっていいんですぜ。

 

ちなみに相棒刈部さんも、負けず劣らずひどい目に遭っている。どっかの疫病神はほとんど全部相棒におっかぶせて難を逃れているのに。そして「誰のせいでもなかったんだ」と心から思っているのに。

 

作中、刈部がある人から「あんたの相棒には悪い運がついているから一緒にいるべきではない」みたいなことを言われる場面がある。

思えばドートマンダーシリーズでは、だれもケルプにドートマンダーとのつき合いを考え直すよう忠告した人物がいない。ドートマンダー本人は何度も考え直しているのに。あえて言えば、ドートマンダー本人が「お前だって俺と一緒にいたくないはずだ」とは言っている(ケルプ氏の耳をあっさり素通り)。

 

頭にきてストレスがたまると、酒をあおり、大声で歌いながら破壊活動をする東堂。バーボンを一気飲み、据わった目で微笑みながら暴れるシーンは、コワイけど必見。

 

主要人物たちもさることがながら、ちょっとした脇役(警備員、店員、夫婦)にもスポットを当てられる。様々な人物の視点から話が展開するのは、ウエストレイク氏も得意とする、楽しい見せ方だ。先に読み進むのが楽しく、なんというか、日本社会に見られる陰湿さというのか、暗さもほとんどない。

欠かせない楽しみが、各チャプターについている釣りのフライの解説。東堂と刈部が代わる代わるやってくれるのがイイ! 釣りに対する東堂の姿勢のおかげで、それまで不肖わたくし、ただ餌をくっつけて座っているだけのスポーツ?ぐらいにしか思っていなかったフィッシングが、すごく奥深く興味の持てるものになった。プロとしてフェアに、鱒との勝負(だまし合い)をして、手厚く扱う東堂がとてもかっこ良い。

 

続編も出版されている。同じくらい面白く、かつ痛々しくないという点では二作目のほうが読みやすいかもしれない。

 

……もう一作、お願いできませんでしょうか……?

 

 

ところでN・Dさん、こちら転生先にどうっすかね?

 

 

ラストホープ (創元推理文庫)

ラストホープ (創元推理文庫)

 

 

 

再びラストホープ (パリの悪党たち) (創元推理文庫)

再びラストホープ (パリの悪党たち) (創元推理文庫)

 

 

 

パーカーシリーズ最終作『Dirty Money』について。

 

※注意:話のすべてではないですが、ネタバレ同然の内容です。くれぐれも閲覧注意願います。

 

 

 

 

十年前、心の中で血の涙を流しながら読んだ覚えが……。

 

しかし今となっては…………しかたなかったか。

 

なによりはっきり察せられたのは、『Nobody Runs Forever』の段階で、すでにスターク氏は、この展開を考えておられたということ。

 

それはそうだろうとおっしゃる方もいるでしょうが、一読者として、ようやく今になって確信しています。それだからこそ、今は受け入れられる。

 

パーカーとおんなじことを考えていたよ、あの人。完全にシンクロしていたよ。

 

だからこそ、あの結末だ。

 

いや、もう、海外サイトで検索すればすぐ出てくるんですが、相手がハンディやグロフィールドやエドやワイツアーやカーロウだったら、パーカーは同じことをしただろうか?と。

 

しただろう、おそらく。

 

しかしそこに至るまでの伏線が、もう『Nobody Runs Forever』から、よく見たらそこかしこに散りばめられているのですよ。

 

彼がなにかしでかしたわけではない。いや、しでかしたんだけど、決してパーカーに対してなにかしでかしたわけではない。彼は目立った短所もなければ、冷静さを欠いたこともなく、仕事の前も最中も一切ドジなんて踏んでいない。有能。申し分なく、有能。

言ってしまえば三人目の相棒や、ほかの並の仲間より、明らかにクールで、問題も起こさない。世話の焼ける度合いはほぼ皆無。物分りも良し。

 

最終話に至るまで、しかと「有能」と書かれている。

 

しかし、上記五人と比べて、少しだけ足りていないものがあった。まったく本人のせいでもパーカーのせいでもない。

 

欠点がなかったこと、クールで有能であり続けたこと、これが裏目に出たとしか見えない。

 

 

これ、同じ状況だとして、グロフィールドならおそらく楽々と切り抜けたと思うんですよね。あの人、なんだかんだでピンチに強い。それに、そもそもあの類のピンチは招きそうにない。俳優だから、度胸があり、アドリブ力抜群。そして身体能力がなにげに高い。いつぞやさんざん救われ体質について書きましたが、強いんですよ、この人。

 

