前回イタリアに旅行したときの思い出話を少し。
カプリ島の話は以前にも書きました。もうあのバスに乗る勇気はないと言いましたが、アナカプリのホテルはとても素敵でした。静かですし、島の夜景がまたすばらしいんですよ。
そしてうれしかったことに、ホテルの部屋には、なぜか日本のミステリー小説が1冊置いてありました。もうどなたの著作か覚えていないのですが、ホームシック気味で日本語に飢えていた私は、夢中になってそれを読んだものです。次の旅はこの幸運に恵まれるとも限らないので、なにがしかの本を持っていこうと思います。もちろん古代ローマ関係の本は持っていきますが、旅にまったく関係ない本のほうが、気晴らしになると思います。
観光は早めに切り上げ、あとはホテルの部屋で引きこもっているのが、だいたいの私のペースです(日本にいるのと変わらん)。前回はテレビをつけていたら、『怪傑ゾロリ』と『ポケットモンスター』が放送されていました。ポケモンはともかく、ゾロリに出くわすとは思ってもみませんでした。きっとイタリアの子どもたちに人気なんでしょうね。それからイタリア人向け日本語講座なども放送されていて、興味深かったです。お座敷に上がって、日本ではこのように・・・なんて具合でした。ありがたや、イタリア。
それから母と一緒にフィレンツェのウフィッツィ美術館に行ったのですが、そこで思いがけない不意打ちが・・・!
そこへ行ったのはもちろん、世界的に有名な絵画の鑑賞もさることながら、私としてはなにより第一に、歴代ローマ皇帝の像を見るためでした。順路をたどり、いよいよその廊下に近づき、扉をくぐり、ふとふり返ったら、そこになんとティベリウス帝のお姿が!!!
入り口のすぐ横におられたのですよ。彼の右肩の後ろから、客が大勢ぞろぞろと入ってくるのですよ。これを第一の目的でいったのですが、完全に不意打ちをくらい、大いに取り乱しました。他のお客の通行の邪魔をしたと思います。
まして写真じゃなくて立体像なので、その迫力たるや・・・、私の感動たるや・・・・・・。
塩野先生の著作に載せられていた像ですが、この像が最もティベリウスを表しているものではないかと思います。なんというか、翳のある感じが。例えば『平和の祭壇』にあった複製の像は、若い頃のものだからでしょうが、この翳がないのです。
以降、母をほったらかしにして、皇帝たちの像の前ばかり、ひたすらうろつきまわりました。
写真は、ほんとにまったくなんであんなところに建てたんですか!と思いながら撮ったヴィラ・ジョヴィス