A.Banana.S

古代ローマ、NACSさん、ドートマンダーにパーカー、西武ライオンズ、FEプレイ日記(似非)・・・好きなことをぽつぽつと。

お誕生日だーーーーー!55555!

音尾さん、お誕生日おめでとうございますーーーーー!!!!!


フォーティースリー!!!  早い!!!


なつぞらもうはじまっておりますし、映画も公開となりましたし、もうすぐ2時間ドラマですし、新しい年もいっぱいご活躍されて、11月からは舞台ですな! 楽しみすぎますわ!


オトサマ、これからもファンでおります!



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ジョン・ドートマンダーと……アーニー・オルブライト ~親愛なる故買屋アーニーへ~

 

これであなたも二人の愛の軌跡を見逃さない!

 

(以下、例によって十年以上前のメモ書きを加筆修正したもの)

(※翻訳・未翻訳いずれもネタバレ注意。あまり突っ込んでは書いていませんが…)

 

 

ドートマンダーが(不本意にも)最も懇意にしている故買屋アーニー・オルブライト。ドートマンダーたちが盗んできたブツを換金してくれる欠かせない存在。NYの故買屋はアーニーだけではないはずだが、⑤『逃げ出した秘宝』以降、準レギュラーとして、どんどん出番を増やしている。短編では一度ならずメインキャラとして活躍。さぞドートマンダーたちに好かれているに違いない…………はず。

中でもドートマンダーとは非常に親密で(ドートマンダー全否定)、会うたびに厚い友情をさらに深めている様子だ(NO!NO!NO!)。

外見にそこそこ、性格にかなり問題があるらしいものの、それ以外にはこれといって問題のないアーニーに魅かれるのか、近ごろは頻繁にアーニーを訪ねるドートマンダー。これから彼らの愛と友情の軌跡をたどっていく。

 

 

◆まずは、アーニー・オルブライトの登場作まとめ(時系列)

1、⑤『逃げ出した秘宝』(1983)

2、⑧『骨まで盗んで』(1993)

3、短編『雑貨特売市』(1995)

4、短編『今度は何だ?』(2000)

5、⑩『バッド・ニュース』(2001)

6、中編『金は金なり』(2005)※

7、⑪『The Road to Ruin』(2004)※

8、⑫『Watch Your Back』(2005)

 

(※出版年は⑪のほうが早いですが、描かれているアーニーの状況的に、先に中編が来ると思われます)

 

レギュラーのスタンやタイニーの次に多い登場回数を誇るアーニー。短編・中編にも出ている仲間となると、彼とケルプくらいではないか…。

アーニーをめぐる、ドートマンダーVSケルプの仁義なき戦いも見どころの一つである(えっ)。

 

次に、押さえておきたいアーニー・オルブライトの基本情報(ええっ)。

 故買屋。お住まいはウエスト・サイドの八十九丁目(書いているやつ、十数年前のNY旅行で確認にいく)。がりがりに痩せていて、白髪頭。ドートマンダーが見たところ、四百歳から千歳のあいだらしい。ドートマンダーが訪ねていくと、いつも辺りはばからぬ大声で彼の名を呼び、歓迎してくれる。カレンダーコレクションが趣味。

 

さて、

 

<1、記念すべき初登場⑤『逃げ出した秘宝』>

 

 盗んだ宝石類を持って、アーニーのところへやってきたドートマンダー(すでに知り合いの設定)。なんとなく強要された気持ちになって仲間意識を表現するドートマンダー。

 この日のアーニーのお話、例:

 

「誰もあいさつを言うために、アーニーを訪ねてはこない」

「わしの性格のせいだろうな。違うとは言わせんぞ」

「くそみたいな気分だ。屁ばかり出る」

 

 ……なんとまだまだ素敵な台詞が続く。

 

 ドートマンダーはアーニーの意見に反対する気は毛頭ないが、かといって表立って賛成もできず、困る。そして幸運にも、アーニーの臭いあふれるクローゼットに隠れ、警官から逃れられるというボーナスステージ有り。

 

 初登場から強い印象を与えてくれるアーニー。相当ひねくれてしまった性格だが、そのぶんいつも最高の払いをする。ドートマンダーは苦しみながらも、アーニーを気遣い、当てにするようになる。(直後のドートマンダー、ストゥーンという故買屋を探して探して探しまくる)

 

 

<2、アーニー争奪戦開幕!『骨まで盗んで』>

 

~ドートマンダーVSケルプROUND1~

 

 親友ケルプに、「こんなことを言うのは気がひけるが、アーニー・オルブライトと取り引きをする必要がなければいいのにな」とこぼすドートマンダー。ケルプは遠慮して(してない)ドートマンダー一人でアーニーに会いに行かせようとするが、そうはいくかとドートマンダー、ケルプをふんづかまえて(?)アーニーに会いに行く。

 

「二人連れか。すると、ドートマンダー。わしに話しかけなくてもいいように、話し相手を連れてきたわけだ」

 

 ドートマンダーとケルプ、並んで不自然な笑み。

 

 ひとまず、一人で会いにいかずに済んだので、ドートマンダーWIN!

