もう出発まで1週間しかないというのに、夏バテ?でぐったりしている日々です。「体調をととのえて」と言われているのに、体力が減退することしかしてないじゃん・・・。
さて、映画『ベン・ハー』ですが、以前、戦車競走シーン目的でレンタルしてきました。目的のところまでちょくちょく早送りしつつ観ていったのですが――
――えっ・・・、まさか、出るのか? 出るのか? で、で、で、出たああああああああああ!!!
となりました。そう、ティベリウス帝が登場する、数少ない映像作品なのです。
・・・いや、しかしすぐに思い直しました。
――違う。あれはティベリウスじゃない。ティベリウスがあんな物柔らかなほほ笑みを浮かべてお出迎えなどあるわけがない。ほかのどの皇帝にありえても、ティベリウスにだけはありえない。
だいたいああやって独り王然と腰かけているはずがない。ティベリウスは外国からの使者に「我らはカエサルに会いにきたんだけど、カエサルどこよ?」と言われてしまうほど、元老院に混ざって目立たないようにしていた人だ。
じゃあ、あれは・・・? そうか! 本物はもうカプリ島に籠ってしまっているんだ! 現に映画の冒頭で「カプリで休暇を~」なんていう台詞があったじゃないか! 製作者側もわかっていたんだ。つまり、この優しそうな人物は、ローマ人がハリウッド映画に出たいがためにこっそり用意した代役だ!!・・・
と、しばしニヤニヤ。
それからいよいよ戦車競走シーンへ。「タイベリアス」記念4頭立て馬車レース、評判に違わぬ大迫力でした!
これは胸が躍る! とくに、これと同じ競技にティベリウスが出場し、優勝していたという話を思うとなおさら躍り狂う!
ティベリウスは紀元1年、かの名高いオリンピュア競技祭で戦車競走に出場し、ローマ人初優勝を飾ったそうです。
このことは後世の発掘によって明らかになったようで、古代の歴史家たちは一切言及していません。我らがスエトニウス大先生でさえも。当時はティベリウス、ロードス島に引退していた時期です。アウグストゥスは知っていたんでしょうか。知っていたとしても「貴様、家族を見捨て、全責任を私に背負わせておいて競技祭出場とは、大層な身分だな!」とかんかんになったかもしれません。
しかし甥のゲルマニクスは知っていたのでしょう、16年後、自らも出場します。
そういうわけで当然、わたくしめは、ただちに映画の主人公の顔をティベリウスに置き換え、くり返しくり返し妄想を・・・・・・・
いや、しかし、はい、わかっています。さすがにティベリウス御自ら手綱を取ってはいなかったでしょう。戦車競走では、御者ではなく馬主が表彰されるのですよね、はい。だからティベリウスも、当日は観客席の最前列から、駿馬の所有者としてレースの行方を見守ったのでしょう。
・・・しかし想像するだけなら自由ですからね。それに塩野先生の本を読むと、あたかもティベリウスが自ら手綱を取って出場したかのように書かれているんです。もしかするともしかするかもしれないじゃないですか。
・・・どなたかこのエピソードを小説に書いてくださってないでしょうか? よ、読みたい・・・・・・!
よし、私が書くか! 『ベン・ハー』の競走中の馬車から落ちるほどの惨事覚悟で!
ところで、古代ローマ人のイメージといえば、映画『クレオパトラ』、ドラマ『Roma』などの登場人物が思い出されます。しかし、例えばカエサルですが、私は上記のどちらもいまいち勝手に個人で育てていたイメージに合いませんでした。とくに『Roma』のほうは、陰気すぎて。セルヴィリアをぶん殴ったところで悲しくなりました。カエサルのイメージならば、内水融先生の漫画『アグリッパ』が最高だと思うのですが。カエサルの初登場シーンは、きゃああああああああっっ!!!っと危うく本屋で叫びだしかけるほど痺れました。そしてアントニウスばかりかラビエヌスまで拝めるという感動が・・・!
『Roma』では、アントニウスのイメージが個人的に最高だと思います。そしてこちらはアグリッパとマエケナスまで登場するという喜びがあります。とくにアグリッパはイケメンすぎて、オクタヴィアがうらやましくなるというか・・・(もう史実はさておき)映画『クレオパトラ』のアグリッパはローマ人に見えない髭のオジ様でしたが、『Roma』は申し分ないです。そのうえ美しいリヴィアも出てきます。が、ティベリウスは名前だけです。うん、出てこなくていいです、あのドロドロの世界に巻き込まれないで・・・
と、長くなってしまいそうなので、またの機会に語ろうと思います。いい加減荷造りしろって話ですな(汗)