エドなら、おそらく巧みにパーカーに助けに来させる展開に持ち込んだでしょう。自分も助けに行ったことがあるのだから。彼とパーカーのあいだには、少なからぬ歴史がある。お互いをわかっている。どちらかというとあの人よりもぬけているところがあるし、問題を招きそうな要素はあるんだけど、この人が今まで命拾いしてきたのは、完璧でなかったからだと思う。

 

ワイツアーは、警察に捕まるくらいなら大暴れして死ぬと宣言している人です。

 

カーロウは、パーカーの筋の通し方をよく知っている人。帰ってくるかわからない男の家に金を届けてくれるような男だとわかっている人。ほとんど絶対の信頼がある。無茶をしたとは思えない。

 

ハンディは、どうだろう……。だれよりもパーカーのことをわかっているので、最悪の場合、従容として受け入れそう。そんな想像をしてしまうんですが。

 

 

ほんの一週間前まで、まったく申し分なく、完璧そのものだった相棒。

 

彼が変わったわけでもなく、裏切ったわけでもない。

 

プロとして、お互いに完全にわかりあっていた。わかりすぎるくらいに。

 

ただし人間的な面で、もう少しわかりあっていればよかった。パーカーはともかく、もっと「我」を出してよかった。そうしていたら、もしかすると上記5人に近い道があったかもしれない。

 

それを思えば、シリーズ史上かつてなかった展開を、スターク氏が書かんとしたのが、ようやくわかった気持ちになる。

 

 

……いや、おそらくやるとは言っても、さすがのパーカーもためらうだろう。あの際でも、相手がグロフィールドだったら。で、おそらく口八丁で丸め込まれただろう。

 

 

「パーカー……」

 

 

それがな、それが、パーカーと彼との、ほんのわずかだが決定的な違いなんだよ。

 

 

こればかりはもうどうしようもない。相手が悪すぎる……。

 

 

……けれども一人くらい、彼のために怒ってあげてもいいんじゃなかろうか、とは思う。

 

パーカーだって当局の人を手にかけたことがないわけじゃないだろう? むしろがっつりあるだろう? 整形する羽目になったのは、看守を殺して逃亡したからだったでしょう?

カーロウのときは、おそらく例の問題人物を売って司法取引する予測は立っていたのだろうけれど、ちゃんと金を届けてあげただろう? 等々……。

 

あれですか。やっぱり『ターゲット』にて、「生かしておいたのは間違いだった」という教訓を得たためですか。そうですか……。

 

……それとも、自分も逃亡生活の過酷さを知っているから、日頃冷静な人間でもどれだけ精神が荒むかよくわかっているから、この男にはもう耐えられまいとでも判断したのだろうか。

 

……うなるしかない。

 

 

最初はさ、「パーカーだって毎回人殺しをするわけじゃなーい」なんて意味かも、くらいしか考えていなかったんですよ……。

 

 

それにしてもパーカーさぁっ、N・Mには優しすぎでは――(以下自重)

 

 

いずれ、マサチューセッツ三部作は完結したとのことでした。

 

 

今後一ファンにできること。

①次回作を妄想する。

②転生先を妄想する(平行世界が有力?)。

③あれは彼ではない疑惑を提起し、無理矢理希望の余地を探しまくる。

 

 

未練がましい。

 

 

しかし、ファンが必ず「これがもしハンディだったらグロフィールドだったら――」と妄想せずにはいられなくする。こういう形でかつての相棒たちほとんどすべてをカムバックさせ、思いを永遠にする……。

 

そういう意味で、最終作にやはりふさわしいのかもしれません。

 

 

Nobody Runs Forever: A Parker Novel (English Edition)

Nobody Runs Forever: A Parker Novel (English Edition)

 

 

 

Ask the Parrot: A Parker Novel (English Edition)

Ask the Parrot: A Parker Novel (English Edition)

 

 

 

Dirty Money: A Parker Novel (English Edition)

Dirty Money: A Parker Novel (English Edition)

 

 

ドートマンダーシリーズ最終作『Get Real』について。

 

※前々記事のような人間が書いていますので、くれぐれも、諸々あまりアテにしないでください。しかし、すばらしいです……!

 

 

【特報!】ドートマンダー一味、リアリティーショーに出演!? 俳優デビュー!? なんとTVスクリーンに登場!?