 

 アーニーとドートマンダーのあいだにはストゥーンやケルプなどの邪魔が入る。しかしドートマンダーはめげることなくアーニーに会いにいくのだ。

 

 

<3、出ずっぱり短編『雑貨特売市』>

 

ドートマンダー、マンハッタンの中心で、アーニーへの愛を叫ぶ。

 

 ストゥーンが別荘に入ったため、ドートマンダーは再びアーニーを訪ねる。アーニーは香水をつけて(ゴミ箱にあった雑誌から香りのついた広告を剥ぎ取って体じゅうにこすりつけて)迎えてくれる。なんと気の利いたジョークまで言い、ドートマンダーをうんざりさせる。

 お言葉、例。

 

「わしに近づいた連中は、逃げるために、タクシーを拾うほどだ」

 

 そんなアーニーをなぐさめるドートマンダー。そこへ新たに訪問者が――。

 

 アーニーファン必見の濃ゆいお話。そして、めったに笑わないドートマンダーが、愛を叫ぶばかりか、シリーズ史上これまであったかジョークまで言う!? こうして二人の仲は急接近!(えええっ)

 

 

<4、アーニーの身に異変! 短編『今度は何だ?』>

 

 シリーズ全短編中でも屈指の面白さだと思う。これぞドートマンダーの通常運転な一日。

 

「ドートマンダー、わしと同じようにひどい格好だな」

 

 否、アーニーは長い一日を終えたいドートマンダーよりさらにひどい状態にあった。体のあちこちから赤いサルサ・ソースが染みだして、医者にもほとんど見放されているという。さすがのドートマンダーもいつも以上に引く。

 十分な距離を取りながら、親密に会話する二人。

「早くよくなれよ、なっ?」と、優しい言葉をかけるドートマンダー。

 

 短編ではこのように、準主役として存在感を知らしめるアーニー。ドートマンダーとの息もピッタリになりつつある。

 

 

 時系列が次の⑨『最高の悪運』では、アーニーは姿を見せない。ドートマンダーがストゥーンに浮気するためだ。ストゥーンとはすみやかに、滞りなく、一行で取引を済ませるドートマンダー。アーニーは未だ闘病中か!?

 

 

<5、アーニーの中身に異変!『バッド・ニュース』>

 

~ドートマンダーVSケルプROUND2~

 

 ドートマンダーはいつもの仲間と一緒に、盗んだブツを持って、アーニーのところへ向かう。しかしアーニーに直接会うべくアパートメントに上がる役は、ドートマンダーただ一人に。

「おれと同じように、アンディーもアーニーをよく知っているのに」なんでおれだけ会いに行かなきゃいけないんだ、と文句を言うドートマンダーに、スタン・マーチは「アンディーに言わせれば、アーニーをほとんど知らないそうだ。おまえを通じて知っているだけだって」と教える。

 アーニーはドートマンダーの友人であることを仲間内に広めるケルプの知略にはめられたドートマンダー。このままでは負け。

 ところがいざアーニーのアパートメントに上がると、そこには予想だにしない光景が……!

 

「新しいわしだよ、ジョン・ドートマンダー!」

 

 そして外へ出てきたアーニーに、スタンとタイニーが初対面を果たす。ドートマンダーとケルプはこっそり無言の会話。(アーニーはどうしたんだ?)(訊くなって)

 

この後ドートマンダーは、ケルプへの逆襲に成功して満面の笑み(激レア)。勝負はDRAW!

 

 

<6、アンディー・ケルプとアーニー・オルブライト。中編『金は金なり』>

 

~ROUND3~

 

 ドートマンダーとの壮絶なアーニー争奪戦に敗れたケルプは、珍しくも一人でアーニーに会いに行くことに。(…うん?)

 

「ジョン・ドートマンダーは一緒じゃないんだな。(中略)コインを投げて、負けたほうがアーニーに会いに来たのかね?」

 

 『バッド・ニュース』の「中身に異変」事件の後日談がある。

 

 内心やっぱり医者の車を盗めばよかったと思ったかもしれないケルプ。そのうえ借りたレンタカーについてドートマンダーに狭い狭いと文句を言われたのでは報われない。

 がんばれ、負けるな、アンディー!

