A.Banana.S

古代ローマ、NACSさん、ドートマンダーにパーカー、西武ライオンズ、FEプレイ日記(似非)・・・好きなことをぽつぽつと。

クリミナル・マインドにハマった私的記念①(古代ローマネタ)

 

某所にアップした、クリミナル・マインドのファンフィクション……いや、私的妄想のドラマ語りの抜粋です。古代ローマの(だいぶテキトーな)ネタで。クリマイ風に言うと、私の署名的行動とも言う(自白)(は?)

 

すみません、私だけが趣味で盛り上がってもしょうがないので、人物リストをば

アーロン・ホッチナー(ホッチ)

デイヴィッド・ロッシ

ジェニファー・ジャロウ(JJ

デレク・モーガン

エミリー・プレンティス

ペネロープ・ガルシア

スペンサー・リード

(シーズン5)

 

いずれブログではブログで、いつもの調子で語りまくりたいとは思っております。

しかしながら今回は、この形式がいちばん書きたいことを惜しみなく書けそうな気がしました。いつもながら自己満誰得好き勝手をご容赦いただける方のみ、どうぞ。。。

 

 

 

 

 

4、

 

 

「と、いうわけで、この写真をギデオンに送信してみようと思うんだが、どうなるかな?」

 と、それを見せられたのは、アラスカ帰りのジェット機の中。リードだけがソファーを占領して眠っている。

「殺されます」と、ぼくは忠告した。「それに、ギデオンはメールアドレスを持っていないと思います」

「なんだと? それで今の時代をどう生きていくというんだ? 局員年金の手続きとか色々あるだろう?」

「全部郵送しているはずです。受取人のサインがもらえなくて、担当者が困り果てているようですが」

「厄介な男だなぁ、つくづく……

 と、デイヴは頭を抱えるふりをする。

「仕方がない。帰ったらプリントアウトして、郵送してやろう」

「デイヴ、なんだってそんな誤解を招く画像を残したんですか」

 テーブルを挟んで向かい側へ、ぼくは呆れ顔を向けているつもりだ。相手は飄然と肩をすくめるのだが。

「こうでもすれば、怒り狂ったあいつが、どっかからついに姿を見せるんじゃないかと思って」

「あなたを殺しに」

「上等だ。喜んで返り討ちにしてやろう、俺の豪邸で」

「だからデイヴ、どうせその尻拭いをするのはぼくなんですから、こういう冗談で騒ぎを起こさないでください」

「アーロン、ここは君もユーモアを解する心を目覚めさせてだな……

「リードの名誉のためにも、笑うわけにはいきません」

「ということは、笑いたいんだな?」

 それで、ぼくはひっそり口の端を上げたかもしれなかった。

 デイヴの隣はJJで、すでにぼくと同じ呆れ顔。ぼくの隣はプレンティス。背もたれの後ろからはモーガンとガルシアがひょっこり顔を出している。三人は興味津々でデイヴの携帯電話の画面を覗き込む。