 

 

アンディー「アン・マリーに見てほしいんだ」

タイニー「俺もケルプに賛成だ。ジョーシーに見せたい」

ドートマンダー「お前ら、正気か?」

 

メイ「ジョン、私も見たいわ」

 

 

レギュラーメンバー、とくに5人は、ほぼまんべんなく出て、見せ場あり。

 

 

スタン「ちょっと待て。俺を外すだと?」

ジャドソン「スタン、あんたがその男なんだよ」

 

 

【大事件①】アンディー・ケルプ氏、過去最高レベルで有能。

 

 具体的には、『Dirty Money』でパーカーがやったことと同じ逆転をやってのける。もうアーウィンとかミスター・トゥイリー クラスの相手じゃなかったよ……。

 ……この人、本当にパーカーなんじゃないの……? 

 ただし相棒には、ささやかながら、やっぱり悪意なく、色々お見舞いする。

 しかしその相棒も称賛するしかなかった、さらなる腕の見せ所が――。

 

『今、彼らみんながケルプに委ねた』

 

 十度見はしました。

 …………マジですか。

 だれだよ、この人を「拳銃恐怖症」とか「ビビりやすい性質」とか言ったの……(主にドートマンダーと、本人)。「役に立たない」なんて言ったの……(主にお前や、多くの愛読者)。

 

 

【大事件②】ジョン・ドートマンダー氏、シリーズ最終回にふさわしい言葉をつぶやく。

 

“jinx”――それは「悪運」「疫病神」「たたり」「呪い」等を表す語。

 

 

たぶん、事件①と事件②は、根本のところでつながっている気がします。

 

奇跡!! 必見!!!(だからお前が言うな。十年見ないでいた人)

 

それでもまだこの一ポンコツ読者は、ちゃんと読めていない部分が多々ありだと思われますが……

今は、はい、これが最終回というなら、「スマイル」で受け入れます。……だから何様だって話ですが。

 

……そのうち鍵などをつけて、どこかで思いっきりネタバレ全開語り記事を書いてみたいなぁ。

 

 

Get Real (The Dortmunder Novels Book 15) (English Edition)

Get Real (The Dortmunder Novels Book 15) (English Edition)

 

 

 

相棒は浮気しない。(語弊注意)

 

ドートマンダーシリーズ11作目『The Road To Ruin』の冒頭で、ケルプがドートマンダー=メイ家を訪問します。「プライバシーを尊重して」ピッキングなしで。

 

ドートマンダー:(よく言うよ)

 

D「それで、どうしたんだ?」

K「いや、たいしたことじゃないんだけどね。このごろ俺たち、話していなかったと思ってさ。新しい収穫もなしなんだろ」

D「ないよ」

(中略)

K「お前がしばらく電話してこなかったってことは、ちょっとした仕事も考えていなかったんだな」

D「たぶんな」

K「つまり、もしお前がちょっとした仕事を思いついていたら、俺に電話していたはずだ」

D「一人でやるのでなければ」

K(興味深そうに)「なにか一人でやったのか?」

D「実のところ……やってないよ」

(リビングに入ってくる、メイ)

メイ「アンディー、今日はどうしたの?」

D「俺がこいつ抜きで仕事をしていたかどうか知りたがっているんだ。たぶん、ほかの連中とな」

K「いいや、お前はそんなこと絶対にしないよ、ジョン」

 

 この自信はどこから来るんですかね!!

 

つまりこの方は、ドートマンダーは自分から絶対に浮気をしないと言っておるわけですよ!(語弊) 

自分が第一の相棒であることを疑ってもいないわけですよ!

……もしくは、ちょっと心配になったから様子を見に来たんですよ。浮気調査ですよ!(だから語弊)

 

しかしドートマンダーはケルプとだけしか仕事をしないわけではもちろんありません。以下、思いつくかぎりのドートマンダー浮気記録(だから語弊だってば)。

 

1作目から4作目までは、ドートマンダー出所、散々な仕事の連続、絶交からの仲直りという過程だから省くとして……。

 

ん??

 

それを言うならケルプさんが浮気してないですか!?

 

アラン・グリーンウッドさんとイカサマ賭博で小金を稼いでいることを、本人が白状しておりますが。一方、ドートマンダーさんはそのころ独り汗水垂らして百科事典詐欺ですよ。

 

それなのにケルプさんは、読むところどうも頻繁にドートマンダーさんに電話して、今日の百科事典詐欺はどこでやる予定か、聞き出している様子ですよ。ちゃんと相棒の行動を把握しておりますよ。それで、必要とあらばすぐ拾いにいく態勢万端でいらっしゃいますよ。

 

ドートマンダーも教えなければいいのに。でもそうなったらケルプさんは、ドートマンダーの同居人メイさんから聞き出しますよ。ドートマンダー、メイを悪く言うことなんてまずもってないのに、このときばかりは「おしゃべり女が!」なんて毒ついていましたよ。

 

自分は浮気しておきながら、相棒の行き先はしっかり把握するケルプ氏。のみならず、空き巣先まで先回りしておくケルプ氏。

 