 

 

<7、そして旅立ちへ。『The Road To Ruin』>

 

~ROUND4~

 

《故買屋が興味を持ちそうなものリスト》をもらったケルプ。しかしリストを持っているのは自分なのに、アーニーに会いに行く役はドートマンダーにやらせようとする。

 

以下、いつかの記事の一部再録。

 

D「リストを持っているのはお前だ」

K「アーニーはお前の友だちじゃないか」

D「アーニーに友だちなんかいない。知り合いだ」

K「お前のほうがもっと親しい知り合いだ」

 

 ああ、醜い……。

 

 ケルプはすっかりアーニーはドートマンダーの友だちということにしている。しかたなくドートマンダーは「二人で会いにいく」という妥協案を提示。「ジョン、ほんの紙切れ一枚だ。そんなに重いものじゃない」と、最後の抵抗を試みるケルプだが、「アンディー、これしかないんだよ」とドートマンダーに押し切られ、同病相哀れむことを受け入れる。

 

 勝負はDRAW!

 

 しかし出かけてみたら、なんとアーニーは「不快な性格矯正のため」親戚一同からリハビリ施設に送りに。

 留守番をしていたアーニーの従兄弟アーチーは、一発で「あんたがドートマンダーだな」「ケルプだ」と、二人がだれなのか言い当てる。アーニーが家族との会話で頻繁に話題にしていたらしい。

 アーニーの友情の深さに衝撃を受ける二人。

 

 数日後、ドートマンダーの電話から、アーニーの元気な大声が聞こえてくる。リハビリ先でもやっぱりいつもと変わらないアーニーに、ドートマンダーもさぞ安心したことだろう。

 

 しかしこのリハビリ施設行きが、次作で本筋につながっていく。

 

 

<8-①、クライマックス『Watch Your Back』>

 

オーディオブック傑作中の傑作シーン。アーニーのご帰還。

 

「ドートマンダー! ジョン・ドートマンダー! そこにいるのか!? ジョン・ドートマンダー!」

 

「うあ゛あ゛!?」

 

 

そしてROUND5

 

以下、またいつぞやの記事の再録。

 

D「あいつが電話してきてな。俺たちに仕事の話があるらしいんだ」

K「俺たち? アーニーは俺に電話してきたんじゃないぞ、ジョン。お前に電話してきたんだ」

D「でも彼は俺たちがチームだって知っているんだぞ」(←前代未聞、ドートマンダーからの『相棒』表明)

K「アーニーは俺に電話してきたんじゃない。だから俺は行く必要はない」

D「ものすごくうまい話だと言っていたぞ」(←前代未聞、ドートマンダーからの『うまい話』)

K「そりゃ結構。お前が行けよ。それでもし本当にうまい話だと本当にわかったら、それから俺に電話してくれ。なんなら俺の家に来て説明してくれてもいい」

D「アンディー、率直に言うぞ」

K「無理するな」

D「一人で行きたくないだけなんだ。『リハビリ後』のアーニーがどうなったのか、知るのが怖いんだ。一緒に行くか、行くのをやめるかだ」

K「…………あのなぁ、ジョン――」

 

 ドートマンダーの戦略は、まずさりげなく「俺たち」に持ち込まれた仕事だということを示す。次に「俺たちはチーム(相棒同士)」という言葉を使って連帯感を表し(オーディオブックだと、この次のケルプの台詞に笑いが交じる)、さらにケルプお得意の「うまい話」であるという実際的な面も強調する。それでも切り抜けようとするケルプに、ついに自分の本心をさらけ出し、情に訴え、最後にはちゃんと同意を得ないうちに話をまとめてしまう。

 

 その後、アーニーのアパートメントの前で待ち合わせる二人。口笛を吹きながら、5分遅れてやってきたケルプ。

「待ったかい?」

「いや、今来たところだ」

 ささやかな仕返しの満足も与えない、ドートマンダーの完勝。

 

 ストーリーはこのアーニーが持ち込んだ仕事を軸に展開する。そしてなんとアーニー、ついに犯行に臨場!? あのケルプをも丸めこんだドートマンダーは、果たしてアーニーを説得できるのか!?

 

K「ジョン、アーニーと仲良くしたくなったのか?」(嫉妬)(←違う)

 

 

<8-②ファイナルラウンド!『Watch Your Back!』その2>

 

 トラックを隠す場所を探して歩きまわっていたケルプに、ドートマンダーから電話が入る。

 

D「仲間はいらないか?」

K「えっ、歩くのにか?」

 

 ……なにを企んでいるんだ?