 このとおり今回は、ガルシアも含めBAU総出の出張だった。しかもアラスカまで。

「なんだ、なんだ?」と、眉をしかめながら、モーガンがさらに身を乗り出してくる。

「現代によみがえりしハドリアヌスとアンティノーに見えるか?」

 と、デイヴが自称しはじめるので、ぼくは急ぎ携帯電話を伏せる。

「なんでもない」

 デイヴは知らないのだが、モーガンにこの種の冗談はまったく良くない。

「あーあ、あたしとモーガンも熱い夜の思い出を残したかったのにぃ」

 と、知ってか知らずか、ガルシアがわずかに話をずらす。同じ夜、シリアル・キラーがガルシアの安眠をめちゃくちゃにしたのだった。

「リードが起きていたら、すかさずパンテオンの成り立ちを講義してくれたでしょうね」

 と、プレンティスが微笑し、ぐっすり眠ったきりの天才博士を一瞥する。話題はローマ皇帝の情愛から業績へとまたずれていく。

「そうそう! 古代ローマと言えば一時期、エミリーがFBIクレオパトラってささやかれたことがあったよね?」

 と、思い出したふうなのがJJ。これで完全に話題が逸れる。

 いや、そんな話、ぼくは知らないが。

「えっ、そうなの?」と、当人も。

「うん。あなたが来たばかりのころ、他部署の人たちが話してた」とJJ。

 ……いや、君とかガルシアが流した噂じゃないよな? クレオパトラはローマ人ではなくエジプトの女王だが、アラビア語やロシア語といった多言語を巧みに使うプレンティスの能力が、かの人の伝説と結びつけられたのだろう。

 リードならばクレオパトラエジプト人ではなくギリシア人だ、あの黒髪を切り揃えた髪型も実はカツラなんだと、大声で解説を始めそうだ。眠っていてくれてよかった。

「おっと、そりゃ大変。エミリーがクレオパトラときちゃ、歴史が変わっちまうぜ。となると俺は、さしずめマルクス・アントニウスってところか」

 と、ウインクするモーガン。あの写真への興味を忘れてくれたようで幸いだ。

 いや、しかし、BAUの切り込み隊長二人でアクティウムの海戦とか、やめてほしいんだが……

「ちょっとデレク! なにそれ浮気? どう考えてもあたしがあなたの妻で、魔性の女王でしょ!」

 と、やっぱりそこは譲らないガルシア。

「なに? あたしじゃ例のクレオパトラの鼻が低かったらの話が仮定法じゃなくなっちゃうって言うの? 失礼よ! あたしだって魔女だしコンピューター・プログラミング言語をいくつだって自在に操るし、なによりだれよりあなたを愛してる!」

「ベイビー、俺の可愛いクッション、もちろん、そんなことはわかってるよ。けどお前は、どう転んだって地中海で戦争起こすような女じゃねぇだろ。だれより優しい、平和主義者だ」

「失礼ね。じゃあつまり、私はその反対ってことでしょ」と、すかさずプレンティス。しかしにやにや笑っている。

「少なくとも俺はお前を敵にまわすような馬鹿な真似はしないってこと」と、モーガンもにやりと笑い返す。「これでアクティウムの海戦は勝利確定。歴史改変。ところで、相手の大将オクタヴィアヌスはだれだ? やっぱりリードか?」

「リードが適任だろう」と、しれっとハドリアヌスもどきがうなずく。「頭は良いが、戦にはてんで弱い、奇跡のイケメンときた」

「でもなぜか女にモテないってとこも合ってるな」と、モーガンも笑いながらうなずく。「もうリードの前世でしょ、初代ローマ皇帝

「でも、スペンスには共和政と見せかけた帝政なんて無理だと思う」と、これはリードのママ役、JJの意見。「嘘が下手なんだもん、ほんと。政治なんてできっこないよ」

「そこは有能な右腕と左腕でカバーしてあげないと」と、プレンティスがきらりと目を光らせる。「そうなると、だれがアグリッパで、マエケナスになるの? モーガンと私の世界征服を邪魔するの?」

……俺がやるしかないだろう」と、ぼくはため息交じりに参戦してしまう。「気の進まない仕事だが、モーガン&プレンティス帝国なんて阻止するしかないからな」

「おおっ、そうこなくっちゃ!」と、目を光らせるモーガン。パキパキと指を鳴らす仕草までする。「相手にとって不足なしだ。リード一人じゃ、俺たちただのいじめっ子だからな」

「アーロンはアグリッパのイメージじゃないが、まぁ、戦いで最も有能という点では適任だな」と、また真面目くさった顔でうなずくハドリアヌスもどき。「これから海戦だというのに、『FBI海の似合わない男』ツートップが並んでしまったが」

