A.Banana.S

古代ローマ、NACSさん、ドートマンダーにパーカー、西武ライオンズ、FEプレイ日記(似非)・・・好きなことをぽつぽつと。

悪党パーカーシリーズ最終作『Dirty Money』について。(改訂版)

未翻訳作 Dirty Money(2008) の考察であり、『哀歌』という個人的妄想の「その後小説」につけた長いあとがきです。

このうえもなく内容に触れています。くれぐれもご注意を!

(※注 文中の「駄文」とは『哀歌』のことで、こちらpixiv様に掲載しています。

https://www.pixiv.net/member.php?id=46355320 )

(たぶん期間限定。以前ピクブラ様に上げたのと同じです)

 

 

《哀歌あとがきと、主に『Dirty Money』の話》

 

 

 

 

 シリーズ二十二作目『Nobody Runs Forever』で問題なく有能だった相棒ダリーシアを、パーカーは二十四作目『Dirty Money』で見限り、殺します。理由は、当方駄文(※)でも書いたとおりです。

 少なくとも、殺したと読むしかない描写があります。ダリーシアの死体が発見され、警察によって身元確認もなされます。

 

 パーカーが『殺戮の月』で召集した仲間の一人を、まさか自らで手を下すという、衝撃の最終作でした。言葉もない、冷酷非情。これぞパーカー……。

 

 ところが、この駄文を書くにあたって読み返したとき、今更ながら違和感を覚える箇所がありました。

 読み終わって数日後、どういうことなのか、ようやく思い至りました。そのときノートに書き殴った言葉が――

 

 

 

「ガチのマジでこれ生きてんじゃないですかああああああっっ!」

 

 

 

 いや、駄文を書く前は、なんとか生存を1%でも望みあるような描き方ができれば…くらいしか考えていませんでした。『Dirty~』読み直し中も、苦しいこじつけの材料になるものを一つでも見つけられないかと考えておりました。

 空き家での遭遇の直後、謎の赤いピックアップトラックが通りかかったときは、しめしめと思いましたが……。(本当に書かれています。ハンチング帽をかぶった男二人が座席にいる)

 とはいえ、その段階でも私の中では、0:10で「望みなし」でした。したがって二次創作らしく、妄想の産物を書くつもりでおりました。

 ところが数日後、勢い余ってノートに上記の言葉を書き殴る事態になりました。0:10が9:1で「望み大有り」、むしろ「生存」としか思えなくなりました。

 まあ…、現在は6:4くらいですが、それでもかなり望みを持っています。

 

 パーカーはニックを殺していなかった。ニック・ダリーシアは死んではいない。

 

 根拠は、次の二点です。

 ①ロフトに残された箱の数

 ②身分証代二十万ドルの出所

 

 まず①、箱の数が合わない問題。

 『Dirty~』でパーカーがニックを「殺した」描写のあと、教会から現金の入った多くの箱を、マクウィットニー、サンドラと持ち出すシーン。トラックの積載の都合で、パーカーは「四箱」現金入りのものを、聖歌隊用ロフトに残していきます。これが死んだニックへの皮肉な分け前のように読者には見えますが……

 一週間と二日後、警官二人が教会で見つけた箱は、現金入り「三箱」。二度くり返されます。

 

 四箱が、三箱。

 

 ちなみにパーカーは、讃美歌集が入ったカモフラージュの箱もいくつか残していったのですが、警官たちの場面では、あくまで現金入りの三箱しか描かれておらず、それ以外は言及もされていません。ロフトにはもう三箱しかなかったと読めるのです。

 

 そして②、身分証代が合わない。

 『Dirty~』PART4、パーカーの新しい身分証作りの場面。エド・マッキー紹介のロビンスという人物が、その仕事を引き受けてくれるのですが、彼はパーカーに「二十万ドル、前払い」を要求します。パーカーはこれを値切りもせず、外の車に入っているから、と即時支払いをします。場面はパーカーとロビンスが現金を数えているところで終わります。

 この二十万ドルを、パーカーはどうやって用意したのか? 教会から持ち出した金はまだ資金洗浄していないうえ、マクウィットニーの家の近所に隠しています。パーカーは貯金を切り崩したのでしょうか。

 

 ところがこの後、パーカーは地の文で、身分証代に「州北部で得た金の半分以上を使った」と述べています。「州北部で得た金」とは、『Dirty~』の直前、二十三作目『Ask The Parrot』で、トム・リンダルと山分けした現金のことです。

 

 『Dirty~』PART2にて、『Ask~』にも登場した警察関係者が言います。パーカーとリンダルが盗んだ金は、およそ「二十万ドル」だと。

 パーカーはこの金を厳密に数えていません。リンダルが詰めた二つの袋を、ただ片方持っていっただけです。前述の警察関係者も述べます。リンダルが持って逃げた金は「十万ドル」、パーカーも「十万ドル」(多少の過不足あり)

 

 これでは、身分証代の二十万ドルには到底足りません。

 というか、これは……、

 

 

 二人分の身分証を作っていないだろうか。

 

 

 パーカー十万ドル、どっかのバズーカ運転手十万ドル。

 

 後者の十万ドルが、教会のロフトから消えた一箱だったのではないでしょうか。ダーティ・マネー(番号を控えられた金)ではありますが、おそらくロビンスは困らないはずです。自分の報酬として綺麗なほうの金を残し、あとは海外にまわす経費にすればいいのだから。

 パーカーが実際に切った身銭(州北部の金)は、おそらく5、6万ドル。おそらくロフトの一箱にはおよそ十五万ドル入っていた。パーカーはその内の約五万ドルに、身銭約五万ドルを合わせて、ロビンスに支払った。だから「州北部で得た金の半分以上を使った」

 

 これで全部、計算が合うんですが……。

 

 

 

「どおゆうことだぁあああああっ、パーカー&ニックぅぅうううううっっ!!??」

 

 

 

 だがしかし、しかし……

 『Dirty~』で、遺体はニック・ダリーシアだと警察関係者に確認されています。これをどう説明するか?

 だが、そもそも取り調べされていない段階で、DNAにしろ、どれだけ有効なIDを当局は持っていたでしょう。指紋は取られていたでしょうが、どうやって身元確認をしたのでしょう。

 ポイント① 遺体は、そのまま解釈すれば、死後九日。十月下旬。

 ポイント② ニックの死因、言及なし。そのまま解釈すれば、おそらくパーカーが素手で首の骨を折った。あるいはニックが警官にしたように、胸に銃口を当ててサイレンサー代わりにした。音を立てず、急いでやらねばならない状況だった。だがとにかく不明。

 

 駄文中ではここを工作させましたが、『Dirty~』ではマクウィットニーが、ハービンやロイ・キーナンの遺体処理に酸を使ったことをほのめかす記述があります。

 

 代わりの遺体候補……と言うのも気の毒な話ですが、実際にあります。『Ask~』でのボランティアによる射殺遺体もですし、パーカーも数人殺しています。(彼がだれも殺さずに終わる『Nobody~』はものすごく稀有。これだけで「ニック、よくやったね!」とか言いたくなる…)死後一週間ずれがありますが、ニックのほうを脱走直後の死亡とすれば、ほとんどなくなります。

 血液型は? DNAは? 血痕は…カモフラージュするまでもなく、ニックが血まみれだったのですが、しかし実のところ、いずれはバレても問題ない。それまでに本人が州外に脱出していれば。しかし警察も、絶対にその遺体をニック・ダリーシアだと思いたいはず。あそこに格段の有能当局の人はいなかったので(悪いけどレヴァーサ込みで)、欺けた可能性はあります。当然、死んだ警官から奪った銃は、そこに置いておく。

 

 しかし一連のカモフラージュが実際にあったとして、もちろんニックにはできません。彼はなにも知らなかった。パーカーにはニックの逃亡から現場一帯に戻るまで、およそ二日の空白がありますが、彼が準備したとも考えにくい。マクウィットニーは問題外。

 そこで、『Nobody~』の冒頭に戻り、アル・ストラトンかと思いつきました。マクウィットニーがニックの居所をつかむために、ストラトンを訪ねていく場面が実際にあります。

 

 このように、途中から妄想はなはだしい気もしますが、パーカーがニックを殺したという明確な記述は、実のところないと言えます。パーカーは本人の口からも地の文でも、はっきり「殺す」「死んでもらわねばならない」とは言っていません。それどころか、空き家での遭遇後、一度はニックの追跡をあきらめて「徒歩の男は見つけられない」「時間の無駄」、マクウィットニーに「アリバイをつくっておけ」とさえ話しているのです。つまり、必ず殺さねばならないとは考えていないのです。

 ニックのことを「もう相棒ではない」とは、冒頭から言っています。サンドラにニックの分け前の半分を渡すことにも、はっきりと同意しています。が、残りの半分を自分とマクウィットニーで分けるかどうかは、明言していません。

 