 

 ケルプはこの一見好意的な申し出を、すぐさま疑いはじめる。

 

K「わからないな。俺は一人でも十分やれているよ。それにお前には、未解決の問題があったじゃないか」

D「うん、いくらかな。ただもちろん、俺たちの友人と話しにいかなきゃならないが」

 

 ここでケルプはただちになにがどういうことなのか察する。「俺たちの友人」とはアーニーのことだ。ドートマンダーは今度の仕事にアーニーも連れていくと言い出し、彼を外に出す説得に出向くことになっていた。言い出したドートマンダーただ一人だけが。

 

 以降、オーディオブックだと、ケルプにばっさばっさ断られてしだいにうろたえていくドートマンダーが笑えるので必聴!(笑)

 

 ドートマンダーによる親切に見せかけて利用しようとした作戦は失敗し、ようやくのケルプWIN!

 

 それで、肝心のアーニーの臨場、ドートマンダーに手料理をご馳走(!?)など、最後まで見どころ満載なので、翻訳お願いします是非(ここまで書いておいてそれか…)。

 

 この12作目がジョン・ドートマンダーとアーニー・オルブライトのクライマックスと言うべき作品。

 以後、アーニーはサルサ・ソースの病が再発したとの消息が『What’s So Funny?』で語られる。

 

 

◆まとめ ドートマンダーとアーニー

 ドートマンダーは、アーニーの前以外では、アーニーを敬遠していることを公言してはばからない。会いに行く故買屋リストの最後に挙がっていると主張しているが、そのわりに頻繁に訪問する羽目になる。それはなぜだろうか。

 

①ストゥーンがいない。別荘に入った。ほかの故買屋が当てにならない、遠い、専門外、等々。

 アーニー、ストゥーンのほかにもモーリス・モリソンという故買屋がいるそうだが、彼もまた別荘(ムショ)暮らしだという。⑧『骨まで~』のガイ・クラヴェラックは小規模の仕事では取引きしない。アーニーのところなら、少なくとも囮捜査に引っかかることはない。

 

②払いがいい。

 アーニーはそう言うが、わりと頻繁に「後払い」契約で終わる。ドートマンダーはちゃんと現金を受け取っているのだろうか…。受け取っていなければ次会いには行かないだろうけれど……。

 

③なぜかアーニーに引かれるところがある。

 ドートマンダーは断固否定するだろう。しかしアーニーの頑固で悲観的なところは、ドートマンダーに似たところもあるのではないか。二人の違いは、自分を卑下するか、しないかだ。ドートマンダーは自分を見下したりはしない。けれども社会に見放され、ときに辛そうに見えるアーニーの状態を見て、手助けはしたくなくとも、少しばかり気にはかけているのかもしれない。『What’s So Funny?』では、第三者によるドートマンダーのお友だちリストで、ケルプの次に挙げられたことだし、友情は末永く続くのだろう。

 

「ハロオオオオオオオオ!!! ジョン・ドートマンダー!!! わしはまた復活したぞおおおおおおおお!!!!!」

 

「……アンディー、お願いだから二人で会いに行こう」

 

(※最後の台詞二つは妄想です)

 

 

***

ああ、にほんめまでかきおわり、さんぼんめにはいりました。あーにーも……、あーにーもっ!?

 

 

 

 

 参考図書一覧。

anridd-abananas.hateblo.jp

 

 

※※※

当方の駄文――ファンフィクションはこちら。
ドートマンダー・シリーズ:
『エメラルド始末記』『ファースト・ネーム』『ココナッツと蜘蛛』『エキストラとスタントマン』
悪党パーカー・シリーズ:
『哀歌』『最終作Dirty Moneyについての考察』『アフターワールド』『ラスト・デイズ』『ダーティー・ゴールド』『ライン』
※※※

ああもう、、、ああもう、、、

直撃やないですか!



と、ところでですね、


『悪党パーカー/殺戮の月』より、敵幹部視点のパーカー描写。



ーー黒い目と目のあいだがひろく、唇のうすい、ゴツゴツした顔をしていた。



パーカー、離れ目族確定。オトサマ、実写化しましょう!


グロフィールドはもちろんシゲさんで!(前にもこれ書いたような...)