 これでいったい何を想像したのか、モーガン、ガルシア、プレンティス、JJの四人はしばし笑いこけた。

 ……いや、ぼくだって、ジャック(一人息子)を海水浴に連れていくくらいはするぞ。時間があれば。

「ロッシ! そう言うあなたはどうするの? ハドリアヌス時代はまだずっと先よ?」と、ガルシア。

「俺か?」決まっているだろうとばかりに、驚いてみせるデイヴ。「俺は当然ユリウス・カエサルだ」

「もう死んでるでしょ!」

「かまわんさ。あの世から君らを高みの見物だ。どこの編集者にもせかされずに『ガリア戦記』と『内乱記』を書き上げたあとだしな」

「さすがベストセラー作家!」と、プレンティスが笑う。「オクタヴィアヌスが燃やしたっていう残りの著作も、リードなら絶対残しておいてくれますよ。本を大事にする子だから」

「おまけに大勢のガールフレンドへのラブレターも」と、JJも意味ありげににっこりする。「そういえば、ユリウス・カエサルも三回結婚してませんでしたっけ?」

「もうっ、ロッシ! 次あたしんとこの劇団が『ジュリアス・シーザー』を上演する時は、絶対出演ね!」と、ガルシア。先日ぼくがうっかり口を滑らせたために明るみに出てしまった、彼女のプライベートの一つだ。

「それは遠慮させてもらおう。シーザーは殺されるだけだから。ところでペネロープはどうするんだ? マエケナスをやるか? オクタヴィアヌス・リードとアグリッパ・ホッチが戦に出ているあいだ、首都ローマからバックアップだ」

「いーえ、マエケナスはJJに任せる! ローマ帝国の渉外担当でしょ。あたしはオクタヴィアになるの! 平和を愛するオクタヴィアヌスの姉、つまり、リードのお姉ちゃん!」

「そこはJJじゃないのか? ローマ貴婦人の象徴としちゃ、君はそのう……カラフルすぎないか?」

 ぼくもガルシアは好きだが、彼女をローマ婦人の美徳の象徴──すなわち全国の女性の模範としてお出しするのはどうだろう……。彼女の良さだって翳ってしまわないか。マエケナスのほうなら奇抜な服装をしていたという逸話があるから、ガルシアでも問題な──いや、失礼。

「もしもしぃ~~? このガルシア様が大人しく貴婦人の皮なんてかぶってると思いますかぁ~~?」と、にんまりするBAUの魔女。「忘れちゃ困りますよ? オクタヴィアはアントニウスの妻ですからね! 元がついても妻ですからね! というわけで、弟と夫の仲を取り持つため、平和の使者としてゴー・トゥー・オリエント! そしてそのまま愛しのチョコレート・サンダーの腕に飛び込んで、めでたくゴールインのハッピー・エンドよ!」

「さすがだぜ、ベイビー! それでこそ俺の女王!」

「歴史どおりにあたしを追い返したら、サイバー攻撃で地獄に叩き落としてやるからね!」

「そんなことするわけねぇじゃん、俺の可愛い子ちゃん! 一生愛してるぜ!」

「ちょっと、ちょっと、それじゃあ私の国は、モーガン=ガルシア王朝になるのかしら?」

 と、プレンティスももう苦笑するばかりのようだ。

「ともかく、これで構図が決まったな」と、デイヴ。諸悪の根源。「クイーン・クレオパトラ・プレンティス陣営対イケメン・オクタヴィアヌス・リード陣営。別名、両手に華のモーガン対スペンサーぼうやとそのパパとママ」

「うおっ、こりゃ、絶対負けらんねぇ!」と、モーガン

「負けるもんですか」

「絶対勝利確定~~!」

 と、プレンティスとガルシアが続く。

 ぼくも口を開いた。「いい度胸だ。いつでも来い」

「へぇ、ホッチ? 意外とやる気じゃねぇか」

「俺にリードとJJがいるんだ。まったく負ける気がしない」

「すっかり大将の座を奪ってますよ」と、JJが口を挟む。それからすやすや眠り姫のままのリードをそっと見やる。「まぁ、当然そうなるでしょうけど。ところで、私ことマエケナスは歴史上戦場には出向かないので、戦力がちょっと心もとないですよね? ロッシの手紙で、ギデオンを呼ぶことにします? やっぱり?」

 ……あれ、JJ? もしかしなくとも君が、この不毛な会話を誘導している?

