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A.Banana.S

古代ローマ、ナックス兄さん、ドートマンダー・・・好きなことをぽつぽつと。

2014/08/22 ナポリ 「考古学博物館へ」

 

ま、まずは星をありがとうございます!! ほぼ独り言のつもりで書いていたので、恥ずかしいやらもったいないやらです。

つい先日、信号待ちしていたら、私があまりにぐったりとうなだれていたからか、周りの方が「大丈夫か」「救急車」と声をかけてくださる事態になり、非常に申し訳なかった(いや、実際体調も微妙ではあったんですが)。いいかげん元気を出します!

 

さて、また気ままな旅の思い出話に戻ります。

ローマとその周辺の観光を終え、いざ次はナポリへ向かうことに。列車のチケットは旅行会社が取ってくださっていたので問題なかったのですが、ここにきて一人旅のハードルは上がりました。なにしろローマのテルミニ駅のように、深夜まで営業しているスーパーマーケットやセルフサービスレストランがない。少なくともガイドブックを見る限り、ナポリ中央駅前のガリバルディ広場一帯には見当たらない。

私の滞在するホテルは、その広場から徒歩数分だったので、交通アクセス面は抜群だったのですが、このナポリはローマほど対人恐怖症傾向の旅行者に優しくありません。

加えて、やはり治安面の心配があります。ガイドブックにある怖い体験談が次々思い出されます。実際、この旅の後半の同行者であるイタリア語講座の仲間も、少し前にナポリを旅行していたのですが、スリにねらわれて危ないところだったと教えてくれました。こうなればいやがうえにもこちらの緊張感は高まります。

スーパーは、ナポリ滞在の後半、ガリバルディ広場の近くで一軒見つけましたが、テルミニ駅のスーパーほどの品ぞろえはなかったです。とくに新鮮なお惣菜などは少ない。したがってがんばってレストランに入らなければなりません。

果たして。

 

ナポリ到着は午後1時頃でした。さすが8月のナポリ駅前は、ローマに負けず劣らず人がたくさんいました。なにかこちらへ「ニーハオ! コンニチハ!」と声をかけてくる人も・・・。私は鞄を脇にしっかと抱え、たぶん強張った顔つきをして、まずホテルに向かいました。まだチェックインできる時間ではないのですが、ホテルは荷物を預かるサービスをしてくれると、この旅の準備段階で初めて知りました。問題は、それをイタリア語ないし英語でちゃんとお願いできるかです。

 このホテルもまた旅行会社に選んでいただいたのですが、滞在中びっくりしたのは、まずスタッフが見る限り全員美女! 金髪や黒髪の若いお姉さんたちばかりだったのです。よくもまあというくらい徹底しているように見えました。

私が最初に出会ったお姉さんは、笑顔で迎えてくださり、こちらのイタリア語がつたないとわかると、すぐに英語で、ゆっくりとくり返し話してくださいました。私はチェックインまで荷物をフロントで預かってもらうことをなんとかお願いし、あっさり了解されたことにほっとし、身軽になってひとまずホテルをあとにしました。

 

目指すは「ナポリ考古学博物館」です。

こちらは前回の旅で、なんで行かなかったんだぁ~!と猛烈に後悔した場所の筆頭でした。前回はカプリ島に宿泊したので、ナポリは歩いて横切っただけで終わってしまったのです。重いスーツケースを引きずってガリバルディ広場からフェリー乗り場までよく歩いたもんだと今になって驚いていますが(若くてものを知らないってすばらしいな)。

この考古学博物館は古代ローマファン、とくにユリウス=クラウディウス朝やフラウヴィウス朝ファンにははずせない場所でしょう。

ただそこへ行くにあたってはもはや若くない私は、いくらスーツケースを預けて身軽になろうとも、ガリバルディ広場から徒歩で行くにはきついと判断せざるをえませんでした。そこで利用したのが地下鉄です。1線と2線があり、どちらもガリバルディ広場から駅へ入ることができます。実は2線で行けばなにも面倒は起こらなかったのでしょうが、私はこのときホテルから歩いてたまたま先に目についた1線に乗りました。2線は博物館の前へは行かず、一つ手前の駅で下車しなければなりませんが、1線は博物館の前まで行くことになっていました。

ところがです。ちゃんとガイドブックには載っていました。「ダンテ広場」駅まで行ったら乗り換えをしなければならない、と。そうしないとまたガリバルディ広場ま戻ってきてしまうと。

私はそれを読み知っていました。読み知っていたのに、まさか出発して早々引き返すことはないだろう・・・と都合よく考えてダンテ広場駅に着いてもそのまましれっと乗り続けていました。で、案の定、またガリバルディ駅に戻る羽目に。