ああ、ところでオーディオブック、届いたんですけど、返品交換になりそうです......。まあ、いいんですけど。



『ティベリウス・ネロの虜囚』御礼。こぼれ話と書き下ろし短編。

 

近ごろ、ブログがだいぶ暴走気味で大変恐縮です。

 

ところで、先日なのですが、こちら拙著『ティベリウス・ネロの虜囚』のアクセス記録です。

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2015年の12月に最終部分を掲載したので、およそ3年3ヶ月が経過しています。

 

他所様と比べたことがないのですが、この数は本当にすごいことだと思います。縁あって少しでも目を通してくださった皆様へ、心より感謝申し上げます。

 

言い訳しますと、そもそもブログの暴走が始まったのは、三作目の構想を練っていた最中のことでした。前作のときは恋愛色強かったので、そちら関連のエンタメに興味を引かれたのですが、今回は……ああ、もう、見事に再ハマりしてしまいましたという状況です。

 

このままでは本末転倒! 早く戻れ!

 

と、と、年明けの時点では、まだ古代ローマ関連の資料を読んだり読み直したりしていた、はず……。

 

さ、さ、三作目に生かしますから! この経験!(震え声)

 

◆予定:三部構成(当てにならない)。とあるパートばかり構想がふくらみ、とあるパートがまったくはかどらないという、現状。

◆目標:1、2年以内のアップロード。

 

 

と、掲げたうえで、5000越えユニーク御礼として、久しぶりのこぼれ話、そして即興の超短編を投下します。

 

 

【こぼれ話】(三章-1の末尾にあった部分。主に視点上の理由でカット。今となっては上手くつながらないかもしれません)

 

「すまない」

 カルヴィヌスは詫びてきた。

「君はやはりお父上にそっくりだよ」

 そこへメッサラ・コルヴィヌスがやってきた。皆自室に引き取ったはずの食堂で、宴もたけなわのような大声が聞こえてきたからだろう。彼はファルサロスの副将に大笑いされているティベリウスを見つけた。

「こらこら」

 しばしあ然と立ちつくしてから、メッサラは顔を引き締めて近づいてきた。

「まだ起きていたのか、ティベリウス。お話をうかがいたいのはわかるが、こんな遅くまでカルヴィヌス殿をわずらわせるんじゃない。無礼になるぞ」

「…すみません」

 ティベリウスは立ち上がった。それからカルヴィヌスにひときわ丁寧に礼を述べ、晩餐の余韻の邪魔をしたことを詫びた。

「おやすみ」

 ティベリウスが立ち去ると、メッサラは傍らのカルヴィヌスに目線を落とした。

「どう思います? あの子が名将になれる見通しは?」

 カルヴィヌスはティベリウスが去った扉口を見つめ、いつまでもにやにやしていた。

「この一週間、あの子は私を質問攻めにしたが、一つだけ訊かなかったことがある」

「それは?」

「自分のことだ。あの子はこの私に、自分が優れた将軍になれるかどうか一度も問わなかった」

 

 

 

【書き下ろし、超短編】(本編第4章終了後の、後日談)

 

サルディニア島に行くぞ!」

「ぐえっ」

 ルキリウスはうめいた。振り向かなくてもわかったが、自分が待っていたはずの一人に背中からのしかかられていた。ぼんやりしていた自分が悪いのだが、突進してきたうえで重みのすべてを委ねてくるとは、八歳であろうと、公の場でなんらかの非難を受けるべきだと思った。肺をつぶされ、腰を折られ、膝頭を肩にめりこませてから額を地面にこすりつけそうになった、そんなルキリウス・ロングスにはなんの罪もない。

 しかしドルーススはそんな被害者に頓着していなかった。彼はさらにルキリウスの背中でばたばた動いたのだ。

カエサルから手紙が来たぞ! ぼくらはそこで冬を越すんだぞ!」

「……へぇ……」

 ルキリウスはなんとか相槌を打った。今は九月の初め。少し前に、この世界の中心であるらしきローマには、とある知らせがもたらされていた。

 ローマ軍、エジプトのアレクサンドリアを完全制圧。将軍マルクス・アントニウス自害。

 不思議な話だと思った。敵将もまたローマ人で、彼と共に戦った仲間たちの多くもローマ人だったに違いないのに。

 とにかく、ルキリウスはドルーススの話を懸命に理解しようとした。

「……ひょっとして、君はサモス島のことを言っているのかな?」

「かもしれない」

 ドルーススは無邪気に認めた。ルキリウスは彼を肩越しに見やった。

「以前にも君は間違えた。それでぼくは君の兄上にたわ言だらけの手紙を送らなきゃいけなくなった」

「あにうえもいるぞ!」苦情を無視し、ドルーススは飛び跳ねた。「もうすぐ会えるぞ!」

 そうらしかった。もう一年半ほどカエサルオクタヴィアヌスの軍についていったきり帰ってこないドルーススの兄――ティベリウスクラウディウス・ネロもサモス島の冬営地に戻るだろう。