「ギデオンはだれの役?」と、さらにうきうきするガルシア。「彼もユリウス・カエサルがいいんじゃない?」

「いいや、ギデオンは天才だが、カエサルのタイプじゃない」と、デイヴ。「ドラマ・RMAの陰気なカエサルなら別だが」

 やめてくださいって、そういう困る話。

 デイヴはなおしれっと続ける。「ギデオンはティベリウスがいいと思うぞ。二代目ローマ皇帝ロードス島カプリ島に隠棲した、すでにして史上最強の引きこもりだ」

「ちょっと待って! ティベリウスってオクタヴィアヌスの継息子でしょ!」と、ガルシアが叫ぶ。「つまり、ギデオンがリードの子どもってことに……!」

「まぁ、細かいことは気にするな」

「とてつもなくデカい問題でしょうが!」

 偽オクタヴィア、アントニウスマエケナス、そしてクレオパトラがたまらず笑い交じりに叫ぶのだった。

 その時、スーツの内ポケットで、ぼくの携帯電話が震え出した。すぐに席を立った。

「はい──」

 そもそも、例の疑惑の写真が撮られた経緯は、アラスカでの宿泊問題にあった。BAU七人に対し、四部屋しか用意されなかったのだ。するとさっそくモーガンが「リードと相部屋は御免」と言い出した。それでガルシアがモーガンと相部屋になることを表明した。恋人ケヴィンがいるのに大丈夫だったのか。モーガンが床に寝るにしろなんにせよ。ともかく、そうなるとJJとプレンティスが当然同部屋。残りは三人。

 最初、ぼくがリードと同室になるつもりだった。別にリードが一人部屋でもよかったのだが、わざわざ七人中一人だけ一人部屋に入れられては、あいつは泣くかもしれない。同室で眠るまでツンドラ地帯の統計データについてしゃべられても困るが、仲間外れにされたと拗ねられては、あとでもっと困った事態になりそうだった。ついでに、リードは少し前に撃たれた足がまだ完治していなかったので、ぼくが床に眠るつもりだった。

 デイヴがあいつと同室でかまわないと言い出したのは意外だった。世界最古の凍死体についての講義を聞いて一夜を過ごしたがる人だとは思われなかった。

 だが、こういう悪企み……いや、冗談を思いついただけだったのだ。

 結局その夜は、新たな殺人の発生で、全員ろくに眠る間もなかったのだが。

 今は事件を無事解決し、無駄話をしながらようやく心身を休めようとするところだった。……ところだったのに──。

 通話を終え、ぼくはチームへ振り返った。

「みんな、いいか」

 ぼくのその一声で、全員が気色を変えた。一瞬にしてプロの捜査官の顔に戻るのだった。リードをさえ、モーガンの腕が揺すり起こすのだった。優しくなくはなく。

「頼むから、ハワイだと言ってくれ」デイヴが言った。

 ぼくは首を振った。「通常任務ではないが、人身売買特捜班から支援要請が来た。ケンタッキー州に寄り道する。詳しい資料はガルシアのPCに送られている。着いたら、モーガンとプレンティスは犯行グループの元アジトへ、デイヴとリードは病院で被害者と面談、JJと俺は支局へ行って各所と連携、マスコミ対応だ。ガルシアも俺たちと来い」

 永遠不変のものはない。それでもぼくは、戦い続けることを選んだ。このFBI最優秀のユニットと。かけがえのない家族と。一日でも長く。

 永遠不変が叶わないのならば、せめて守りたかった。

 だからぼくは、このチームのリーダーであり続けた。

 

 

 

 

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#クリミナル・マインド #スペンサー・リード How much I love──【前編】 - TODO- - pixiv