 ところで、ニックを生かすことで、パーカーになんのメリットがあるのか? 「①殺す」これが手っ取り早く、最善のはず。「②また警察の手に落ちる」これはあまり良くないですが、パーカーに致命的打撃はありません。そもそもニックがどうこうに関わらず、身分証は作り直さねばならない状況でした。それでも「③脱出させる」はいちばん手間がかかります。

 パーカー視点の、ニックとの空き家における対峙場面で、こんな描写があります。「just enough to listen to sense. But probably not.」前後、いかにもパーカーがニックを殺すしかない状況であることを並べ立てているように見えますが、パーカーはそもそも殺すのに言い訳はしないでしょう。これはニックが話を聞ける状態にあるか、「本当に」判断している場面かもしれない。そして、冷静ならば本当に話すことがあったのかもしれない。

 その後、ニックはパーカーに銃口を向けます。この時点で、パーカーが一度でも自分に銃口を向けた相手を生かしておくはずがないと思いますが、結局ニックはパーカーに先制できません。パーカーに飛びかかられ、「どこも狙わずに」発砲し、銃を叩き落されます。

 それから逃げますが、なぜか向かい側の教会の地下へ潜り込むニック。パーカーの「どうして戻ってきたんだ?」という地の文の記述は、まさにそのままの意味。どうしてわざわざ、負傷していて、武器の当てもなく、自分を殺したがっている人間の近くに戻ってきたんだ? と。

 それにしても、このあたりのパーカーの「油断」ぶりです。いわゆる「舐めプ」がひどいのです。ニックが現れるだろうとサンドラでさえ事前に言っているのに、パーカーはあの空き家で、前日夜からただ「待っている」 銃を持っているニックが来るかもしれないのに、そして来るとわかっていただろうに、なんの備えもしていない。それどころか、二度寝。銃を持ち込めないのはしかたないにしろ、時間はたっぷりあった。なにか、あるでしょう? それが、

「ほらっ、ニック、水だ」 

 殺る気ありました?

 殺る気なかったとしても、ひどい…。

 とはいえパーカー、サンドラに送って来させ、空き家のまわりに車を停めておかないことで、すぐに殺されない対策はしていた。それで寝起きいちばん、再会したニックの第一声が、「あんたの車はどこだ?」

 

 …とまあ、このように、『Dirty~』読み方全体ががらりと変わってきました。    

 

 カムバック後初作品の『エンジェル』と比較すると興味深いです。パーカー、これ、ジョージ・リスだったらどうするの? と。お互いに殺る気満々だった、あの。

 銃なしパーカーVS銃有り、という点が共通です。ひと言もパーカーに助けを求めず、思いつめて銃口を向けるニック。リスには(パーカー、これ、遊んでるんでないかい…?)ってくらい手間をかけたのに、ニックのことは舐めプからの秒殺。

 しかし「本気で殺す人」への対応であったのか、好対照になり得ます。

 

 思えば、「司法取引問題」は、この『エンジェル』から現れはじめていました。いよいよ追いつめられたリスは、パーカーに言います。「俺をほうっておいてくれ」 パーカー「司法取引で俺を売るだろう」 リス「だったら、俺をここから連れ出してくれ」 パーカー「俺にお前は必要ない」

 もうぞっとするレベルの「対照」……。

 次の『ターゲット』、逃走中の事故で動けなくなり、警察に捕まる運命にあった相棒を殺さなかったために、後のトラブルになります。司法取引がなされたのではありませんが、パーカーは「生かしておいたのは間違いだった」という結論を出します。また、パーカーが、悪徳とはいえ、そしてたぶん勤務時間外だったとはいえ、警官を殺した作品の一つでもあります。

『電子の要塞』では、ウィスとエルキンズが、元相棒たちに司法取引で売られそうになるトラブルに見舞われます。

……ところで、あのう、『殺人遊園地』のグロフィールドさんは? 警察にお縄確定だったのに、「殺しておこうかな…?」とは一ミリも考えていませんでしたね、パーカー!

 

 「なぜニックだったのか」問題も、ここで考えさせられます。グロフィールドだったら、さすがに読者やファンが黙っていないでしょう。ハンディだと、さすがにパーカーもなんの心情描写もなく淡々と手は下せないでしょう。エドは、絶対にブレンダが絡んでくるので、ややこしくなりすぎます。ウィス&エルは、ちょっと前に似た問題でもめたばかり。ディヴァーズは、パーカーが裏社会に引き入れたのに、それはないでしょ!…という指摘必至。カーロウは、すでに一度メインザーで司法取引済みだし、無茶はするまい。ワイツアーは、警察に捕まるくらいなら死ぬと昔から宣言しているし、パーカーと同等以上の大男枠はなくせない。ハーリーは引退中。

 これにマクウィットニーとの対照も考えると、ニックかウエッブしかいない。で、ウエッブはパーカーが「好き」とするお気に入り。結果、パーカーがあまりよく知っていない「有能」(パーカーによるほぼ唯一のダリーシア評)に白羽の矢が立てられることに…。

(そしてさらに、『実は生きていた』という展開があったとしたら、最も活きる)

 でも、じゃあ、マクウィットニーだったら? 申し訳ないけど、それではほとんど痛ましさがない。なんならよくある、いつもの展開で終わってしまう。マクウィットニーはちょっと危うい人で、『Dirty~』では裏切り寸前のことも考えていて、パーカーもそれに気づいていた。サンドラに、「俺たちを殺せそうだったら、殺すだろう」とまで言っています。

 もしマクウィットニーが『Dirty~』でニックの立場で描かれたならば……ハービンとキーナンを早急すぎるほど即始末した彼です。一瞬もためらわずにパーカーを殺しにかかったでしょう。「あんたの車はどこだ?」とか考えず。『Dirty~』でパーカーもクレアに言います。「今マクウィットニーがいなくてよかった。サンドラを見るなり殺すだろうから」

 …これ、逆だったら、逆にニック死んでたんじゃないか…? と、すら思えてきます。グロフィールドが撃たれたときみたいに。

 ちょっと話が逸れました。

 したがって、前々作でこれでもかとこき使うレベルで活躍させておいて、非の打ちどころのない相棒を務めさせてからの『Dirty~』という、冷酷非情の鬼展開が描かれた。そうだと思っていました。

 

 けれども、実はまだ、もうひと波乱あったのか…? と、今は考えています。

 

 ニックが実は殺されておらず、生きているとして、マクウィットニーやサンドラは気づいていたんでしょうか? 二人はパーカーがニックを殺した現場を見ていません。そしてどちらもパーカーに「あんたが殺したよね?」と直接尋ねていません。マクウィットニーはおそらく気づいていない。そのときの会話からもうかがえますし、この人は『Nobody~』からずっと、気づかなさすぎて次から次へとトラブルを呼んでしまう人。サンドラは、もしかしたら気づいていたかもしれないけれど、たぶん違う。あれだけ「あんたたちがニックを殺す。墓掘りを手伝ってもいい」と言っていた人が、PART4になると、とたんに「だれも殺さないで」とパーカーにくり返し言います。アナタ、今さらなに言っとるんや…と思わずにいられませんが、死体発見のニュースを聞いて、思うところがあったのかもしれません。死のうと生きようとどっちでもよかったかもしれませんが、ニックの分け前の半分を持っていく以上、恨まれてあとを追いかけられたくはなかったはずです。

 

 『Dirty~』終盤のPART4ですが、VSフランク・ミーニーならまだわかるのですけれど(『電子の要塞』に登場)、オスカー・シドって……、しかもシドは早々にパーカーに始末され、名前も明かされない子分三人が最後の敵って……。

 これ、そもそもマクウィットニーがパーカーに無断でシドに話さなければ、起こるはずのなかったトラブル。その後始末に追われるパーカー。

 ラストにしては、小物相手すぎませんか? せめて名前くらい出してあげても……。

 しかし実は、身分証作り、資金洗浄取引、そしてシドの子分たち……その裏にも実はまだなにかあったとしたら――?

 

 そんな感じの妄想作となりました。本当にごめんなさい。

 

 いや、実のところ四分の三書くまでは、ニック生存の現実的可能性にまったく気づいていなかったあり様でした。元々はパーカーとディヴァーズにあんなにしゃべらせず、どっちとも取れるエンドを考えていました。あまりにもハーリーが報われませんが…。

 ごめんね、トム! 私の分身に仕立て上げたようなもの。でもこの人しかいなかった。プロとして弁明の余地のないアウトをやらかしたニックですが、それでもだれか一人くらい彼のために怒ってもいいだろうと考えた結果が、この駄文でしたから。

 ダリーシアさん、ほかに友だちいないもの。『Dirty~』に「ほとんど電話友だちがいなかったので――」とさえ書かれていたもの。

 駄文中のダリーシアさんはハーリー大好きですが、これは『殺戮の月』で仕事後、「ほかにやることがない」という理由で二週間もハーリーと一緒にいたダリーシアさんサイドにも問題があると思うんですが。冷静に考えて、これもアウトやないですか…?