「よかったね」ルキリウスは言った。本当にそう思ったのだ。

「明日、出発する!」輝く顔で、ドルーススは教えた。「あにうえの誕生日に間に合うように!」

 当然のように、ルキリウスは知っていた。ティベリウスの十二回目の誕生日とは、十一月十六日だ。まだ二ヶ月と少しあるが、それでもサモス島ははるか東の彼方だ。おそらく旅はカエサルの妻リヴィアが取り仕切り、そこへカエサルの姉オクタヴィアも同行するのだろう。そうなるとリヴィアの次男であるドルーススばかりでなく、オクタヴィアの大勢の子どもたちも従うはずだ。

 ユルス・アントニウスも行くのだろうか、とルキリウスは考えた。マルクス・アントニウスの次男だ。こういう結末をずっとずっと予期していながら、オクタヴィアの保護下で暮らしてきた少年だ。今日も、ルキリウスが名目上待っていたのはドルーススであるが、実際に待っていたのはユルスのほうだった。まだ家から出てくる気配はない。

 いずれそういうことになるなら、ぼくはとうとうお役御免というわけだ。ルキリウスはそう思った。二年前の年の暮れに引き受けることになった、ティベリウスとの約束だった。

 だが、ドルーススが言った。「お前も行くぞ!」

「……なんだって?」ルキリウスは思わずぽかんとした顔を向けた。

「お前もサモス島に行くんだぞ!」ドルーススはくり返した。

 ルキリウスは信じられなかった。「ぼくは君らの家族じゃないよ。素性不明の、『へんなやつ』だよ」

 ドルーススと話すようになって一年近くなるが、ルキリウスはまだまともに自分の名前さえ伝えていなかった。貴顕中の貴顕であるクラウディウス・ネロ家のお坊ちゃんにしてみれば、自分など取るに足りない庶民にすぎないと知っていた。

 『へんなやつ』とは、兄の物まねをするルキリウスをドルーススが呼ぶ名で、不幸にも、この一年半でティベリウスから彼に届けられた唯一の手紙にも、同じ宛名が記されていた。皮肉以外のなんでもなく、ルキリウスはティベリウスが帰ってきた場合の身の行く末を色々と考えてしまった。ぼこぼこかな。八つ裂きかな……。

「メッサラ家のマルクスも行くぞ」ドルーススは知らせた。

「彼は父親に会いに行くんだろう?」ルキリウスは指摘した。マルクスの父親メッサラ・コルヴィヌスが、将軍の一人としてカエサル軍に参加しているのだ。「ぼくは行かないよ。行く名目がない」

「船があるんだろ!」ドルーススが思い出させた。ロングス家の稼業のことを言っているのだとわかった。いつ話したっけか……。「ぼくが乗ってあげてもいいぞ!」

 ルキリウスは思わず微笑んだ。「光栄だけどね、ドルースス。君みたいな良き家柄の子どもを乗せて浮いていられる船じゃないよ」

 第一、ドルーススの母親が許すはずがなかった。ルキリウスはドルーススへ首を向け、あらためて言った。

「ぼくは行かない。ここで待ってる。君の兄上にはよろしく伝えておくれ」

 すると、ドルーススは見る見るしょんぼりと眉毛を下げ、背中の上でぶーっと頬をふくらませた。なんだよ、もう……とルキリウスは苦笑する。ようやっとあにうえに会えるんじゃないか。君がどれだけ恋しがっていたか、ぼくは知っているぞ。それなのにその顔はなんなんだよ。

 ぼくは君の友だちじゃない。君の兄上に頼まれたから、そばをうろうろしていただけだ。それも頼まれた対象は、君じゃなくてユルス・アントニウスのほうだ。君に絡まれる羽目になったのは、ぼくのドジだったんだ。

 君のためじゃないんだよ、ドルースス。ティベリウスのため……いや、ティベリウスに頼まれたぼくのためなんだ。

 だから、そんな顔をするなよ。

「言っておくけど、無事に帰るまでが遠征だからね」腰をひねり、ドルーススの頭をとらえて撫でまわしながら、ルキリウスはさも気楽に言った。「君も気をつけるんだよ、ドルースス。アントニアたちとはしゃぎすぎて、迷子にならないように。海に落っこちたりしないように」