だれですかね、4作目でドートマンダーの「そんな人ははじめからいませんでした」作戦を台無しにしたのは。翌日にはケルプさん、さっそく怒鳴り込んできたじゃないですか。

 

予想:

チェフウィック:(←事情をほとんど知らない人)

「やあ、アンディー。昨夜ドートマンダーとスタンと私と、あとタイニー(ちっぽけな)とかいうとんでもない大男と四人で、O・Jでミーティングをしたんだが、お前さんは具合でも悪かったのか? 久しぶりに会いたかったのに、残念だよ」

 

スタン・マーチ:(←すべてをその目で見てきた人)

「やあ、ケルプ。昨夜、ドートマンダーと俺と、あとタイニー・バルチャーという大男で、O・Jでミーティングしたんだがね。そのう……、お前も聞いていたよな?」

 

いずれケルプさんの秘密の情報網が動いたのでしょう。12時間以内にすべてを把握して、自宅強襲と相成りました。

 

それはともかく、ともかく、

 

ドートマンダーがケルプではないほかの相棒と二人で仕事をするのは、⑥『天から降ってきた泥棒』がおそらく最初(無論、あくまで作中)。

 

ドートマンダー&ジム・オハラのコンビ

 

しかしこのときのジムは、かのケルプ氏その人の代役であり、どうもケルプ本人が手配したことがまもなく明らかに。

 

これは、たぶんケルプ氏に言わせれば、浮気(語弊)……もとい裏切り(もっと語弊)……ではないのだろう。

 

 

ドートマンダー浮気事件その2は『最高の悪運』

 

ドートマンダー&ガス・ブロックのコンビ

 

これはドートマンダーではなく、ガスのほうからドートマンダーに誘いの電話を入れた結果の仕事。

ケルプ氏に言わせれば、ドートマンダー側から誘ったのでなければ、相棒的な意味での浮気ではないのでしょう。

ドートマンダー側から、ケルプをすっとばして別のだれかに仕事の電話をしたなら、そのときこそアウトなのでしょう。

 

確かにドートマンダーは、小さな仕事を思いついた時は、一人でやるのでなければ、まずケルプに電話しています。で、ケルプが留守だったか、なんらかの「ドジ」で電話に出られなかった時のみ、プランBを取ります。ケルプをすっとばしたことは「そんな人ははじめからいませんでした事件」以外、ない。なんと貞淑な……いや義理堅い人か。

 

しかしこの後ケルプ氏は、ガス・ブロックとの仕事のあった翌朝には、早くもドートマンダー宅を訪問しています。どうも玄関を開けたのはドートマンダーの起床より早く、すでにメイからおおよその事も聞いていた様子。

 

この後しばらくしてからですが、ケルプはアン・マリーを連れて、ガス・ブロックとその恋人と一緒に食事をしたことが明らかになります。ケルプの口から指輪奪還作戦のことを聞いたガスは、勇んでドートマンダーに、自分もラスヴェガス旅行に加えるよう電話することになります。「おしゃべりというのを、アンディー・ケルプのあだ名にすべきだな」とこぼすドートマンダー。

 

しかし彼の相棒の真の目的は、次作でアン・マリーが単発ヒロインに「私の彼を誘惑しないでね」と暗に伝えたのとほとんど同じだった……かもしれない。

 

 

ドートマンダー3度目の浮気は、短編『芸術的な窃盗』

 

ドートマンダーのお相手は、またもジム・オハラ。

 

ドートマンダーが誘ったのではなく、偶然の成り行き。否、明かな「前科者」であるドートマンダーとジムだからこその仕事だった、必然の成り行きか。

 

この短編では、ケルプは一瞬たりとも登場していない。存在を漂わせてもいない。

 

……ついにばれなかったか!? 解放されたのか、ドートマンダー!?

 

時系列的に次:

ケルプ「ジョン、千ドルで墓掘りの仕事があるんだけど」(にっこり)

 

 

ドートマンダーの浮気その④

 

お相手、アーニー・オルブライト(短編込みで、複数回)

 

ケルプさんの基本姿勢:

「どうぞどうぞ。俺にかまわず、遠慮なくアーニーのところへ行ってくれ。アーニーはお前の友だちじゃないか。なんなら俺の分まで、あいつのところに行ってきてくれていいんだぜ?」

 

 

ここまでドートマンダー側からの様子を見てきましたが、ではケルプ氏のほうはどうなのか?