二度目は、さすがに乗り換えを試みました。ところがわたくしめは、どこでどう乗り換えたらいいかがさっぱりわかりませんでした。思ったのですが、駅構内の表示がおかしかったのではないかと。「ガリバルディ行き」と書いてある乗り場の列車がなぜかダンテ広場に向かい、「博物館行き(だったか確かではないですが、とにかくガリバルディ広場とは逆方向の場所)」と書いてある乗り場の列車がなぜかガリバルディ広場に行っていたように思います。それで私はすっかり混乱し、結局またもふりだしに戻りました。

 

恐るべし、ナポリ1線の無限ループ!

 

三度目。私以外の乗客の方も一部混乱していた様子で、ダンテ広場まで来たときは、地元の方に降りるよう勧められていました。私も降りたのですが、結局乗り換えの列車は見つけられず・・・。

そこでようやく思い至りました。歩るきゃいいんだと。

よく考えるまでもなかったですが、たかがあと一駅でした。

長い階段を上り、外へ出たら、もうまったく初めて見る景色で、おまけに暑くて、そのうえ無限ループにお見舞いされたあとで、気分はもうへとへとでした。しばらくはまずもってどっちに進めば博物館に着くのかわかりませんでした。

行く手は、坂道だったと記憶しています。私は半ばうんざりしながらとぼとぼと歩き、さすがに疲れたので、途中バールでちょっと休憩することにしました。

 

するとここでまた、思いがけなくありがたい出来事が。店の前に出されていたコルネットに目を留めた私に、お客のおじさんが「このシニョリーナはこれを食べたがっているよ!」とバールの女性に教えてくれ、そのバールの女性は私においしいコーヒーを出してくれたうえ炭酸水をサービスしてくれ、さらにチップを置いて帰り際、通りの向こう側でのんびり新聞を読んでいたおじいさんが私に笑顔で手を振ってくれーーと一軒のバールに立ち寄っただけで、これだけちょっとうれしい体験に恵まれました。ああ、入って良かった、歩いて良かった、旅っていいな、としみじみ思いました。

ちょっと勇気を出すだけでいいんですよね。

 

こうして無限ループで消耗したパワーもだいぶ充填され、私はようやっと考古学博物館にたどり着きました。

受付でだめもとで聞いてみたら、なんとフラッシュさえ焚かなければ写真撮OKとのこと! 私はもうこの時点で狂喜乱舞状態でした。古代ローマ彫刻を写真に収め放題なのですから。

しかし私はこの時点でいったいどのような展示品があるのかよくわかっていませんでした。古代ローマファンとしては、だれのどのような彫刻があるかでまずドキドキワクワクです。

この場ではアップできませんが、たくさん写真を撮ってきました。展示物は主にポンペイやエルコラーノからの出土品です。

クラウディウス帝とその家族の彫刻にまず目を奪われます。彼は神格化されていますので、その彫刻たるや大きくて堂々たるものです。そしてアウグストゥスも、その妻リヴィアも、クラウディウスの母アントニアも。

私は百発百中とまではいきませんが、わりとその彫刻を見ただけで、どの皇帝か見当がつくようになっていました。

それで仰天して思わずたじろいたのは、最初にティベリウス帝の彫刻を見つけたときでしたね。裸体像だったんですよ。

塩野先生の著作から、裸体で彫刻が作られるということはつまり神格化を意味すると知らされていました。だからティベリウスの場合はあるはずないと思ったんですよ。同じくアウグストゥスの裸体像と、対になっているようでした。どうも元は別の彫刻で、あとで首だけ皇帝たちの顔に置き換えたものだったというふうに説明書きで読んだ気がします。

まあ、そうです、いくら本人が頑なに神格化を拒否しようともね、勝手に作ってしまう人もいるのですよね。まして本人の死後ならなおさら。

アウグストゥスの像とセットだったところが個人的にうれしいですね。そしてタキトゥス先生の筆であのように描写されてはいますが、少なくともフラウヴィウス朝時代にはティベリウスの評判は決して悪くはなかったのでしょう。付近住民が勝手に神格化像を作ってしまうほどに。

それが、もう一体あったのですよ。ガイドブックにも載っている高名な『ファルネーゼのヘラクレス』のすぐ横に。最初のものはわりと等身大に近かったのですが、こちらは見上げるほどの大きさで、すごい迫力でした。もう私などはヘラクレスそっちのけですよ。