「お前はあにうえか」ドルーススが言った。それからルキリウスの腹に頭を埋めてきた。「一緒に行こう」

「行かないよ」

「お前をあにうえに会わせたい」くぐもった声が言った。

 ルキリウスは苦笑を引っ込めることができずにいた。「君は可愛いな、ドルースス」

 こんな子どもと一緒にいると、つい素直な言葉が口をついて出る。なるほど確かに、あのティベリウスがだれより愛してやまない弟だ。もう胸が苦しくなるくらい、よくわかっていた。

 それでも、とルキリウスは言い張るのだ。「ぼくは命が惜しい」

「食べられちゃえよ。お前なんか、あにうえの顎で噛み砕かれちゃえよ」

 それが、弟が決めた物まね師に対する処刑法らしかった。ルキリウスは身震いしてみせた。それから言った。

「とにかく、無事で帰ってこいよ」

 すると、ドルーススは拳を突き上げてきた。危うく顎に一撃くらうところだったが、見ていると、小さな拳がゆっくりと開かれていった。中からは小さな銀色の光がこぼれ出た。

「お前に」ドルーススが言った。

「ぼくに?」ルキリウスは目元をしかめた。

「あにうえからだ。手紙の中に入ってた」

 それは、銀貨のようだった。ただし鋳型が使われたにしては、独特の模様をしていた。片面になにかの鳥の図柄、もう片面には文字が刻まれていた。ルキリウスはドルーススのしめった指からそれを受け取って、適切な距離から読んでみた。

『ルキリウス、ぼくはこれから帰る』

 それだけだった。

 君はぼくの夫か……とは、真っ先に思い浮かんでしまった指摘だった。けれどもかろうじてそれを呑み込み、つくづくと眺める。思いめぐらす。

 ルキリウス、と名前だけで呼ばれたのはたぶん初めてだ。必要なときはいつも「ルキリウス・ロングス」と、罪人に刑を宣告する冥王のような口調で呼ばれたものだ。

 これはいったいなんだい、我が愛しき友?

 ルキリウスはその銀貨へ問いかけた。澄み渡る青空へかざしてみながら、不気味と言っていい胸騒ぎを覚えずにはいられなかった。

 それでも、君がようやく帰るというのなら、ぼくは待つ。いつまでも待つ。それが、君とぼくとの約束だ。

 ルキリウスはただ一つの銀貨を握りしめた。

 

 飛んでいけ――。

 

 

 

 

我が家にグロちゃんが来ました!

……正確には、『カジノ島壊滅作戦』の原著が届きました! 

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うわぁい! 翻訳を一度だけ読んで以来の、十何年ぶりの再会です!

 

……それにしても「グロちゃんが来ました!」ってなに!? 主人公はパーカーですよ! グロちゃんシリーズではないですよ!

 

だから正確には、我が家にパーカーとグロフィールドとサルサが来ました!…となるわけですが(それもどうか)、

 

いや、もう、グロちゃんが絶好調すぎて、にやにやが止まりません。

 

小鷹信光氏の手で翻訳がなされた、あの名言この名言が、実はこうだったの……!?という楽しみ。

 

それにしても、本全体から漂う、グロフィールドの異色さですよ。

これまでは、正直、ドートマンダーシリーズのグリーンウッドと同一人物の可能性もまだいくらか残っているかな、と思っていたのですが、この作品に目を通して確信しました。この二人は別人ですわ!(今更?)

 

グロフィールドの台詞がですね、なんか全体的におかしい(語弊ひどい)。我が手元には『ホット・ロック』の原著もあるんですけど、グリーンウッドはこういう台詞まわしじゃない。口調が全然違う。グロフィールド一人だけ違う。この人、我が道を行きすぎ。

芝居・演劇関連語が頻出。どれだけ根っからの舞台俳優かが伝わってくる。でもそれだけではない「なにか」もまだある……。なんと言えばいいのか……。

『Breakout』以降の未翻訳作を読んだことがあるんですけど、それにドートマンダーシリーズのも読んでいますけど、こんな人いなかったです。

話し相手がパーカーだからまた際立つのかもしれません。

なんなら初めてパーカーの気持ちがわかりました。(こいつ、なにを言ってるんだ……?)(異星人か…)(なんでそんなにご機嫌なんだ…?)

 

これは、どうしよう、オーディオブックも欲しくなる……!

もうすでに脳内でグロフィールドがしゃべりはじめているんですが。

 

ところで『Dirty Money』で試聴してみたのですが、Stephen R Thorne氏の音読、素敵でした! ちゃんとパーカーと仲間の声の使い分けがなされています(されていないのもあるんです)。氏はパーカーシリーズのほとんどを担当されています。これは『カジノ島~』でも聞いてみたい…! というか私は、グロフィールドとサルサとダリーシアとあと皆の声を聴きたい! 『殺戮~』が出た日には絶対買ってしまう!(人物多すぎでどうなるんだ……?)