 …ところで、まさか、二十五作目以降があったとして、本当にやっていないよな、ハーリー? いや、『地獄の分け前』から、なんとなく変な気はしていたんです。なんでパーカーにあんな「大暴れ案件」のヤマを紹介したの、と。

 ニックもパーカーもひと言も言及していませんが、『Nobody~』『Dirty~』で、Hurley(ハーリー)という地名が本当に出ます。つづり同じ。なぜ、あえて? ブリッグスもまさかの再登場だったし、なんのカムバックですか、スターク様! と、びっくりせざるを得ませんでした。

 

 ニックがどうなったのかは永遠の謎。

 そしてパーカーシリーズの面白さも、永遠に走り続けるのでしょう。

 一読者として、これほどの冥利に尽きる体験はありませんでした。心から感謝。

 

 

 

◆◆◆

 

ここまででした。

正直、これを表に上げるかは長いあいだ悩みました。

理由①わかっていた人には今更 ②未読の人にはネタバレ ③そもそも未翻訳の作品 ④間違っていた場合は言うに及ばず

 

だれかの読書の楽しみを奪う権利は絶対にないと思っております。大変申し訳ございません。

 

……ただ、私は上記の件に11年も気づきませんでした。パーカーがただニックを無残に殺したとしか思っていませんでした。

 

今の私は、一読者として、無限のような可能性を感じています。

 

……そんな言い訳をしながら、私が今年の春から夏にかけて書き殴った、一連の『裏・Dirty Money』のようなものが以下です。

 https://www.pixiv.net/member.php?id=46355320

 

どこに需要があるのかはさておき、心の底から楽しんだ時間でした。

今年はこれに尽きます。

 

 

……というわけで、いいかげん今度こそマジで気を済ませたということにして、そろそろ来年に行かねば。

 

皆様、どうぞ良いお年を!

 

 

Dirty Money: A Parker Novel

Dirty Money: A Parker Novel

  • 作者:Richard Stark,Laura Lippman
  • 出版社/メーカー: University of Chicago Press
  • 発売日: 2017/09/08
  • メディア: ペーパーバック
 

 

 

「気づく前の」Dirty Moneyについて。


気づいたその日。

anridd-abananas.hateblo.jp

 

 

年の瀬のBreakout,Breakout,Breakout!

(主に悪党パーカーシリーズの話)

 

個人的、この2019年を支配してくれた二大事件が、

 

西武ライオンズに本格どハマり事件

 

②あのバズーカ運転手絶許事件

 

でした。

 

①に関しては、来年もBreakout(脱出)するどころかどっぷりどハマりし続ける気満々でおるのですが、②に関しては、いいかげんBreakoutしなきゃいけないのに、いつまでもずぶずぶがっつりと憑りつかれている感でいっぱいです。(だから絶許)

 

去年の今ごろも、喜々としてドートマンダーやパーカーの記事をここに書いておりましたっけね。……進歩してないですやん。(苦笑)

 

進歩していないのも②のせいだから! 

 

覚えとけよ! 来年こそは!(なにが)

 

というわけで(?)、本日は悪党パーカーシリーズの未翻訳作『Breakout』の話をさせてください。

 

(※全体の三分の一あまりと、シリーズの他作品についてもネタバレしながら書きますので、避けたい方はお戻りください)

 

 

Breakout: A Parker Novel (English Edition)

Breakout: A Parker Novel (English Edition)

  • 作者:Richard Stark
  • 出版社/メーカー: Quercus
  • 発売日: 2008/04/03
  • メディア: Kindle
 

 

 

 

<以下、抜粋。2007年に書いたノートより>

 

~~

 

2007年2月、ついにニューヨーク旅行を決行! ウエストレイク氏の小説の舞台である国、その中心都市に念願の訪問! ドートマンダー&メイ宅があるとされる東16丁目のかなり近くに宿泊し、気ままに街を散策。(※実態は、記事の最後の過去記事より) そして本探しをする。残念ながら日本で絶版の本はアメリカでも絶版らしく、それほど多くは手に入らなかったが(※2019年現在、原著はずっと手に入りやすい。シリーズ刊行されてる!)、それでもパーカーシリーズ『Breakout』(バーンズ&ノーブル)とグロフィールドシリーズ『Lemons Never Lie』をゲット! 木村仁良氏がドートマンダーシリーズの解説で書いていたパートナーズ&クライムで。これだけでも行ってきた甲斐があるというもの。『Lemons~』は翻訳を読んでいるが、『Breakout』は未読&未訳の作品。これで刊行されているパーカーシリーズは全部読破になる!

(↑で、最後に残ったのが、やっぱりあの『Dirty Money』)

 

 

 ホテルと帰りの飛行機の中で読んだ『Breakout』。chap1で、仲間のミスにより、いきなり警察に捕まるパーカー。裁判待ちの一時収容所に送られる。警察のご厄介になるとは、シリーズ第1作目以来の一大事である。その当時のロナルド・キャスパーと名乗る脱獄囚&刑務官殺害犯と照合され、カリフォルニア州から身柄引き渡しの要請が来る。さらにチャールズ・ウィリス、エド・リンチなどの偽名、さらにファーストネーム不明のパーカーという謎の名前まで知られてしまい、これは最大のピンチ!?となる。まだ比較的警備の厳しくないこの収容所にいるうちに急ぎ脱獄を企てるパーカー。しかしパーカーを調べる刑事ターリーは、これまでこの刑務所からの脱獄者はゼロだと警告する。

 脱獄するためには信頼できる仲間が必要とパーカーが考えていたところに、なんとパーカーの妹の元夫を名乗るエド・マッキー参上! 曰く、以前『エンジェル(Comeback)』の話の中で、ジョージ・リスの裏切りを片づけたパーカーに命を救われ、借りができたと考えていたから駆けつけたらしい。プロのシビアさを持ちながらも義理堅い男エド。以前もいい奴だからグロフィールドを見捨てられないと言っていたしね。…しかし当のその『エンジェル』ではパーカーを置いて帰ろうとしていなかったっけ……?

 あのとき、パーカーは別にエドに恩を着せたつもりはなく、エドを助けることは自分の身を守ることであるからそうしたというだけだったのだが、ともかくこの援助の申し出をありがたく受けることにする。パーカーに「感謝する」と言わしめたのは、仲間史上初じゃないのか、エド!? エドは面会に来ながら、パーカーのムショ仲間で信頼できる奴とできない奴を調べ上げ、パーカーに伝える。もちろんエドの近くには、いつものようにブレンダが待機しているが、今回はついにエド・マッキー不死身の秘密が明らかになった!!

 

(中略)

 

(不死身とは、第15作『掠奪軍団』で「死んだ」とされたのに、次の『殺戮の月』でひと言の弁明もなく元気いっぱいに登場したエドのこと。あのときの傷がどうとかさえ言わない。歴代相棒たちの災難ぶりを思い返すと、こう評すしかない…)

(しかもこの人、最終作の『Dirty Money』でさえ――)

(グロフィールド、あんたがパーカーを助けに来なさいよっ、とでも言いたくなるが、今回は実のところ、どうしてもこのエドでなければ成立しないプロット)

 

 ともかく、半分パーカーが珍しく捕まっているのを面白がって来たんじゃないかと怪しんだが、エドはいたって真面目に――いや、いつも真面目じゃないとは言わないが――パーカー脱出の手筈を整える。

 エドの情報を基に、パーカーは獄中で二人の男を仲間に引き入れる。一人は妹の彼氏をしぶしぶ仲間に加えて仕事をしたために囚人になってしまった、黒人のブランドン・ウィリアムズ。そして白人のトム・マーカントニー。わりと人の良いウィリアムズは人種偏見のないパーカーに好感を持つが、マーカントニーは黒人を信頼することを渋る。それでもともかく三人は協力し合うことに決めるが、そこへジェネリクという別の囚人が声をかけてくる。ジェネリクは自分の罪を少しでも軽くするためにパーカーたちに近づき、警官たちに売ろうと考えていた。さっそく邪魔者発生――。

 

(中略)

 

 未舗装の道を、エドの殺人的運転で突っ走る。ヴァンの中には、トム・マーカントニーの友人フィル・コラスキーとジャック・アンジオニがいた。彼らには、脱獄に成功した後にやりたい仕事があった。このメンバーでそのまま仕事に取りかかろうと誘う。パーカーとしては、次の仕事なんかせずに、さっさとこの土地から離れたいと思っているのだが、すでにエドが仲間に入っている様子で、「お前は気に入らないだろうと思っていたよ。でも悪い話じゃないんだ。問題なしにやれるぜ」……エド・マッキーがアンディー・ケルプに見える。

 

(中略)

 

 一方、エドの幸運の女神ブレンダは、仕事には加わらないが、エドは危なっかしい、特にパーカーと仕事をする時はなおさら危ないから、と恋人の背後に気を配ってあげるべく、密かに行動を始めていた。エドから誕生日プレゼントにもらった身分証(年齢1歳サバ読み)を使い、仕事場近くのスタジオでエクササイズのクラスに参加する。だがスタジオの女オーナーが、スリムで若くて美しくてちっともエクササイズする必要のない様子で、しかも現金一括払いをしてきたブレンダに目をつけていた…。