ただ、こちらは、最初に見たときはティベリウスだとは思いませんでした。説明書きを読んでようやく「マジか!? マジか!?」となったのですが、その説明書きにも「ティベリウス言われる」と100%の断定は避けてあったんですよ。確かにもしもこれが皇帝像だとしたら、いちばん似ているのはティベリウスでしょう。ただ、私のそれほど鋭くない目から見れば、ティベリウス、カリグラ、クラウディウスの三者は同じ一族であるだけに似ているように見えます。 

この像は、大きさからしてやはり皇帝像の可能性が高い。そしてフラウヴィウス一家ではないように見える。アウグストゥスとはちょっと違うし、ネロにも見えない。

やはりクラウディウス一族三者のいずれかか。となるとカリグラは記録抹殺刑を受けているので可能性は低くなります。ではティベリウスクラウディウスか。

この裸体像ですが、甲冑をを脱ぎ捨て、剣帯のみ身に纏い、兜に足を置くという勇ましい姿で作られています。軍装なのですね。

クラウディウスは、甲冑姿の像もあるのですが、軍事のイメージはない皇帝です。軍務のできる身体ではなかったと言われています。

となるとやはりティベリウスの可能性が最も高いということになりましょう。私などはファンとしてこれを眼前にして、しかも写真にまで収められて、うれしいかぎりだったのですが、いずれにせよ、ティベリウス本人が命じて作らせたものではないのでしょう。

ほかにも様々な彫刻を堪能できました。ガイドブックにも載っている「ファルネーゼの雄牛」も間近でじっくり鑑賞できました。以前ウフィッツィ美術館に行ったときはさすがにかなりの混みようでしたが、この考古学博物館はじっくり立ち止まったり座ったりしても問題なく、空いているとい言ってよい状況でした。

それからモザイク画がとにかく写実的で美しい!

ただやっぱり私はファルネーゼたちよりも皇帝たちの像のほうに目がいってしまうわけで。カエサルヴェスパシアヌスの像なんかとくに。それにマルケルス像、こちらの勝手なイメージとほとんど違わないような優しさとはかなさのある面立ちでした。

上記に挙げたもの以外にも、見どころいっぱいでした! 銀細工やカメオや、『テルマエ・ロマエ』で出てきた例のあのお守りもたくさんありました!

休憩場所に飲み物とお菓子の自販機があったので、一日閉じこもっていることも可能です。ガイドブック上の展示品はほぼすべて見られましたが、それでも欲張りな私がちょっと残念だったのは、入れない展示スペースがあったことです。ひょっとしたらまだ見ぬティベリウス像がそこにあるんじゃないかとか考え、ついついそちらへ首を伸ばしてしまいました。

 やっぱりこの博物館は、古代ローマファンならばはずせない場所でした。今回来ることができて満足です。また機会があれば、ゆっくりじっくり鑑賞したいです。

 

夕方、名残惜しくも博物館をあとにしました。

 

さて、ホテルへの帰りですが、よく覚えていません。けれどまたも地下鉄とのバトルがあったのは確かです。

確か2線に乗ろうとして結局なぜか駅を見つけられずにあきらめ、またぜえはあ言いながら歩いてダンテ広場に戻り、再び無限ループに挑んだような記憶があります。そのときは構内の表示ではなく、たまたま出現していた駅員さんの誘導にしたがって、なんとかガリバルディ広場に帰りいた・・・はずです。 

地下鉄内ですが、それほど混雑してもおらず、清潔で治安も良いように見えました。地上にいるよりも 安心感があったかもしれません。 

でも結局、地下鉄1線無限ループの謎は解けないままでした・・・。

 

この日の夕食はガリバルディ広場に面したレストランでピッツアをいただきました。観光客向けのお店には違いなく、もしかしたら味もイマイチと評されることがあるのかもしれませんが、おいしかったです。

旅の楽しみの一つとして食がありますが、私はあまりこだわらないほうだと思います。

まず普段からなにを食べてもだいたいおいしいと思う。そのうえ好きなものを頼むのだから、どの店でもほぼほぼおいしい。それにお金もない、お酒も飲めない、独りきり、となれば敷居の高い店にはとても入れません。ガイドブックでも「要予約」と書いてあった時点でまず行くのはあきらめます。

旅の目的がまず古代ローマの遺跡めぐりですからね。観光客慣れしたお店に迎えられるほうが、緊張が少なくてすむんです。

それにしてもイタリアの食べ物は本当に消化に良いんですね。前にも書いたかもしれませんが、お腹の調子はずっと良かったです。

 

次の日は、あの有名なポンペイの遺跡へ向かいます!