そして、すみません、ドートマンダーシリーズでおなじみのWilliam Dufris氏の声と、試聴段階ではほとんど区別がつかなくて、まさか同一人物では…と検索してしまったくらいでした。

ドートマンダーシリーズも、初期・中期作のオーディオブックも出ているんですが、William Dufris氏の声を聴いたら、申し訳ないけどもう他の方の音読には浮気できない。シリーズファンの方々に本当に聴いていただきたい。Dufris氏のドートマンダー、ケルプ、スタン、タイニー、アーニー! 試聴でドートマンダーとスタンは聴けますけれど、私は残る三名の声もぜひ耳に入れていただきたい!(試聴できますが、”Why me?”冒頭のケルプとかなり違います。どちらの声のイメージが好みかはもちろん人それぞれです)

 

……わたくしが、オフ会とかやれればいいでしょうか。手持ちのオーディオブック持って。それから未翻訳の原著も持って、その場で私が口頭で(いいかげんな)日本語訳を読み上げる、とか。

 

…………すみません。思いつきを言いました。

 

ところで、来週には『Get Real』のオーディオブックが到着予定。楽しみすぎる……。

 

 

話をグロちゃんと『カジノ島~』に戻しますと、

 

ほかにも、十数年ぶりの再会だったので、色々驚きがありました。(※少しだけですが、ネタバレ注意)

 

 

事件① パーカー、グロフィールドと再会して、握手。

 目を疑いました。なぜか。

 ……そういえば、ケルプだってドートマンダーと握手しようとはしましたっけ。殴られましたけど。

 

事件② パーカーとグロフィールド、友だちだった。

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(裏表紙の評に書いてあったというだけです。わかっています)

 

 

事件③ グロフィールドさん、パーカーへの呼びかけに ”love” “old man”

 ……いや、ちゃんと辞書は引きました。これらの呼びかけに、深い意味はない、と。

 それにしても、今のところパーカー&ドートマンダー両シリーズの原著で、同性の仲間に”love”という呼びかけを使っている人は見たことがありません。

 無論のこと、パーカーは全スルー(笑)

 

どれだけこのグロちゃんという方が異色か、おわかりいただけます……?(だれに言ってるんだ?)

 

ホントにもう、楽しい男だな、おいっ!!!

 

 

最後に、私の勝手な原著の一解釈:(※小鷹氏の一流翻訳が済んでいます)(※原文たったの二語)

 

「あんたが天国から迎えに来るなんて冒涜にもほどがあるぞ、パーカー!」

 

 

 

(あと、以下、やってしまいました報告。)

 

 

いっぽんかいてしまいました。どうじん、にじそうさく、ないし、ただのもうそう・・・

やるとおもいました? わたしもやるとおもいました。ほんとうにすみません。

たんぺんです。たんぺんいっぽん。

こうそうが、ごほんあります。ごほんかきおわったら、ここでほうこくのうえ、りんくはります。

むりょうです。かぎつけます。いわゆる腐ではありません。でもぱーかーさんのほうもあるので、りゅうけつはありそうです。

かんせいのめどは、いち、にかげつです。

 

まったくほんとうにすみません。

 

なんでじゅうねんまえにおもいつかなくて、いまになってとつぜんやってみたのか、ほんとうにふしぎです。

 

※※※

当方の駄文――ファンフィクションはこちら。
ドートマンダー・シリーズ:
『エメラルド始末記』『ファースト・ネーム』『ココナッツと蜘蛛』『エキストラとスタントマン』
悪党パーカー・シリーズ:
『哀歌』『最終作Dirty Moneyについての考察』『アフターワールド』『ラスト・デイズ』『ダーティー・ゴールド』『ライン』
※※※

アカデミー賞!

ガミさん日岡きゅんで最優秀主演&助演男優賞ですと!!??  『孤狼の血』4部門受賞ですと!!??  おめでとうございます!!!!!!

 

 

この一観客、ほとんど観に行った当日にがっつりネタバレ全開記事(文字数多)を書かずにはいられませんでした(すみません)。それほどに観る者を動かす作品でした。忘れられそうにありません。

無性に色々考えずにはいられませんでしたって。

 

桃李くんもう最高でしたよ!  

 

続編必ず観に行きます!

 

 

anridd-abananas.hateblo.jp

 

 


 

......そう言えばちょっと前の某ニュースを見て、ガチやないですか、『孤狼の血』...と思ってしまいました。



そして、私をこの映画にお導きくださったナンバーファイブさんは今、、、OTOO GAGA