 

 

~~

 

過去の自分引用は、ここまでにします。諸々失礼しました。

 

いや、わりと本気で、私でよかったら翻訳したいんですが……(ど素人)(そしてちゃんと読んでいなかったがために「11年目の真実」へ…)

 

果たして、エド・マッキーの不死身伝説は続くのか。

 

そしてパーカーを「キャスパー」と呼ぶターリー刑事との結末もまた必見です。『人狩り』以来初めて、ロナルド・キャスパー(整形前)がパーカーと一致させられてしまうのだから。

 

また、

 

ウィリアムズ

 「Breakoutしようと思わないどこかへ行く」

 

ニック

 「走るのをやめられる場所に行く」(※From 22.Nobody Runs Forever to 24.Dirty Money

 

という、相棒たちがタイトルを回収していくスタイルもまた、ニクいですね。

 

 

にくったらしいですね!!!(2019年の愛憎集大成)

 

 

次回、この1年の締めくくりに、あの「長いあとがき」を表に出します。

 

 

勝手ながらのシリーズのリスト。

 

 

ドートマンダー・ファンによるニューヨーク旅行。


11年目にして思い至る。

anridd-abananas.hateblo.jp

 

※※※

当方の駄文――ファンフィクションはこちら。
ドートマンダー・シリーズ:
『エメラルド始末記』『ファースト・ネーム』『ココナッツと蜘蛛』『エキストラとスタントマン』
悪党パーカー・シリーズ:
『哀歌』『最終作Dirty Moneyについての考察』『アフターワールド』『ラスト・デイズ』『ダーティー・ゴールド』『ライン』
※※※

ティベリウス帝ファンの、ウェレイユス・パテルクルスさん

の、著作が邦訳されていることに、今年になってようやく気づきまして、二ヶ月ばかり前に購入しました。

…オーディオブックの『Get Real』を返品せざるを得なかったんですが、そのときのアマギブ(って言うんですね、初めて知りました。アマゾン・ギフトカード)を使って。

…いや、返品じゃなくて本当はちゃんと聞こえるやつと交換して欲しかったんですけど。でもケルプさんの大活躍シーンはなんとかかんとか――(その話はまた別のときに)

 

『ローマ世界の歴史』 

ローマ世界の歴史 (西洋古典叢書)

ローマ世界の歴史 (西洋古典叢書)

 

 

ええ、一応、最初の拙著を書く前に、英訳版を読んではいました。

ラテン語ギリシア語も勉強不足ゆえ読める域に至っていないのですが、それでもティベリウス帝の大ファンである彼の著作に目を通さずにはいられまい、と。

「いや、ラテン語に感嘆符はないんですけどね。なんだかつけざるを得なくて……」みたいな注釈かあとがきを目にした気が……。

 

ローマ人の物語』の塩野先生は、パテルクルスの本を引用する際、批判を加えてはおりませんが、彼の著作は「ティベリウス帝へのおべっか」と読まれることがあり、あまり評価が高くないようです。少なくともかのタキトゥス年代記』と比べたならば。また、謎の長すぎる会話&演説シーンがあることをさておけば、詳細このうえもないカッシウス・ディオの著作と比べたならば。そして読み物としてならば、かのゴシップのプロ・スエトニウス大先生と比べたならば。

 

タキトゥスは、ティベリウス大嫌い、むしろ帝政大嫌い主義者……であることを『年代記』の冒頭で上品に否定しておられますが、後世著作を読んだナポレオンが激怒したとかしないとか言われるほどの、「悪意」があるようにしか…。

歴史家・作家としての腕が一流であったからこそ、なおさら

後に同名の皇帝が登場しなければ、タキトゥスの作品は残らなかったという評もありますが、いや、それはそれで過小評価すぎるのでしょう。古代の作品が中世以降残るか否かは、無論運に拠るところも大きいですが、やはり優れた作品・興味深くて愛読された作品は、残る可能性が当然高くなるのでしょう。

タキトゥスの『年代記』を読んでいますと、ティベリウス・パートは「相手にとって不足なぁーーーーしっ!!」みたいな気合いを感じるのですが、次のカリグラ以降になると「…物足りん。ひと捻りなんだが」みたいな雰囲気を読み取ってしまうのは気のせいでしょうか。

実際、タキトゥスティベリウスをはっきり「有能」と書きます。なんなら「有能! 超有能! 無能なせいで失敗したことは一度もない」みたいなことさえ書いています。

…それなのに、なんでこう、冷たく厳しい書き方をするのか。

有能だけど、性格とやり方とあとなにより皇帝であることが気に食わない……ということなのでしょうか。

 

話を戻しますと、最初にパテルクルスの本(英訳)を読む前、私は「ティベリウスに批判的な本ばかりが実態に近いものとして重宝されるのなら、称賛している本をそれだけでおべっかまみれの信ぴょう性の低いものを見なすのは、不公平ではないか」と思っていました。

なにしろ、パテルクルスはティベリウスその人を直に見ているのだから。タキトゥスもスエトニウスもカッシウス・ディオも見ていないティベリウス本人を見て、その部下として戦役に加わっていたのだから。

いや、だからこそ、存命中の人、しかも権力者を悪く書けるはずがない、というのもわかります。タキトゥスだって『年代記』は憎きドミティアヌスが没した後で書いたでしょう。当人が生きているあいだに書く勇気がある人なんてほぼ皆無。おそらくドミティアヌス憎しの念が、かの人の尊敬する先帝ティベリウスを腕によりをかけてやっつけてやろうという意気につながったのでは。

だから、つまり、パテルクルスは逆に、時の権力者に取り入りたくて、書いた。

いや、しかし、くり返しますが、パテルクルスはティベリウスの配下の幕僚です。初代皇帝アウグストゥスが在位のときのパンノニア戦役を生き延び、将軍ティベリウスの労苦を直に見てきた人です。アウグストゥスの没年には法務官に推薦されたと書いていますから、元老院議員でもあった。およそ二十年、ティベリウスを見ていた人です。

そんな人の言葉を「阿諛追従」のひと言で片づけては、あまりにも公正でない。

そりゃあね、普通の人間がプロフェッショナル・タキトゥスに文章力でかなうはずがありません。

ましてパテルクルスは、友人の執政官へ捧げるために著作を書いた。それを素直に取るならば、彼の本はある意味「内輪」の作品だったのでは。実際パテルクルス自身、「正式の著作はあとで書くから」という断り書きを、何度か入れています。作家業において、まだ自分がアマチュアであることはわかっていた。

したがって、本の文章レベルにおいてタキトゥスに及ばないからといって、時の権力者への称賛にあふれているからといって、パテルクルスの本の内容の信ぴょう性をすべて疑って顧みもしないのは、どうなんだ……。

そう思っていました。

 

 

で、前置きが長くなりましたが、いざいざ実際に英訳を読んでみたときの、個人的所感なんですがね。

 

 

「……あ、ああ、うん……、テンション高いな、この人」

 

 

内心:(これ、おべっか大嫌いのティベリウスがもし読んだら、逆に気を悪くして粛清されるんじゃない…?)

 

 

という、前置きまでの弁護がちょっと(?)揺らいでしまうような感を抱いたものでした。

 

パテルクルスの消息は、後29年でぷつりと途絶え、以後どの人も彼に言及することがありません。

友人ウィキニウスの執政官職が、後30年。

そして後31年が、かの悪名高いセイヤヌスが粛清された年です。そのセイヤヌスを――元老院ではすでにかなり嫌われ者だったセイヤヌスを、著書の中でかなり称賛していたのがパテルクルスです。だから、彼はセイヤヌス派として巻き添えで粛清されたのでは、という見方が有力とされます。

いや、しかし、まあ……セイヤヌスが、やったことをさて置けば(※置けないレベル)、側近として有能だったのは間違いないですし、性格も、友人らに対しては快活で面白かっただろうとも思います。

有能だったからこそ、ティベリウスはぎりぎりまで重用した。

パテルクルスにしてみれば、同じ年頃で、あちこち一緒に随行して歩き、同期の出世頭みたいだったセイヤヌスに対して、称賛する要素はいっぱいあったのでしょう。

そして自分としても、法務官の次は執政官になりたいと、野心を抱くのもまた当然。

だからといって、著作に嘘八百の阿諛追従を書いたわけではない。

 

……が、それにしてもテンション高いな、この人。感嘆符つけまくらざるを得なかった英訳者の気持ちがわかる気がすると言いますか。アウグストゥスの最期を看取るシーンには、「beloved Tiberius」と。

 

おべっか大嫌いのティベリウス、さらにセイヤヌスの粛清直後だったことを考えると、パテルクルス巻き添えの可能性は低くはないと考えざるを得ない。

というか、そもそもどこまでがティベリウスの命令の粛清だったのか。元老院が勝手についでに処刑してしまった人もいたんじゃないか。そして責任/咎は全部皇帝にいく……。

 

しかししかし、ともかく、ちょっとパテルクルスの熱烈さに引いてしまったところもあったこの一読者ですが、やっぱりありがたいというのが第一。だってなにしろ、何度でも言いますが、この人はティベリウスを直に見た人なのだから。総司令官用の輿も使わせてもらって、凱旋式にまで参列した人なのだから。

もう私、生まれ変わったらマジでパテルクルスになりたいんですが(時を大逆行)。粛清?されてもいいです。しゃーない。きっと悔いはない。

できることなら、「正式の著作」という名のティベリウス帝への盛大なラブレターを書き殴ってから逝きたい、というぐらいか。

 

パテルクルスに文句があるとすれば、本当にもうどうして「正式の著作」を書かなかったのか、後代に残らなかったのか、という一事に尽きます。

あなたが書かないで、だれが書くの!? 