……確かにグリーンウッド以外、作中でケルプと二人で独立した仕事をした人はいませんな。ケルプの単独空き巣はよく見かけらますが、ドートマンダー以外と仕事をしている姿は映っていません。

 

相棒にあれだけ自信満々な言葉を言えるということは、すなわちケルプの側も、仕事をするならばドートマンダーが第一候補ということで、ゆらがないということになる。……それでいいんですよね、ケルプさん!? どこにでもお友達がいるから、その気になれば相棒には困らないだろうケルプさん!?

 

 

……まあ、つまり、なにを言いたいかといいますと、ケルプのドートマンダーの相棒という地位における盤石な自信。

 

そしてその後の13作目で、とうとう「お前が俺に電話してきたのは、俺に助けてほしかったからなんだな。それで、いつ俺に助けを求めてくれるんだ?」なんてのたまう。(走馬灯のように巡るこれまでの歴史……)

 

増長はなはだしいように見えるけれども、こういうことが言える相棒関係は貴重だな、と。

 

素直に「助けてほしい」なんて言えませんよ。なかなか。

 

ケルプはドートマンダーが言うまで待ちますからね。

 

まあ、もちろん、彼らが慈悲の女神メイの多大な協力があっての今の二人なんだけれども。

 

当然のように、これは逆もしかりなのでしょうね。

 

これよりずっと前の、ケルプさんの名言に「おれたちは一緒だろ」があります。

感動するドートマンダーに、

「どうしてだ? お前ならおれにも同じことをしてくれるよな?」

ドートマンダー、目をしばたたく。

 

……ケルプさん、まずここの答えを相棒から聞き出したほうがいいんじゃないですかね。

 

もしくは、12作目の「いつか、また俺たちがバーにいるときに」とO・Jでおごったビールを、お返ししてもらっていいんじゃないですかね?

 

両思いなんだか片思いなんだかわからないコンビの話を、今日もお送りしました。

 

 

 

The Road to Ruin (The Dortmunder Novels Book 11) (English Edition)

The Road to Ruin (The Dortmunder Novels Book 11) (English Edition)

 

 

 

『Dirty Money』 と『Get Real』について。まずは……

 

※私信:メールありがとうございます! 非常識な時間に通知をつけてしまいそうですので、明日の日中に返信させてください。m(_ _)m

 

◆◆◆

 

さて、

 

全力謝罪案件でございます。

 

不肖わたくしはドートマンダーシリーズとパーカーシリーズ、どちらも、未翻訳作含めてすべて読破したなどとどこかで豪語しておりました。

が、ここ数日でその認識はまったくの誤りだったことに気づきました。

 

お前は、どちらのシリーズも、最終作を読んだとは言えない状態だった!

 

ほとんど発売日とともに手に入れたくせに、中身をほとんど見ていなかった。

 

……いや、そんなはずないのです。目を通しました。大筋をつかんでいました。つかんだつもりでした。

 

大筋すらとらえられていなかったことが、この数日でわかりました。

 

気づくのに、十年かかりました……。

 

なんでこのようなことが起こったのか。

 

恥ずかしながら、いくらでも言い訳はできます。

 

英語力。読解力不足。ほかに諸々やることがあった。愛着が落ち着いた…。

 

しかしおそらくいちばん大きかった要因は、

 

これで最後だなどと認めたくなかった。受け入れられなかった。この先がもうないだなんて思いたくなかった。お別れなんて嫌だった。

 

もっとあんな話こんな展開が見たかった。そんな想像も越えていく世界をこれからも読み続けたかった。

 

これを読んだら終わりだなんて考えたくなかった。

 

だから、適当にページをめくって、あとは本棚に放置していたのだと思います。

 

それでも当時、訃報を知ったときは、受け入れたつもりでおりました。いつかこの日が来ることは避けられなかったはずだ、と。物分りの良い子ぶってかなにしてか。

 

現実を受け入れるのに、十年かかりました。

 

なにより突然のことだったので、氏もこれで最後にするつもりはなかったと、この傲慢な一ファンは考えていたのです。だから、作者が最終作にするつもりがなかった最終作を、ちゃんと読むことができなかった。

 

今、十年ぶりに、最終作の完成度の高さに戦慄しております。どちらのシリーズも。

 

あの当時も、まったく読んでいなかったわけではありません。いくつかは、思い出しました。こんなことやあんなことがあったのに、忘れていました。

 

お前は最も敬愛する作家の最後のメッセージを、十年間、目を閉じてなにも読んでいなかったのか、と愕然とする思いです。

 

そして今、十年ぶりの大興奮に胸を躍らせています。

 

また会えたね、皆さん。

 

ご覧のとおり、こっちは相変わらずです。

 

So You Come Back! Gents!

 

 

次の記事からちょっと書いていきますね。