 

ティベリウス様という人はね、「〇〇の会戦」みたいな一発勝負の決戦の機会に恵まれず、ひたすらゲリラ戦法の敵という最も困難な相手と戦い続け、ために将軍としてきわめて優れているのに後代の歴史では顧みられず、歴史マニアたちが「名将といえば?」なんて語り合うときにはまず取り上げられることがないという不運に遭っているのですよ。(たぶん、あの方にはそれはどうでもよいことでしょうけど)

だからっ! パンノニア戦役をその真っ只中で見てきたパテルクルスさん! あなたが書かないで、だれが書けるというんですか!?

ただでさえ、VSゲリラ戦法の蛮族だからか、戦そのものが詳細に語られている資料が少ないんですよ。でも、あなただったら書けるでしょう! 書いて! タキトゥスにかなわなくていいから、とにかく書いて! できるだけ長く詳しく書いて!(強要)

 

……それでも、まあ、書いてくださってはいます、もちろん。ただ、もっと書けると思うし、本人にも書く気はあっただろうに、と。

その前にやはり粛清されてしまったんでしょうか…。だとしたらティベリウス様、もったいないことを……いや、かの帝の御心を思えば、粛清したくもなるかもです。

 

カッシウス・ディオは、タキトゥスやスエトニウスのように、ティベリウスへの(噂、妄想込み込みの)批判はしていませんが、かの人が非常に難しい性格だったということは記しています。なんというか、親しい人へほど非情で、距離が遠い人へほど思いやりがある、というような。要は、本当に自分にすり寄ってくるおべっか使いが嫌いだったんでしょう。人間不信がひどくなってからは、まして。

 

 

そして、肝心の邦訳版でございますが、私が最初に感じた英訳版よりは、テンションを押さえられているように感じました。案外、控えめ。読みやすい。そして、トロイヤ戦争から後29年までの歴史を、一冊の本にまとめて形にできているとは、パテルクルスもまた一種の天才ではないかと思うのでした。簡潔明快に要約できるのもまた才能でしょう。しかもその作品が、評価はともかく後世に残るのだから、つくづくうらやましい……。

 

ちゃんと「正式の著作」を書いてよ!と言いながら、わたくしめは、残っているこの著書も英訳版でちゃんと読んでいたか怪しいという事実。(オマエ、いいかげんにしろ!)

 

たとえば、ティベリウス将軍御年49歳、「自ら武器を取って」バトルinパンノニア戦役

 

やめて! ティベリ様! さすが! ティベリ様! アラフィフだろうと総司令官だろうと皇太子だろうと自ら敵とバトル!

部下のパテルクルスさんが見ていますよ、ティベリ様! 自分の輿を彼に貸してあげて、代わりに参戦ですか! アウグストゥスが知ったら卒倒ものではないのですか、ティベリ様!?

 

そういえばですがティベリ様! スエトニウス先生が書いておられましたが、御年77ぐらいのときに、槍投げしたって本当ですか!? それで腰を派手に痛めて死の床に伏せったみたいな流れになっておりますが、どれだけ体力に自信があったのですか、ティベリ様! 引きこもりなのに!!(←)

年を考えてください、ティベリウス様!!!

 

……また話が逸れました。でももしこれが事実だとしたら、勝手ながら、ちょっとした晩年の救いに思えます。人前で槍投げするくらいには、お元気でいらっしゃった。

 

さて、戻りまして、パテルクルスの著書の信ぴょう性についてですが、

たとえば、塩野先生も取り上げていらっしゃる、ティベリウスの軍務復帰の場面。歓喜した部下たちが叫びます。

アルメニアで、ラエティアであなたと一緒でした」「ウィンデキリアで、パンノニアで、ゲルマニアであなたから勲章を受けたのです」

……アルメニアは20年以上前です。そのとき新兵だったとして、このゲルマニア遠征時代にはとっくに退役していなければならない。

パテルクルスは将軍ティベリウスの経歴を引いて、ただ称賛のために並べたのでしょうか。それとも実際に、遠征の道すがら、植民市から退役兵たちが駆けつけたのでしょうか。あるいはもしや退役兵たちまでが召集された遠征だったのでしょうか。もしやローマ軍団兵ではなく、補助兵だったのか(兵役25年)。それとも、後にそれが一因で反乱が起こるように、実は退役時期になっても退役できなかった兵たちがいたのでしょうか…。

 

真相はわかりかねますが、私にはパテルクルスがわざわざなかったことを書いたとは思えないのです。きっとティベリウスの現場復帰を兵たちが喜んだのは事実。パテルクルスにしてみれば、初めてティベリウスの下についた時です。そこでその将軍がどれほどの感激で迎えられているかを見て、彼もまた感激したに違いない。

軍人としての彼が書いたティベリウスの姿は事実であった。上官が有能かどうかは部下の死活問題のはずですから。続くパンノニア戦役、さらにはテウトブルクの惨劇のあとのゲルマニア――それによってパテルクルスは、ティベリウスへの絶対の忠誠と崇拝心を抱いたのでは。

少なくとも軍人としての彼は、信じたい。

 

あと、マルケルスのことを「陽気な」、弟のドルーススのことも同様に(英訳版ではどちらもcheerfulだった気が…)書いていながら、ティベリウスに対しては絶対に同類の形容詞を使わないあたり、やはり信頼できると思いませんか。もしもティベリウスを「明るく陽気で、だれにでも気さくに話しかける人だった」「笑顔が絶えず、愛想の良い人だった」なんて書いてあったら、もうアウトですけれど。

邦訳では、ドルーススのことを「体の美しさ」(英訳:personal beauty=肉体・容姿の美しさ)だけがティベリウスに次ぐ、と書いてあったので、弟と比較してティベリウスがイケメン(←)であったことを、パテルクルスは記しています。(が、たぶん彼はドルーススのことは直に見ていない)私も以前、ローマ史を知らない知人男性に、だれとも言わず平和の祭壇にあった胸像などを見せたことがあったのですが、ティベリウスの像を「彼、イケメンですね」と、その方はおっしゃいました。極めて愛想がないので女性人気はなかったそうですが、ティベリ様は容姿がまこと一級であったとみて間違いない…。だからパテルクルスはなにも間違っていない…。

 

歴史を実に簡略に描きつつも、人物評もどんどん書き込んでいったパテルクルスですが、アウグストゥスの孫のガイウス・カエサルのことを、ちょっとだけですが、批判的に書いています。すでに亡き人とはいえ、カエサル家の人であっても。

彼がカエサル家関係者以外でとりわけ絶賛していたのは、キケロでしょう。欠点はすべて無視で、このうえもなく尊敬しているのがわかります。作家としての彼の究極の目標、あるいは手の届かないほど崇める存在だったのかもしれません。

 

だからマジで正式の著作を書いてくださいよ、パテルクルスさん。

 

なんでだれも書いてくれないんでしょうね。それとも、不運にも後世に残らなかったということですかね、ティベリ様。

歴史家皇帝クラウディウスの著作や、マウリタニアのユバ王の膨大な著作さえ、残っていないのですからねぇ……。

どっかでなんとか発掘されないかしら……。(本という媒体的に、無理でしょうなぁ…)

 

お礼に伺ったつもりが、さらに頂戴してしまう。

 

……という、大変恐縮ながら、感激で踊りまわるような出来事がございました。

 

(久々の古代ローマ関連話)

 

古代ローマ好き&創作の同志様である、いたる様(itaru068)が、拙著の一場面を描いてくださいました。こちら↓

 

ティベリウスとアグリッパ

 https://twitter.com/itaru068/status/1202491124159406080

 https://twitter.com/itaru068/status/1202587003230932992

 

さらに、ティベリウスとマルケルス

 https://twitter.com/itaru068/status/1205140689824038912

 

すみません、自分がツイッターアカウントを持っていないとツイートの見える形で引用できないらしいので、この場ではスクリーンショットを掲載させていただきます。


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書いたイメージそのままの世界が広がっておりました。いや、書いたもの越えです。

こちらから一切注文をつけたのでもないのに、どうしてこう、これ以上ない再現度と申しますか、自分が見たかった光景が形になって、現実になるということが起こるのか。

どれほど真剣に読み込んでくださったのか。ちゃんとブッラまで下げている。アグリッパまで包帯巻いてる! ミイラごっこってなに? 謎すぎる言い訳!(←小説書いたのはオマエ)

マルケルスなにこんなにかわいかったの? こっちへおいで……(※そしてセクハラ事案へ←)

むしろもはや、あの小説を書いたのもいたるさんで、私はただ妄想していただけではないのか。(おい)

 

なんか、なにを書いても自分がおこがましいように思えて、本当になんてお礼を述べたらいいかわからないのですが、

「……そうか、自分の書いたものが漫画化やアニメ化する喜びとは、これほどのものなのか」

「自分で書いていたら(←才無し挫折済み)、この喜びは決して味わうことがなかっただろう」

という思いでおります。

 

いたる様、本当にありがとうございます!!!

 

いたる様はツイッターのほかホームページでも、素敵な古代ローマをはじめ歴史関連の創作をたくさんなさっています。

https://senr068.wixsite.com/ser068

とくにアグリッパ、オクタヴィアヌスとその家族、そしてvsセクトゥス・ポンペイウスを描いた作品は必見でございます。登場人物それぞれもわかりやすく示され、シチリア戦争やアクティウムの海戦も非常にわかりやすく、そして面白く、漫画で描いておられます。「有能かアァァッッ!!」とわたくしめもオクタとともに叫びたいよ、あぐりん(重要なのは、その台詞のさらに左のアルファベットたち)。ぜひ。

 

 

……私も次に取りかからねば。(結局この期に及んで一行も書いていないってマジか…)

 

い、一応この続きから…みたいな予定で↓、あ、あらすじだけならもう書けるんだ…(いいから書き出せ) 

 

anridd-abananas.hateblo.jp

 

 

 

 

生還報告fromファンミ(2019)

(10分以上起動しない、寿命間近のPCより投稿)

 

……4年連続で行くとかどんだけ幸せ者なんだお前は!!!

 

正直に言えば、今年は例年ほどファン活動/推し活動をしきれなかった感があるから、なんだか申し訳ないような気持ちがありました。それでも舞台は3公演行けたか。…ただドラマや映画方面が、あれほどの絶え間なく膨大な露出を供給されていながら、追いかけきれなかった…。

(原因は引きこもりがち&昼夜逆転生活、それにともなう?メンタル力低下、パソコンの老化、そして西武ライオンズどハマり事件←)

 

それなのに今年も無事に行って、帰ってきまして、そしてあらためて気づきましたのは、自分に必要なもの。

その1:CUE

その2:笑い

その3:日照

……いや、その3はファンミ終了後の翌朝のことなのですが、札幌の朝が(まるですでに大泉さんが北の大地から出立されたことを物語っているかのような)雲一つない快晴でして、あまりのまぶしさに窓を直視できないほどだったのでした。

思えば、ただでさえ日照時間が少ない我が地元、青空なんて何日ぶりに見たことか。それに加えて今年に入ってさらにひどくなった個人的昼夜逆転生活、人様が起床して出勤準備するような時間になんとか強引に寝る(しかもそんな時間までこれといってなにをやっているわけでもない)…なんて生活をしていたら、そりゃあこの時期だと太陽を拝む時間なんて皆無に近くなって当たり前。

そして気分が塞ぐのも当たり前だった、と思い知りました。

いや、やっぱ自分の努力とか気の持ちようだけでどうなるもんでもなかったですわ。人間、陽の光を浴びないとマジで憂鬱まっしぐらになるんですな。一応、かつてガチの引きこもり&通院経験があるくせに、あらためてこれを認識しましたわ。

自然のサイクルを甘く見ちゃいけない。

帰ってきたら、今のところ信じられないくらい、身も心も軽い…。

ところで、天気予報はこの先一週間晴れマークなしですやん……(陰・鬱・暗上等世界へ無事回帰不可避)。

 

まあ、そんな話はさておくとして、

 

……ところでリーダー! 晴れ男グランプリなんて話初耳でしたわ! いつどこでそんな大会が!? 告知見逃した? 4位ですって!? 十分すごいですが、トップ・スリーにランクインするほどの票は、CUEファン持っていましてよ!

 

そんなこんなで、日照のおかげか、そしてもちろんCUEの皆様にお会いして大いに笑ってハイタッチできたおかげか、すっかりパワー充電して戻ってきました。

いや、行かなきゃヤバかったかもな。とうとう仕事行けなくなっていたかもな…。(上記のような、オマエ本当に仕事しているのか、という生活ぶり)(仕事は好き)

 

さて、無駄に前置きが長くなりましたが、以下、覚書でございます。記憶違い等いいかげんなところ多々有る可能性、ご容赦願います。

 

 

上記のごとき生活ぶりで、会場に着いたのもぎりぎり&へとへとだったわたくしめ(with母)は、あれだけ大好きな後藤産業入社試験を受けられず。(…無念。しかし「仕事以外で頭使いたくねぇ! てか使い物にならんし!」という末期症状だった…)

最終日の夜でしたが、会場じゅうに散っておられる受験者の皆様を見、その盛況ぶりに感嘆するばかり。

どんだけ新入社員を迎える気ですか! さすが景気いいですな、利喜男様!

どの道、私は今どきラインすらやっていないという超絶偏屈人間(※ただ友だちいないだけ)だから、参加できんかっただろうなぁ…。

 

しかしそんなわたくしも、グッズ売り場の列に並んでいると、体に染みついたウマシカ魂が呼びさまされ、外に出るころには脳内サンバde金持ちエンドレスリピート状態。次々甦るCUEの名曲たち。

思い出せ! お前はなんのためにここへ来た…! 今日まで一体なにを楽しみに生きてきたのだ…!

大急ぎで展示も見学し、身なりを整え、なんとか時間どおり会場入りしました。

そしてフードファイト開始。いくら憂鬱沼に沈もうと食欲は落ちない。(つまり、結局たぶん重症ではない)

横で母がどの順番でユニットが登場するか予想し始める。それがほぼ当たる形で、皆様が登場される。

ヤスーダ様がオクラさんを引き連れてご登場されるのは、去年とまったく同じで、藤尾さんがしきりに注意喚起しているところまで完全にデジャビュでしたが、河野さんがとんでもないお姿をしておられました。紐でつながれてまでいました…。それが眼前を通っていかれるという、衝撃の一瞬。

しかしながら、ステージではカワーノさんにセンターを譲り、とても楽しそうにギターかき鳴らす安田さん。

つくづくですが、あの方、イケメンすぎませんか。(憤怒)(でなくて崇拝)この日がなんと46歳のお誕生日だったのですよ。おめでとうございます。

「今日はシノさんではなくシゲさん」、ミスター・ファンミーティングはすっかりいつもの我らが絶好調シゲさん、しかしいちだんと輝きを増して、年を重ねるたびに若くなりすぎなお姿を、現実に見せてくださいました。引き連れているネクステ・トザくんの髪型が、今回いちばん際だっておりましたな。

エイプリル北川低音ボイスアゲインとホラー映画さながらの大回転(違う!)、さらにノヴェンバー森崎の超ハンサムな決め顔連発頂戴しました。これはハンサム陣に負けないぜ。

タクマ&ヨウ、もはや競い合うようにしゃべりまくりながら、トリに華々しく登場。……しかしダンディー・オトサマのビジュアルが谷村さ……! いや、知っていましたけども! 昔から! 似ているのは! すでに二十代のころからモノマネしてらっしゃった。

 

ショーの序盤しばらく、座席の関係か、私の耳がどうかしたのか、ヨウさんのマイクのお声が、しばし聞き取りにくい状況でした。隣の母はそんなことなかったらしいので、たぶん後者でしょう。

お二人! どうかぜひ来年9月のジャンボリーは、このままデュオで新曲歌ってくだされ!プリーズ!と胸中何度も願いました。

 

早くも序盤のゲーム・パートでクライマックスを迎える最終日のファンミ。

 

昔テレビ番組であった「年の差クイズ」で、河野チームと藤尾チームに分かれてバトルをするわけですが、

トザくんの絶妙な似顔絵もさることながら、

藤尾チームの後列に座していた最強四天王

大先輩のナックス4・3・5もお手上げ状態。

 

大泉さん「うちのレジェンド

 

よりによってなぜこのような最強布陣に分かれてしまわれたのか。前4公演では一体どのような事態がくり広げられていたのか。

島くんお一人だけならば、おそらく想定されていたことだったのでしょう。ところがここに安保くんが加わり、大泉大先輩曰く「NORDのヤバいほう」が集まる結果に。

さらにはネクステの「ヤバいほう」…思い返せばキューモバの「フィッシング駆け込み寺」ですでに伝説を造り上げていた佐藤くんまで配置され、李苑ちゃんは……まあ、しかたがない。

…というか、昭和生まれの私でさえ、芸能に疎いのでわからないことは多い。Kinki Kidsがわからなくて馬鹿にされた小学生時代の思い出……。

 

しかし李苑ちゃん「キムラー」、安保くん「レスラー」、佐藤くん「サワムラー」、島くん「ヒ〇ラー」

 

島くんに至っては、もうイジることさえできかねる回答でした。

 

これではもうなにをやってもかなわないと降参する大先輩がた。

 

CUEさんがまた新たなるレジェンドを生み出してしまわれた瞬間でした。

佐藤くんのサワムラーポケモンかららしく、…そういえば、いたなぁ。

 

ゲームはやはり同点となってからの、リーダーVSオトサマのあっちむいてホイ対決となり、やはりやはりの西高校歌斉唱。もうお二人が進み出て来られた瞬間に察せられるシナリオ。

 

しかし、この最終回に至るまで散々負け続けたのか、ヨウさんがオトサマに「いいか、オマエは指がこうなったらそのまんまそっちを向く癖があるからな! めちゃくちゃ弱いんだからな! 気をつけろよ!」と言い聞かせられている一幕が、お兄ちゃんと弟感があってかわゆすぎました。

勝負はまさかのオトサマ、じゃんけんで勝利してリーダーを一発で仕留める。あっち向いてホイに持ち込まない。

ところがこの後なぜか再戦となり、大泉さんの危惧どおり瞬殺されるオトサマ。かわゆすぎ&素直すぎですか!

 

大いに笑ったゲーム・パートのあとは、恒例の抽選会に。

安田さんがステージから飛び下りてファンサしたのが始まりだったように記憶していますが、ステージをよじ登ろうとして叶わず、河野さん(上半身ヌード)に抱き上げられて戻られました。その際「抱っこ! 抱っこ!」とばかりに両腕をかざしてあざとかわゆいアピールするのが合図となり、その後抽選会でご指名されたメンバーが次から次へと同じことをくり返すのでした。

愛され河野さんは、たぶん十回近くステージ上から先輩がたを抱き上げることをくり返し、しまいにはへとへとに。でも会長、大泉さん、そしてリーダーと比較的大柄な方々をも抱き上げられる。

私などは河野さんが腰でも痛めやしないか、いつか二人まとめてステージから転げ落ちやしないかと、ちょっと心配になりましたが、一方ではそれなりの経験を積んだCUEファンですので、もっとやって、やらいでか、みたいな気持ちで楽しんでおりました。

シゲさんだったと思いますが、さすがに河野さんが気の毒になったのか、三回目くらいから自ら上がられました。

そう、この回の抽選はシゲさん大人気で、三連続で指名というハットトリック達成! おっさんずラブ効果!? しかしながら戸次節全開で、壇上に来られるファンの方々にラピュタカリオストロ等の台詞を強要なさる(笑)。中には絶妙に上手くできた方がいらして、シゲさん感動なさる。

来年はファンクラブツアーも実現するとのこと。そう、あれほどに「くにこはしバスツアー」を楽しみまくり、うらやましがっていたシゲさんのこと、「ツアーは絶対に残念にしない!」と宣言しておられましたが、これはどうなることか、楽しみすぎますな。

 

本年のファンミ、ゴルゴ・パート(2&4)は、ヨウさんの抽選でケンさんファンが登場し、ケンさん、ヨウさんをがっつり締め落として颯爽と駆けつける……でございました。ヨウさんしばらく動けておりませんでした。

ここまでの諸々のデータによりますと、もうヨウさん抽選でケンさん指名、ケンさん抽選でヨウさん指名で、お二人のバイオレンスな絡みが見られることは確定のように思われますので、当選された方はいざぜひ勇気を持って、眼前で因縁の大バトルをば――(余計なお世話じゃ)

 

わたくしのデジカメは、写真撮影パートにて無事容量オーバーという昇天を迎えました。(いや、こたびのファンミのみの写真でオーバーしたのではありませんけども…)

ですが、思い残すことはありません。

 

河野さんは、最後の挨拶までずっとあの格好のままでございました。風邪引かれなかったでしょうか。母などは、翌朝6時過ぎ、イチモニに出演される河野さんを見届けました。(わたくしめはそんなに早起きできるわけがなく…)

藤尾さんは、もはや今日は河野デーとばかりにぶん投げ状態でございました。でも、とある件でぷんすか怒っておられたヨウさんを、すかさずフォローされるところなどさすがの気配りと繊細な真面目さでした。

 

オトサマが朝ドラのナックスさん全出演に触れる役を引き受けられたようで、放送前の会見では「(全員出演を)なんとか阻止したい」とかおっしゃっていたのに、やっぱりうれしそうで。

安田さんは誕生日お祝いのケーキを前に、いつもより饒舌にしゃべってくださり、リーダーの挨拶に「おいー!」と何度も割って入ってすり寄ってと、もうワンツーラブラブぶりを隠そうともせず。(いつもより声が出せない状態のリーダーにあまり無理をさせたくなかったのかな…)

リーダーはファンに心配をかけないように話してくださりつつ、こたびはいつにもまして声の分はヴィジュアルで、とばかりに決め顔と笑顔をくださり、

会長からは……要約となりますが「Nobody Runs Forever」というお言葉をいただきました。

 

……いやまさか、この2019年の個人的運命を狂わされたと言っても過言ではないその言葉に、ファンミのラスト出くわすことになろうとは思ってもみませんでした。

おっしゃることが、こうなってはよくわかる気がいたします。

そう、永遠に走り続けることはできません。

しかし、ならば、どうする……?

 

(フラッシュバック)

 

――某運転手「走るのをやめられる場所に行く」

――パーカーは彼が走り続けるのをやめられる唯一の方法を知っていたが――

 

やめてーーーーー!!!

 

(がばっ)

 

……いや、引きこもりがちだ塞ぎがちだと言いながらも、なんだかんだ忘れがたい、楽しい一年でした。

 

皆様と笑顔でハイタッチを果たしたあとは、まるでそれまでが嘘のように元気いっぱいの我が身になっておりました。

 

CUEパワー、やっぱ半端ないっす……!

 

今年もありがとうございます。

 

来年も、自分なりに精いっぱい……いやいや、まだ今年は終わっていないし、やり残したこともありますな。

 

ラストスパートを……いやいや、そんな走らずに、休み休みゆっくりやりましょう。

 

せっかく気ままに生きられるのだから、ね。

 

 写真は、今回にして初めて行くことができました、札幌ファクトリーにて。

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素敵な赤。

 

サンタさんがハードル高いところに挑んでましたぜ。

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パーラーエノキさんのパフェ。

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最後は大通り公園のハト。母が「なんでここのハトはこんな太っちょなの!?」と驚愕しておりました。

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た、確かに、我が家に飛んでくるハトとか、他所で見るハトはもっとスレンダーだな…。

寒いからあえて羽を膨らませているとか、それとも脂肪を蓄えるだけの食料がやはり生み出される北の大地なのか…。

 

『ドクター・ホフマンのサナトリウム』&『オクラホマ20th』

先月下旬、無事遠征してまいりました。写真は深夜の横浜。

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この翌日は濃霧がニュースになっていましたね。

 

(以下、いかなるネタバレも避けたい方は、閲覧注意をば)

 



土曜日、母連れで現地に乗り込む。…もしや母とCUE関連遠征は今年になって初!?

……いかに引きこもりがちな一年だったかがわかるなぁ(ぶっちゃけ金欠もあったけども)。

土曜の朝もあまり調子良くなく、起きれなくてですね、「うあ゛―! もう無理! 母だけで行ってもらおう!」…なんて乱暴な思考もよぎったのですが。

いやいや、なにを言っているのか、お前は。サナトリウムでオトサマが待っているではないか!

「保養所」という意味でならば、私も三ヶ月くらいこもりたいと、わりとマジで考えておるような状態でした。

それはともかく、カフカは言うに及ばず、サナトリウムがなにかすらわからずに行ったのですが(おいおい、英語使うやつ! ラテン語絡みの小説書くやつ!)、

……まさか本当にオトサマが――(略)

 

いやほんと、「療養」に行ってよかったです。……いや、そんな平穏な舞台ではありませんでしたが、楽しんできました。

なんといっても音尾さんの出演舞台は『PARAMUSHIR』以来。

KAAT芸術劇場はシゲさん出演の『オーランドー』以来。

どちらも多部未華子さん主演。

わたしどもは3階席からの観劇でした。2階席は以前経験ありましたが、オペラグラスを持っていないなか、果たしてどれくらい見えるものかと思っていました。

大丈夫! この超ド近眼の目にここ5年ほどで装填されたオトサマセンサーは、久しぶりといえども錆びているはずはないわ!…と、根拠のあやしい自信で臨みました。

そうしたら、ええ、舞台の演出というか効果というのか、2階席や3階席から観劇することを想定…むしろそのためとしか思えない見せ方がなされておりました。

私はお芝居用語を知らなすぎるまま書くのですが、あれほど目まぐるしく鮮やかに、場面が変わり、装置が変わり、照明が変わる舞台を観たことがなかったと思います。

う、美しい……!!!というのが、全体を通してのまず最初の感想です。

 

それでいて、場面の転換はわかりやすい。このうえもなくわかりやすいのに、最後にはいつのまにやら迷路に迷い込んでしまう…。あ、あれ……?

つ、つまり、なにがどうなって……!?

私よりも母のほうが、色々わかっていたようです。

『ドクター・ホフマンのサナトリウム』タイトル大事! ものすごく大事! 10日近く経った今になってようやくちょっと腑に落ちつつある感があります。

 

それにしても舞台前半は、事前情報皆無で行ったこちらとしては想定外の大笑いの連続でした。なんてことだ…!

休憩時間に飛び交う声「あの親友役の人はだれだ!?」「ノブコブの吉村か!?」(←確かに遠目でメイクをしておられると似てらっしゃる)

出版社に持ち込んでからの流れとか、最高としか申せませんでしょう…。

兄、妹、親友という三者のかけ合いでしっかり基礎を作ってこその連続攻撃(笑撃)でしたが、一人で持っていった感がありましたな、大倉さん。

そして休憩を挟んでの後半は、前半の笑いの余韻を残酷に引き裂くがごとく、「やめてくれーー!! 頼むからやめてくれーーー!!!」と、内臓のどこかが実際痛み出すようなシーンが早々に入り。……しかしあの場面は、見せ方以上に、台詞だと思い知らされるものがありました。視覚からの情報よりも聴覚からの情報のほうが、よほどしんどい。問答無用で想像力を引きずり出される、みたいな。

 

そして我がイチ推しのオトサマはですね、ええ、やはり舞台上で人を引きつけずにおかないなにかを放っておられました。ああ、久々の快感……。そしてまた、坊主になられてからの音尾さんだな、とも思いました。もう一度観たいとしても、観るのがかなり辛い。そんなシーンを演じておられ、しかしそれだからこそ、今回も音尾さんを舞台で見ることができて幸せだなぁ、と。

 

長時間の舞台でしたが、集中力が途切れることなく見られたと思います。

……でもやっぱり迷い込んでしまった感がある。

文豪カフカのせいということでよろしいのでしょうか。(おい)

 

そうして上の写真の道を引き返し、ホテルに戻り、翌日はオクラさん20周年ツアーライブに向かいました。


すぐ近くの神宮球場では、ちょうどスワローズのファン感謝イベントの日だったらしく、プレミア12で山田選手の活躍を見た私としましては、そちらにも行ってみたいなどと考えてしまいながら(←お前は西武ファン)、クレープを食べたりなんだしているうちに時間ギリギリになり、やたら速足で草月ホールに向かいました。

 

そして、心置きなく大笑いしてきました。

 

もうオクラさん、ネタの面白さもさることながら、お互いのことがどんだけ好きなんだ、という愛があふれ出ていましてね。二人で仕事をすることがあまりない、めずらしいコンビとおっしゃっていましたが、だれよりもお互いをよく見ているのがわかる。

先輩の大泉大先生から、ファンがあれほど真摯な謝罪を受ける羽目になろうとは思いませんでした…(爆)

二人とも全力でトークをし、コントをし、お客さんを巻き込み、お客さんでない人まで巻き込み(!)、20thの歩みを振り返り、笑いと感動の渦を高く高く巻き起こし、それをよくわかっているのに、夜公演もあることもわかっているのに、まるで嫌がらせのようにトリプルカテコをしてしまう観客(ファン)。藤尾エピソードをもっと聞かせろ! 道外ファンは知っているようで案外知らないんだ!とばかりに(笑)

終盤は、藤尾さんの河野さん愛があふれまくり、藤尾さん当人がだれより満足そうだったのでよかったと言いますか。…たぶん、藤尾さんを思いきり歌わせるに至ったそもそもの始まりは、誠心誠意の謝罪をなさった大先輩その人ですよね…。目覚めさせてしまわれた。

来年のジャンボリーでも熱唱されますな、きっと。

まずもうじきのファンミでも再び聞けそうな気がします。

 

母の談:河野さんは頭が良く、要領も良い人。藤尾さんは実に真面目な人。

 


帰りは、東京駅そばのKITTEにて、味噌汁専門店で豚汁ととろろご飯、愛媛県のアンテナショップでオレンジジュース飲み比べという、個人的大好物を楽しみまくったうえで、「起きられない! サナトリウム(保養所)にこもりたい!」なんてうだうだしていたやつは一体どこのどいつだった、みたいな状態で帰ってきました。

 

そしてもうすぐまた、おそらく年内最後の遠征ですね。

 

つくづくお前は幸せ者だ。

 

とどめに家に帰って、深夜に崎陽軒シウマイ弁当食べるくらいにも、ね。

 

 

 

 

おととい(ルパンTVSP)。

 

ロレンサぁあああああああ!!?? ぬぁぜ!!?? 何故逆にそのタイミングで押したぁああああああああ!!?? 次元の早撃ちより早く振り向きざまに押したぁああああああああああ!!!??? 天才か? 天才だったのか!?

 

だれも死んでいないと見せかけて、あのボタン押したあれだけでたぶん数十人は天に召されただろうがぁ! 逃げてください、生きてください……無茶を言うなぁあああああああああ!!!! 五ェ門でさえ、無理、金太郎飴だぞ、とかおっしゃっていただろうがぁああ!!

ものすごく冷酷なことを言えば、王子が生きてるってわかっているんだから、最悪、国王の命と監獄内の部下たちの命を、ちょっとは天秤にかける考え方をしてもよくないですか!?(ひでぇ)

コナンの映画で必ず何かが爆破されるのとちょうど同じように、どーせだれかが押すものですから、あのくらい簡単に出てくるスイッチなら、隣の悪役(CV平田広明最高!)に押してもらえばいいんですよ!

てか、整形する意味ありました!? 死んだことになっている王子の顔に、実年齢の壁を盛大に無視して、整形する意味ってなに!? まだ国王の顔にするほうが現実的でない? もしや、ロレンサ所長の近くにいる仮面男の正体が、あからさまにバレバレだったから(仮面かぶってないで、逆に王子が整形すべきですやん)、こんなこともあろうかと整形したの? でも暗殺してからどれくらい、ああやって一つ屋根の下(※監獄)で近くにいたの??

 

そもそも、あんな完璧な変装術がある世界で、整形する意味ってなに!?


……などと、一人わいわいツッコミを入れつつ、いつものように大いに楽しんだTVSPでございました。

ツッコミどころがあるから面白いんだよ、うん。

五ェ門大活躍回で、満足でした。次元も、前回のグッパナのラストを引きずってくるかと思いきや、いつもと同じかそれ以上に仲良くやっておられましたな。

不二子ちゃん、やはり美しく…、いちいち衣装が変わるたびに見惚れてしまう。最近、単発ヒロインと仲良く優しい感じが続いておりますな。

銭形、ヤタくんという相棒がいて、なんだか幸せそうでしたな。ヤタくんの活躍がこれでもかというくらい含まれていて、また楽しかった。どっからかあり得ないサイズのライフルを持ち出してきたシーンは笑いました。もうレギュラーで行こうぜ、ヤタくん…。

むしろ今回はルパンがいつもより天才ぶりを控えめにしていた感があります。まあ、この後映画公開が続々待っておりますからね。これぞ怪盗ルパン!とゾクリとするものが、遠からず来そうな気がします。

 

いや、脇役まで込みで、楽しかったですなぁ! やはり年一くらいではやってほしい。(今年は年二!? 映画も込みで、もっと)

 

一方、長年の泥棒ファン、そしてウエストレイク氏のファンとしては、『悪党パーカー』が昔出ていたことを思い(キャラは全然違ったけど)、いつまたパーカー、あるいはドートマンダーを思わせるキャラが出やしないかと、ひそかにちょっとドキドキしております(そんなんあり得るか)。

いや、ドートマンダーは共演しても良くないですか?(ダメません、笑)不二子ちゃんの五股で出てきた泥棒たちを見て、ついつい妄想してしまいました。

ニューヨークの、次元の昔馴染み設定でいいと思うよ! 今回、次元の昔馴染みたちの生存率がちょっとは上がったことだし。(絶対ダイナマイト・ジョーは次元かだれかに殺されると思っていました…)(長生きしろ。再登場はしなくていい、笑)

 

あと、ついついいつもの癖で、脳内変換して楽しみます。

例えば今回は、

ルパン→パーカー

次元→ハンディ

不二子→グロフィールド

銭形→エド

ヤタくん→ブレンダ

 

しかし、どうキャラクター性を無視しても、五ェ門だけはなんともならんですわ。よく考えたらあのようなキャラ、世界のどこにもいませんよね…。すごい……。

 

そんなふうに脳内で遊んでいるうち、悪党パーカー・シリーズの未翻訳作『Break Out』を思い出しました。パーカーの脱獄を、エド・マッキーが手助けにいく話。そして『掠奪軍団』→『エンジェル』を読んでいるからこその、まさかの展開。

 

近々ノートをまた引っ張り出して、ネタバレ込みの感想を上げたいなぁ。